ゲームは終わっても人生は続く〜入れ替わり令嬢のその後〜

紅蘭

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波乱の顔ぶれ

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カイとリリーの娘、レイラ様が3歳を迎えた頃。私は皇帝陛下に呼び出され、クリスと共に陛下の執務室へと向かった。

中に入るとそこには想像以上にたくさんの人が。

その中にユリウス様を見つけて、隣に並ぶ。ユリウス様は私に微笑みを向けた。

陛下、皇后陛下、宰相であるお父様、それからカイ、リリー、レオン、マクシミリアン、ヨハン、ヘンドリックお兄様、クルトお兄様、ベアトリクス、ヴェルナー様。そしてユリウス様とクリスと私。

近しい人がほとんど皆集められている。陛下は私を見て「揃ったな」と言った。どうやら一番最後だったようだ。こんな錚々たる面々を待たせてしまったことに少し反省をする。が、他の人もいるなんて聞いていないので仕方がないじゃないか、とも思う。

……別に誰も責めてないだろうけど。

陛下は皆の顔を見渡して言った。


「来年、遅くとも再来年には私は皇帝を降りる。その準備をそろそろしたい」


あらまあ。思ったよりも早かった。まあ別にいいんじゃない。前から近い内に交代することは発表されていたし。


「皆を呼んだのは今後の立ち位置を確認するためだ」


陛下が手元の紙に視線を落とす。そして順番に読み上げていった。


カイは皇帝。リリーは皇后。宰相候補にはマクシミリアンとヨハン。カイの護衛騎士は変わらずレオン。魔法省長官候補、ヘンドリックお兄様。私付きの護衛騎士兼次の騎士団長候補、クルトお兄様。


「クリス、ベアトリクスは変わりなし。ユリウスはカイの補佐」


ふーん、大体予想通りってところかな。なんて他人事のように聞いていると、陛下が最後にぶっ込んだ。


「それから、エレナ。そなたには騎士団の指揮権を持ってもらう」


思わず吹き出してしまいそうになり、慌てて取り繕う。

騎士団の指揮権って皇帝が持つものじゃない……!何で私が!


「質問や意見はあるか?」


陛下のその問いにすぐに手を上げる。皆の視線を浴びて私は言った。


「騎士団の指揮権は皇帝となる殿下がもたれるものではありませんか?」


騎士団は皇帝を守る為の組織だ。その指揮権を皇帝以外に持たせるなんて論外。クーデターが起きたらどうするつもりか。

答えたのは陛下ではなくカイだった。


「提案をしたのは私だよ。恥ずかしいことに仕事が多すぎて手が回らないんだ。エレナだったら普段から騎士団に出入りしているし、適任かと思って」


そうじゃないでしょ。仕事が多いって言うならもっと他の仕事を回せばいいのに。


「わたくしが良からぬことを企んでいるとは思われないのですか?」


そう聞くと、カイは笑った。いや、カイだけじゃない。皆笑っている。

笑うところではないだろう。意味が分からない。


「あの、殿下?」


答えを促すとカイは「ごめんごめん」と笑うのを止めた。そして微笑んだ。


「エレナに限って、そんなこと有り得ないよ」


……信用されてるなー。そりゃクーデターなんて起こす気は毛頭ない。むしろカイのことは全力でサポートしていきたい。でもこれは周りから何と言われるのか……。

まあ何と言われようと今更だけど。

私が何を言っても決定は覆らない気がして何も言わずにいると、クルトお兄様が不安そうに手を上げた。

お、珍しい。クルトお兄様はこういう場で発言をすることは滅多にないのに。


「恐れながら、私が次期騎士団長候補というのは、力不足でございます」


確かにクルトお兄様は騎士団の中ではまだ中堅になるかならないかだ。ヴェルナー様の後を継ぐというのはもっとベテランがいるだろう。

というかクルトお兄様に限らず、宰相候補のヨハンとマクシミリアンも、魔法省の長官候補のヘンドリックお兄様も、若すぎる。いくら皆が優秀だと言っても世代が飛びすぎる。

陛下は誰かがそう言い出すことを予見していたように頷いた。


「何も今すぐの話ではない。どの役職も交代までには最低でも数年はある。皆私や他の皇族に近い者だが贔屓もしていない。能力を考えた結果だ」


いやいやいや、どう考えたって贔屓にしか見えない。もちろん、違うことは分かる。でもきっと他の貴族は黙っていないだろう。


「クルト、そなたは十分な実力を持っている。ヴェルナーのお墨付きだ」


陛下の言葉にヴェルナー様が大きく頷いた。


「余計なことは考えずとも良い。その時がきたら堂々とした騎士団長になれるだろう」


陛下はそう言った。クルトお兄様はその答えに満足していないようだが、もう何も言えない、といった表情で頷いた。


「……これは絶対一波乱起きるよね」


クリスがぼそっと言った。私は小さく頷く。こんなの文句が出ないわけがない。陛下は一体何を考えているのだろうか。

隣のユリウス様を見上げると、ユリウス様は微笑んだ。その笑みは何か裏があるとしか思えないものだった。
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