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ポンコツなおっさんに召喚されてしまった。

41話 ポンコツなおっさんに召喚されてしまった。 3

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「まぁ大方の流れはこれで終わりじゃな。 それにどうやら我もそろそろ限界の様じゃ」

 
 おっさんと青蜜に割って入ったリアの姿は影達が消えた時と同じ様に少し薄くなっていた。
 
「日本に帰るのか?」
 
「あぁ、そろそろお昼寝タイムも終わりじゃからな。 帰らぬと不思議に思われるじゃろ??」
 
 あぁ、この制服本当に園児のやつだったのか。
 
「……リア、ちょっと叩きすぎたわね。 ごめんなさい」
 
「全くじゃ、今でも痛いんじゃからな? まぁじゃが我も少しやりすぎたしのぅ、今回は痛み分けと言う事にしといてやるぞ」
 
「ふふっ、そうね。 ではまた会いましょう、出来れば4ヶ月後にね」
 
 なんか青蜜とリアは仲良くなれそうだな。 今も友達感出てるし……羨ましい。
 
「リアさん、その私も少しやりすぎてしまいました。 すいません」
 
 うん、まぁ結衣ちゃんはやりすぎだったかもね。
 
「ま、まぁ我としても久々に死を覚悟出来た事は良かったかも知れん。 そのお陰で昔の自分を思い出せた気もするしのぅ」
 
「そう言って貰えると少し救われます、ありがとうございます。 そ、それでその……Aカップにはいつしてくれるんでしょうか??」
 
 照れてる結衣ちゃんは可愛いから好きなんだけど頼んでる事がなぁ……。 
 
「何じゃ? まだ気付いておらんのか? この部屋に帰ってきた時からお主はもうAカップじゃぞ??」
 
「えっ! 本当ですか?? あ、ありがとうございます!!」
 
 リアの言葉に結衣ちゃんはすぐに自分の胸を揉んで確かめる。
 
 え、えろいなー……ありがとうございます!! 
 
「あっ、そうじゃ。 一様これも渡しておく」
 
「何だこれ?」
 
「スマホじゃ!」
 
 いや、それはわかるんだけど何でスマホ?
 
「我にも用事があるからのぅ、事あるごとに召喚されては敵わんからのぅ。 魔力を使うのもしんどいしな。 じゃから今度から何か用件があればこれに連絡してくるのじゃ。 この異世界通信機にな!」
 
「「おー!!」」
 
 俺は異世界通信機と言うかなり響きの良いアイテムに思わず興奮した。 これは嬉しい。
 
 一緒に画面を見つめてる青蜜も同じ気持ちだったのはすぐにわかった。 声もハモってたし。
 
「くくっ、なんだかんだで久々に楽しい時間じゃったぞ。 も、もし最悪この世界を救う事が出来ないとと思った時も我に連絡するが良い、お主ら三人くらいなら、まぁ何とかしてやる。 ……じゃあのぅ」
 
 そう言い残し、リアは俺達の目の前から姿を消した。 
 
 最後の台詞……本当に根は良い奴なんだろうな。
 
「さてと、随分と長くなったがこれで俺達の進むべき道は見えたな。 あと4ヶ月もあるんだ、この星の不安、不満の一つくらい俺達で解消してやろうじゃねぇーか!!」
 
「まどかちゃん珍しく熱いじゃない。 まぁ確かにその通りね! 頑張りましょう、私達はお互いの秘密を曝け出した言わば同志よ、三人で協力して世界を救ってやろうじゃない!!」
 
「ふふっ、何とも奇妙な同志かもですけどね。 私も役に立てる様に精一杯頑張りますね!!」
 
 どうやら今回の『言いたがり』のスキル発動は良いタイミングだったみたいだ。
 毎回こんな感じになるなら悪くないスキルなんだが。
 
「わしは? わしも協力するつもり何じゃが??」
 
「わ、忘れてたわけじゃないのよ? あっ今から円陣するつもりだからみんな手を重ねてくれる?」
 
 取り繕う様に青蜜は目の前に手を出した。
 
 ……まぁ俺も忘れてたけど。 
 
「えーと、こうですか??」
 
 青蜜に促された結衣ちゃんは一回り小さな手を上に重ねる。

 な、なんか恥ずかしいな。 女の子の手を触るのもちょっと抵抗があるし。 ま、まぁでも結束を高める為には円陣は効果的だよな! 関係ないけど俺の名前でもあるし!!
 
 俺はゆっくり自分の手を結衣ちゃんの手に重ねる為に近付ける。
 
 て、手汗とか大丈夫かな? 
 

「何じゃ、ここに手を置くのか?」
 
 俺の手が結衣ちゃんに届くあと少し、ほんのあと数センチの所で横から割り込んできたおっさんは結衣ちゃんの手を上から包み込んだ。
 
「あのぅ、握らなくても良いんですよ?」
 
「ん? そうなのか? なるほど本当に乗せるだけなのじゃな。 理解したぞ! ほれ、まどか殿も早く!」
 
 近くにあった俺の手を握りしめ、おっさんは無理矢理自分の手の上まで引っ張る。
 
 こっちの方が緊張しないから良いかもだけど……お、おっさんめぇ!!
 
「みんな準備は良い? 行くわよ??」
 
 まぁ円陣自体も初めてだし、これはこれで嬉しいか。
 
 俺達全員の顔を見渡す様に視線を動かしたのち青蜜は大きく息を吸い込み、言葉と共にその空気を吐き出す。
 
「今から4ヶ月後、この世界は滅びる。 そしてそれを止められるのは、ここにいる私達しか居ないわ!! 私達の四人の全ての力、知恵を集結させてこの世界を守るの!! 良いわね??」
 
「「おー!!」」 「お、おー??」 
 
 青蜜の言葉に俺と結衣ちゃんは思いっきり手を上に掲げて叫ぶ。
 

 な、なんか凄い楽しいしドキドキするな。 もしかして今が異世界に来て一番楽しい瞬間かも知れない、円陣って凄いわ! 異世界来て良かった!!
 

 ……あれ? これくらいなら日本でも出来たんじゃ??
 
 
 気付かなかったら良かった事実に少し落ち込んだ瞬間、隣から大きな破裂音が響いた。
 
 え? 何の音? 
 
 直ぐさま目を向けたその先には恥ずかしそうに胸を押さえる結衣ちゃんが立ち尽くしていた。
 
「ゆい……」
 
 何かを悟った青蜜は儚げに結衣ちゃんの名前を呟いた。
 
 あぁ、今のはあれが破裂した音か。
 まぁ少し大きくなったんだし……仕方ないよ。
 
 青蜜の声色と結衣ちゃんの表情で何が起こったか理解した俺はゆっくりと視線を結衣ちゃんから逸らす。 
 
 今は何を言われても辛いだろう。 それにしても凄い音だったな……何で胸を盛ってたのかはわからないけど、もしかしてパンパンに空気でも入れてたのかな? 
 まぁ幸い俺達は事情を知ってるし、ここは見なかった事にしてあげよ……あっ。
 
「何じゃ今の音は! 襲撃か? 一体何が起こったんじゃ? それとも今のも円陣とやらの続きなのか?」

 おっさん居たの忘れてた。 

 これから起こる事を予測して俺は思った。 力と知恵を集結するなんて俺達には無理だと。
 
「ん? 結衣殿? む、胸が消えとるぞ!! 一体誰にやられたのじゃ? 酷い有り様ではないか!!」
 
 まぁこうなるよね。
 
「まさかさっきのは結衣殿の心臓を狙った遠距離攻撃だったのか? 本来は心臓が破裂する所を結衣殿のあの大きな胸が救ったのか? まるで防弾チョッキじゃな!」
 
 え? 異世界にも防弾チョッキあるの?? いや、それより相変わらず地雷を踏むのは天才的だなあのおっさん。
 
「じゃがいくら何でもこれは酷い! あの大きかった胸がぺったんこではないか! 絶壁じゃ! これじゃもう結衣殿は生きていけないではなっ」
 
「これでも大きくなったんじゃあ!!」 

「ぎゃぶしっ!!」
 
 結衣ちゃん渾身の右ストレートはおっさんの頬を完璧に捉え、おっさんは再び凄い勢いで壁まで飛んで行った。 
 
 人が飛んで行ったのにそんなに驚かなくなったのは俺も異世界に大分慣れてきたからだろう。
 まぁ異世界来てから色々あったからな。

 ……あれ? 結局まだ自己紹介しかしてないんじゃ?? 
 

 後ろで気絶しているポンコツなおっさんに召喚されてから半日。 



 俺達三人の異世界生活の第一章は、いやプロローグはようやく終了した。


 
 
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