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祝福
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朝目が覚めると少しの気持ち悪さを覚えた。が、はっきりと気持ち悪い訳ではないし、体調も悪くない。
……気のせいかな。
そう考えて気にしないでいた。しかし少し時間が経ってもスッキリしない。
「エレナ?どうしたの?」
朝ご飯の準備をしているクリスが、いつもよりも口数が少ない私に気が付いてか、聞いてきた。
「なんだかこう、胸のあたりがムカムカする気がして……昨日の夕食に揚げ物を食べたせいかしら?」
クリスとユリウス様が私を見る。
「わたくしも揚げ物で胸焼けする年齢かしらね。やはりユリウス様もこういうことありますか?」
私もいつの間にか25歳。今までは多少脂の多いものを食べても全くなんともなかったけど、気をつける年になってしまったのだろう。
ユリウス様は苦笑いを浮かべて言った。
「確かに僕は君たちより年上だけど、年寄り扱いしないでもらいたいね」
「あ、すみません。そういうつもりではなかったのですが」
確かに私はものすごく失礼なことを言ってしまったのかもしれない。もう少し考えて発言するべきだった。反省。
ユリウス様が笑うクリスを睨む。
「というか、君のそれは胸焼けじゃなくてつわりだと思うよ」
……ああ、そうか。これがそうなのか。
「え?」
納得して頷いていると、クリスがポカンとした顔で私を見ていた。
「つわり?って、え?どういうこと?エレナ」
「言っていなかったわね。昨日、妊娠が分かったのよ」
クリスがアワアワとよく分からない動きをする。そして、別の方向から、ガチャガチャと食器の音が聞こえた。
見るとアリアが明らかに動揺している。隠そうとしているが、その手は隠せていないほどに震えていた。
「ア、アリア?大丈夫?」
「あ、も、申し訳……」
「と、とりあえずお皿を置いてちょうだい……!」
正直、そんなに驚くことかと思った。しかしお皿を置いたアリアは驚くことに涙を流し始めたのだ。
ぎょっとして駆け寄ると、アリアは泣きながら私を抱きしめた。
「おめでとうございます……!」
声が震えていた。
祝福してくれたってことは喜んでくれているってことでいいんだよね?
「おめでとう!エレナー!」
さらにクリスも抱きついてきて身動きが取れなくなった。
「あ、ありがとう」
クリスが離れ、アリアとも離れる。アリアの表情は本当に嬉しそうに見えた。クリスもニコニコとしていて、「男の子かなー?」とか「女の子も絶対可愛いよねー」とか、一人で楽しそうだ。
……まさかこんなに喜ばれるとは。
昨日ユリウス様に報告した時は「そう」とたった一言だけだったというのに。てっきり産まれるまでは油断できないよって感じかと思っていた。
「大袈裟すぎ」
ユリウス様が浮かれるクリスにそう言った。しかしクリスは珍しく言い返す。
「大袈裟じゃありません。今喜ばなくていつ喜ぶっていうんです?殿下だって少しは喜んだらどうですか?どうせ冷静に『そうなんだ』って言った程度でしょう?」
すごい、当たってる。そして少し似てる。クリスのモノマネに思わず感心してしまった。
「クリス、ありがとう。アリアも。喜んでもらえて嬉しいわ」
あまり良くない空気を察して二人の間に入ると、ユリウス様は何か言いたそうに、だけど何も言わずに座った。
クリスは不満そうに朝食の準備を再開した。少しの間誰も喋らなかった。
「……これから何が起こるか分からない。無事に産まれるとも限らない」
ユリウス様がそう言ったのは準備が終わり、三人で座った時だった。
昨日のユリウス様の話を思い出す。確かにそれはそうかもしれない。何もなくとも無事に育たない可能性もあるのに、皇族というのはさらに危険な立場にある。
「産まれますよ」
クリスははっきりと言った。
「無事に産まれます、私が守りますから。殿下だってそのつもりでしょう?」
珍しく真剣な表情のクリス。先ほどの芽生えた少しの不安はさっと消えた。ユリウス様はクリスの言葉にふっと表情を緩めた。
「だけど安心しましたね」
「あら?何が?」
今のやり取りで安心することがあっただろうか。クリスはニヤッとしてユリウス様を見た。
「エレナの前でデリカシーのない発言をしてしまうほどに、殿下が焦っているんだな、と思うと、一応喜んではいるんだろうなって」
……ふむ、なるほど。そうなのかもしれない。
ユリウス様はクリスを見たが、何も言わずに視線を逸らした。
私はクリスと顔を見合わせて笑った。
……しかし本当にこのお腹の中にいるのだろうか。生きているのだろうか。
妊娠というのは常に不安が付き纏うんだな、と思った。
意味はないかもしれないけど、光魔法でもかけておこう。
……気のせいかな。
そう考えて気にしないでいた。しかし少し時間が経ってもスッキリしない。
「エレナ?どうしたの?」
朝ご飯の準備をしているクリスが、いつもよりも口数が少ない私に気が付いてか、聞いてきた。
「なんだかこう、胸のあたりがムカムカする気がして……昨日の夕食に揚げ物を食べたせいかしら?」
クリスとユリウス様が私を見る。
「わたくしも揚げ物で胸焼けする年齢かしらね。やはりユリウス様もこういうことありますか?」
私もいつの間にか25歳。今までは多少脂の多いものを食べても全くなんともなかったけど、気をつける年になってしまったのだろう。
ユリウス様は苦笑いを浮かべて言った。
「確かに僕は君たちより年上だけど、年寄り扱いしないでもらいたいね」
「あ、すみません。そういうつもりではなかったのですが」
確かに私はものすごく失礼なことを言ってしまったのかもしれない。もう少し考えて発言するべきだった。反省。
ユリウス様が笑うクリスを睨む。
「というか、君のそれは胸焼けじゃなくてつわりだと思うよ」
……ああ、そうか。これがそうなのか。
「え?」
納得して頷いていると、クリスがポカンとした顔で私を見ていた。
「つわり?って、え?どういうこと?エレナ」
「言っていなかったわね。昨日、妊娠が分かったのよ」
クリスがアワアワとよく分からない動きをする。そして、別の方向から、ガチャガチャと食器の音が聞こえた。
見るとアリアが明らかに動揺している。隠そうとしているが、その手は隠せていないほどに震えていた。
「ア、アリア?大丈夫?」
「あ、も、申し訳……」
「と、とりあえずお皿を置いてちょうだい……!」
正直、そんなに驚くことかと思った。しかしお皿を置いたアリアは驚くことに涙を流し始めたのだ。
ぎょっとして駆け寄ると、アリアは泣きながら私を抱きしめた。
「おめでとうございます……!」
声が震えていた。
祝福してくれたってことは喜んでくれているってことでいいんだよね?
「おめでとう!エレナー!」
さらにクリスも抱きついてきて身動きが取れなくなった。
「あ、ありがとう」
クリスが離れ、アリアとも離れる。アリアの表情は本当に嬉しそうに見えた。クリスもニコニコとしていて、「男の子かなー?」とか「女の子も絶対可愛いよねー」とか、一人で楽しそうだ。
……まさかこんなに喜ばれるとは。
昨日ユリウス様に報告した時は「そう」とたった一言だけだったというのに。てっきり産まれるまでは油断できないよって感じかと思っていた。
「大袈裟すぎ」
ユリウス様が浮かれるクリスにそう言った。しかしクリスは珍しく言い返す。
「大袈裟じゃありません。今喜ばなくていつ喜ぶっていうんです?殿下だって少しは喜んだらどうですか?どうせ冷静に『そうなんだ』って言った程度でしょう?」
すごい、当たってる。そして少し似てる。クリスのモノマネに思わず感心してしまった。
「クリス、ありがとう。アリアも。喜んでもらえて嬉しいわ」
あまり良くない空気を察して二人の間に入ると、ユリウス様は何か言いたそうに、だけど何も言わずに座った。
クリスは不満そうに朝食の準備を再開した。少しの間誰も喋らなかった。
「……これから何が起こるか分からない。無事に産まれるとも限らない」
ユリウス様がそう言ったのは準備が終わり、三人で座った時だった。
昨日のユリウス様の話を思い出す。確かにそれはそうかもしれない。何もなくとも無事に育たない可能性もあるのに、皇族というのはさらに危険な立場にある。
「産まれますよ」
クリスははっきりと言った。
「無事に産まれます、私が守りますから。殿下だってそのつもりでしょう?」
珍しく真剣な表情のクリス。先ほどの芽生えた少しの不安はさっと消えた。ユリウス様はクリスの言葉にふっと表情を緩めた。
「だけど安心しましたね」
「あら?何が?」
今のやり取りで安心することがあっただろうか。クリスはニヤッとしてユリウス様を見た。
「エレナの前でデリカシーのない発言をしてしまうほどに、殿下が焦っているんだな、と思うと、一応喜んではいるんだろうなって」
……ふむ、なるほど。そうなのかもしれない。
ユリウス様はクリスを見たが、何も言わずに視線を逸らした。
私はクリスと顔を見合わせて笑った。
……しかし本当にこのお腹の中にいるのだろうか。生きているのだろうか。
妊娠というのは常に不安が付き纏うんだな、と思った。
意味はないかもしれないけど、光魔法でもかけておこう。
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