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告白
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結局、殿下は私がラインハルトと仲良さそうにしていたから怒ってたってことよね。そういうことなら私にだって言わせてほしい。
殺気はもう完全に消えていた。
「殿下、私も言いたいことがあります。私のことを怒りましたが、殿下だってアメリア様のことを呼び捨てにしていたではありませんか。同じ馬にも乗ったのでしょう?」
人のこと言えないんだけど。責めるような口調で言うと、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「……アメリアって誰だっけ?」
まじか、この人。言葉が出てこなかった。本気なのだろうか。
「ラインハルト様の婚約者の……」
「ああ、彼女ね。気が強くてはっきり喋る感じが君に似ていたんだよね」
私に似ていた?アメリア様が?
「だから馬に乗せたのですか?」
「うん、本当は連れて行きたくなかったんだけど、君に頼まれてるようで断れなくてね」
……なんだ。そんな理由で。
こっちは殿下が珍しく女の人に優しいからかなり焦ったのに。この感じだとどうせ今朝の騎士団のあの人も、本当に仕事だから一緒にいたんだろうなと思う。
嫉妬して損した気分だ。
ほっとして気が抜けたら、なんだか可笑しくなってきて、一人でくすくすと笑ってしまった。
ちゃんと言わないとな、と思う。隠したまま、曖昧にしたままにしていたら、またこの先で同じようなことが起こるかもしれない。
殿下の腕が私を抱きしめる。少し体重を感じて、それが心地よい。
「……殿下がアメリア様連れて帰って来た時、すごくイライラしました」
「うん」
「私を置いて先に戻ったことを知った時はとてもショックでした」
「うん」
殿下は私の言いたいことがもう分かっているんじゃないかと思う。だったら改めて言うのも気恥ずかしい。
「今朝、女の人と歩いているところを見て、心の底から怒りが湧きました」
子供のような独占欲。あらためて言うのも恥ずかしい。
「うん」
「ずっとここにあったそれが嫉妬だったのだと気が付いたのはその時です」
殿下の手を私の胸に当てる。おそらくドキドキは伝わっているだろう。でもちゃんと言おうと決めた。殿下はずっと待っていてくれたのだから。
「私は、殿下のことが……」
たった二文字だが、その二文字が出てこなかった。喉につかえてなかなか声に出せない。
告白をしたことはこれまでに一度もない。好きだと言われたことは何度もある。この人から。
だけど、それを言うのにこんなに勇気がいるとは知らなかった。
なかなか先が言えなくて黙り込んでいると、殿下が耳元で、甘い声で言った。
「続きは?」
正直、鼻血が出そうだった。緊張で、心臓が脳にあるんじゃないかと思うくらいうるさくて、そんな時に耳元で殿下の声。しかも普段より甘い。
鼻血が出るか、意識を失うかしてもおかしくない状況だ。
でも今ここで、そんな色気のないことは絶対に回避したい。私は根性だけで正気を保っていた。
……だめだ、ちょっと態勢を変えよう。
膝立ちになり、殿下と向き合う。床に座った殿下は私よりも下だった。微笑みを浮かべる殿下は私の言葉を待っていた。
「……言いたいことは分かっているんじゃないですか?」
「分からないよ。分からないから、ちゃんと言って?」
絶対に分かっているであろう殿下は、どうしても私に言わせたいらしい。
深く息を吸い、吐く。そんな動作ですらちゃんとできているか怪しいくらいには緊張していた。
「……好きです」
言った!よく言った!私!自分で自分を褒める。心臓はまだうるさい。しかし一度言ってしまえば二度目はすぐに出た。
「好きです、ユリウス殿下」
目を見てもう一度言う。殿下は微笑みを深くした。とても嬉しそうに見える。
私はそのまま殿下の首に腕を回し、抱きついた。勇気ついでだ。抱き抱えられることは多々あっても、抱きついたことはない。
殿下の手が私の背中にまわる。ぎゅっと力が入れられた。
「ずっと、ずっと聞きたかった」
その声が少し震えてあるような気がした。確かめようと思い、離れようとすると、さらに腕に力が込められた。
「君の口から好きだと言われたら嬉しいんだろうなとは思っていた。だけど、そんな言葉では表せられない」
どうも私が思っている以上に喜んでいるらしい。
「愛してる。何よりも、誰よりも」
殿下が甘い声で囁く。
「……ええ、知ってます」
「君が思っている以上に、愛してる」
恋と愛の違いなんて私には分からない。だから、「愛してる」と言われても「私もです」と言えない。簡単にそう言うと、なんだか安っぽく思えるから。
代わりにぎゅっと抱きしめた。
「殺さなくて、よかった」
ポツリと聞こえた、とても物騒な言葉は聞こえなかったふりをした。
殺気はもう完全に消えていた。
「殿下、私も言いたいことがあります。私のことを怒りましたが、殿下だってアメリア様のことを呼び捨てにしていたではありませんか。同じ馬にも乗ったのでしょう?」
人のこと言えないんだけど。責めるような口調で言うと、返ってきたのは予想外の言葉だった。
「……アメリアって誰だっけ?」
まじか、この人。言葉が出てこなかった。本気なのだろうか。
「ラインハルト様の婚約者の……」
「ああ、彼女ね。気が強くてはっきり喋る感じが君に似ていたんだよね」
私に似ていた?アメリア様が?
「だから馬に乗せたのですか?」
「うん、本当は連れて行きたくなかったんだけど、君に頼まれてるようで断れなくてね」
……なんだ。そんな理由で。
こっちは殿下が珍しく女の人に優しいからかなり焦ったのに。この感じだとどうせ今朝の騎士団のあの人も、本当に仕事だから一緒にいたんだろうなと思う。
嫉妬して損した気分だ。
ほっとして気が抜けたら、なんだか可笑しくなってきて、一人でくすくすと笑ってしまった。
ちゃんと言わないとな、と思う。隠したまま、曖昧にしたままにしていたら、またこの先で同じようなことが起こるかもしれない。
殿下の腕が私を抱きしめる。少し体重を感じて、それが心地よい。
「……殿下がアメリア様連れて帰って来た時、すごくイライラしました」
「うん」
「私を置いて先に戻ったことを知った時はとてもショックでした」
「うん」
殿下は私の言いたいことがもう分かっているんじゃないかと思う。だったら改めて言うのも気恥ずかしい。
「今朝、女の人と歩いているところを見て、心の底から怒りが湧きました」
子供のような独占欲。あらためて言うのも恥ずかしい。
「うん」
「ずっとここにあったそれが嫉妬だったのだと気が付いたのはその時です」
殿下の手を私の胸に当てる。おそらくドキドキは伝わっているだろう。でもちゃんと言おうと決めた。殿下はずっと待っていてくれたのだから。
「私は、殿下のことが……」
たった二文字だが、その二文字が出てこなかった。喉につかえてなかなか声に出せない。
告白をしたことはこれまでに一度もない。好きだと言われたことは何度もある。この人から。
だけど、それを言うのにこんなに勇気がいるとは知らなかった。
なかなか先が言えなくて黙り込んでいると、殿下が耳元で、甘い声で言った。
「続きは?」
正直、鼻血が出そうだった。緊張で、心臓が脳にあるんじゃないかと思うくらいうるさくて、そんな時に耳元で殿下の声。しかも普段より甘い。
鼻血が出るか、意識を失うかしてもおかしくない状況だ。
でも今ここで、そんな色気のないことは絶対に回避したい。私は根性だけで正気を保っていた。
……だめだ、ちょっと態勢を変えよう。
膝立ちになり、殿下と向き合う。床に座った殿下は私よりも下だった。微笑みを浮かべる殿下は私の言葉を待っていた。
「……言いたいことは分かっているんじゃないですか?」
「分からないよ。分からないから、ちゃんと言って?」
絶対に分かっているであろう殿下は、どうしても私に言わせたいらしい。
深く息を吸い、吐く。そんな動作ですらちゃんとできているか怪しいくらいには緊張していた。
「……好きです」
言った!よく言った!私!自分で自分を褒める。心臓はまだうるさい。しかし一度言ってしまえば二度目はすぐに出た。
「好きです、ユリウス殿下」
目を見てもう一度言う。殿下は微笑みを深くした。とても嬉しそうに見える。
私はそのまま殿下の首に腕を回し、抱きついた。勇気ついでだ。抱き抱えられることは多々あっても、抱きついたことはない。
殿下の手が私の背中にまわる。ぎゅっと力が入れられた。
「ずっと、ずっと聞きたかった」
その声が少し震えてあるような気がした。確かめようと思い、離れようとすると、さらに腕に力が込められた。
「君の口から好きだと言われたら嬉しいんだろうなとは思っていた。だけど、そんな言葉では表せられない」
どうも私が思っている以上に喜んでいるらしい。
「愛してる。何よりも、誰よりも」
殿下が甘い声で囁く。
「……ええ、知ってます」
「君が思っている以上に、愛してる」
恋と愛の違いなんて私には分からない。だから、「愛してる」と言われても「私もです」と言えない。簡単にそう言うと、なんだか安っぽく思えるから。
代わりにぎゅっと抱きしめた。
「殺さなくて、よかった」
ポツリと聞こえた、とても物騒な言葉は聞こえなかったふりをした。
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