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言いがかり
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朝食が終わると、ユリウス様は「ちょっと出て来るよ」と言って部屋を出て行った。外で誰かと話す声。そしてクルトお兄様が入って来た。
「お兄様!おはようございます」
「おはよう、エレナ。それからおめでとう」
「ありがとうございます」
短い会話をするとクルトお兄様はすぐに仕事モードのキリッとした表情に変わった。
私は呼んでいない。と言うことはユリウス様だろう。おそらくもう少ししたらヘンドリックお兄様も来るに違いない。
……お兄様達は護衛にしてはとても頼りになるんだけど、ちょっと面倒なんだよね。
何かって言うと小言を言われる。クルトお兄様は護衛騎士としての仕事なのでそう簡単に話しかけてはこないかもしれないけど、ヘンドリックお兄様は……。
思わずため息をついてしまった。
「何か外のお仕事はないかしら」
書類にサインをしながらそう呟いてみたが、そう都合良くはないだろう。それにユリウス様はできるだけ部屋にいるようにと言っていたのだ。何かあったとしても私には回ってこない可能性が大。退屈。
隣で同じように仕事をしているクリスも退屈そうだ。もう一度ため息をついた時だった。ノックの音が響いた。クルトお兄様が出て、そのまま話し始める。話が終わり、振り向いたお兄様は笑っていた。
「よかったですね、エレナ様。外のお仕事ですよ」
お!ナイスタイミング!どんな仕事だろう。
「皇帝陛下がお呼びです」
……それはあまり嬉しくない。
クリスとクルトお兄様を連れて陛下の部屋へ行くと、すぐに中に入れてもらえた。お兄様を部屋の外に残して二人で中に入る。
そこにいる人を見てクリスが「げっ」っと小声で言う。一応咎めるようにクリスを見ると、唇を尖らせていた。私も気持ちは分かるけど。
「ごきげんよう、皇帝陛下、ディターレ公爵」
何かにつけて私に難癖をつけてくる貴族達数人は無視して挨拶をすると、陛下はただ頷いた。
こういう状況で呼ばれるのはいい予感がしない。だってどう見たってディターレ公爵達が陛下に何かを進言していたってことじゃん。それに私が呼ばれるって何!?私ほんとに関係あるの!?
「突然呼び立ててすまない」
陛下は私にそう謝罪し、ディターレ公爵を見た。
「先日そなたにも話した人事の件でこの者らが納得がいかないそうだ」
まあそうだよね。知ってた。中心に若い人たちを置いた上に、うるさい貴族達は明らかに左遷されていたのだ。そりゃ文句の一つや二つ言いたくなるだろう。
「どうしてわたくしが呼ばれたのでしょう?」
決めたのは私ではない。陛下だ。呼ばれたって仕方がない。
「そなたを呼べという声が複数聞こえてな」
誰が言ったのか知らないけどいい迷惑だ。貴族達に視線を向けると、何人かが私を睨んでいた。皆、過去に私とユリウス様に喧嘩を売って辛酸を舐めた人達だ。
どうやら逆恨みをされているよう。しかしユリウス様ではなく私だけ呼び出すというところに少しムカつく。
「中心に置かれたのは全て殿下に近しい人物です。明らかな作為を感じます」
ディターレ公爵が私を責めるような口調で言った。私は目が点だ。
「……その決定にわたくしは一切関与しておりませんが?」
「贔屓、もしくは賄賂の有無はありませんか?」
だから、私何も知らないんだけど。
「わたくしの知る限りございませんが、その点は陛下にご確認いただいた方が確実なのでは?」
「一切ない」
私の言葉に陛下がきっぱりと言った。
もう話終わったじゃん。私がわざわざ来ることなかったじゃん。
そう思ったが、これで終わる話ならきっと私は呼ばれていない。
ディターレ公爵の後ろでヒソヒソと話す嫌な感じのおっさん達。ユリウス様のおかげで嫌な貴族はだいぶ減ったと思っていたが、嫌な人は次々と出てくるものだ。
「おっしゃりたいことがございましたらはっきりと言ってくださいませ」
そう言うと急に静かになる人達。アホか、と言いたくなる。
「そちらの伯爵、どうぞ、今小声で話していたことを大きな声で聞こえるようにおっしゃってください」
一人を指すと、指された貴族はビクッと体を揺らし、そしてキッと私を見た。
「主要な席は全てエレナ様の関係者。そして騎士団の指揮権までもがエレナ様が持つとは、何か企んでいるとしか思えないのですが?」
そんなのは私だって思っていたよ。だからあの時言ったのに。
「陛下の御前です。言葉遣いに気をつけてくださいませ」
私の指摘にクリスがプッと笑った。伯爵の顔が真っ赤になる。「クリス」と小さく咎めておく。
あああ、面倒くさい。そもそも私関わってないって言ってんじゃん。陛下と話してよ。私は騎士団の指揮権もいらないからさ。
陛下にチラッと見るが、助け舟は出してくれなさそうだ。元はと言えば陛下のせいなのに。
「再度申します。わたくしは決定に一切関与しておりません」
あー、今ここにカイかユリウス様が来ないかな。他力本願。だけど人生そう甘くない。
「その上で言わせていただきますが、名前が挙がっている者は皆優秀です。努力で今の立場におさまっており、それは今後も変わりません。どうして家名や爵位に胡座をかいている皆様がそこに並べるとお思いですか?」
私の言葉で部屋の中の温度が急な下がる。皆の表情が凍りつく中、私はにっこりと笑顔を浮かべた。
「お兄様!おはようございます」
「おはよう、エレナ。それからおめでとう」
「ありがとうございます」
短い会話をするとクルトお兄様はすぐに仕事モードのキリッとした表情に変わった。
私は呼んでいない。と言うことはユリウス様だろう。おそらくもう少ししたらヘンドリックお兄様も来るに違いない。
……お兄様達は護衛にしてはとても頼りになるんだけど、ちょっと面倒なんだよね。
何かって言うと小言を言われる。クルトお兄様は護衛騎士としての仕事なのでそう簡単に話しかけてはこないかもしれないけど、ヘンドリックお兄様は……。
思わずため息をついてしまった。
「何か外のお仕事はないかしら」
書類にサインをしながらそう呟いてみたが、そう都合良くはないだろう。それにユリウス様はできるだけ部屋にいるようにと言っていたのだ。何かあったとしても私には回ってこない可能性が大。退屈。
隣で同じように仕事をしているクリスも退屈そうだ。もう一度ため息をついた時だった。ノックの音が響いた。クルトお兄様が出て、そのまま話し始める。話が終わり、振り向いたお兄様は笑っていた。
「よかったですね、エレナ様。外のお仕事ですよ」
お!ナイスタイミング!どんな仕事だろう。
「皇帝陛下がお呼びです」
……それはあまり嬉しくない。
クリスとクルトお兄様を連れて陛下の部屋へ行くと、すぐに中に入れてもらえた。お兄様を部屋の外に残して二人で中に入る。
そこにいる人を見てクリスが「げっ」っと小声で言う。一応咎めるようにクリスを見ると、唇を尖らせていた。私も気持ちは分かるけど。
「ごきげんよう、皇帝陛下、ディターレ公爵」
何かにつけて私に難癖をつけてくる貴族達数人は無視して挨拶をすると、陛下はただ頷いた。
こういう状況で呼ばれるのはいい予感がしない。だってどう見たってディターレ公爵達が陛下に何かを進言していたってことじゃん。それに私が呼ばれるって何!?私ほんとに関係あるの!?
「突然呼び立ててすまない」
陛下は私にそう謝罪し、ディターレ公爵を見た。
「先日そなたにも話した人事の件でこの者らが納得がいかないそうだ」
まあそうだよね。知ってた。中心に若い人たちを置いた上に、うるさい貴族達は明らかに左遷されていたのだ。そりゃ文句の一つや二つ言いたくなるだろう。
「どうしてわたくしが呼ばれたのでしょう?」
決めたのは私ではない。陛下だ。呼ばれたって仕方がない。
「そなたを呼べという声が複数聞こえてな」
誰が言ったのか知らないけどいい迷惑だ。貴族達に視線を向けると、何人かが私を睨んでいた。皆、過去に私とユリウス様に喧嘩を売って辛酸を舐めた人達だ。
どうやら逆恨みをされているよう。しかしユリウス様ではなく私だけ呼び出すというところに少しムカつく。
「中心に置かれたのは全て殿下に近しい人物です。明らかな作為を感じます」
ディターレ公爵が私を責めるような口調で言った。私は目が点だ。
「……その決定にわたくしは一切関与しておりませんが?」
「贔屓、もしくは賄賂の有無はありませんか?」
だから、私何も知らないんだけど。
「わたくしの知る限りございませんが、その点は陛下にご確認いただいた方が確実なのでは?」
「一切ない」
私の言葉に陛下がきっぱりと言った。
もう話終わったじゃん。私がわざわざ来ることなかったじゃん。
そう思ったが、これで終わる話ならきっと私は呼ばれていない。
ディターレ公爵の後ろでヒソヒソと話す嫌な感じのおっさん達。ユリウス様のおかげで嫌な貴族はだいぶ減ったと思っていたが、嫌な人は次々と出てくるものだ。
「おっしゃりたいことがございましたらはっきりと言ってくださいませ」
そう言うと急に静かになる人達。アホか、と言いたくなる。
「そちらの伯爵、どうぞ、今小声で話していたことを大きな声で聞こえるようにおっしゃってください」
一人を指すと、指された貴族はビクッと体を揺らし、そしてキッと私を見た。
「主要な席は全てエレナ様の関係者。そして騎士団の指揮権までもがエレナ様が持つとは、何か企んでいるとしか思えないのですが?」
そんなのは私だって思っていたよ。だからあの時言ったのに。
「陛下の御前です。言葉遣いに気をつけてくださいませ」
私の指摘にクリスがプッと笑った。伯爵の顔が真っ赤になる。「クリス」と小さく咎めておく。
あああ、面倒くさい。そもそも私関わってないって言ってんじゃん。陛下と話してよ。私は騎士団の指揮権もいらないからさ。
陛下にチラッと見るが、助け舟は出してくれなさそうだ。元はと言えば陛下のせいなのに。
「再度申します。わたくしは決定に一切関与しておりません」
あー、今ここにカイかユリウス様が来ないかな。他力本願。だけど人生そう甘くない。
「その上で言わせていただきますが、名前が挙がっている者は皆優秀です。努力で今の立場におさまっており、それは今後も変わりません。どうして家名や爵位に胡座をかいている皆様がそこに並べるとお思いですか?」
私の言葉で部屋の中の温度が急な下がる。皆の表情が凍りつく中、私はにっこりと笑顔を浮かべた。
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