あの日、君は笑っていた

紅蘭

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第一章

告白Ⅵ

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「……そうですね。初雪に意味があるのかは知りません。ただ私、雪が好きなんです。その初めての雪を好きな人と一緒に見れたら嬉しいなって、そう思います」


はっきりとそう言った麗奈ちゃんの言葉に僕は特別驚くことはなかった。

別に普段の麗奈ちゃんから好意を感じられるわけではない。

だけどなんとなく知っていた。この子がまだ僕のことを好いていてくれていること。


麗奈ちゃんのことは嫌いではない。年下に興味がないって言うのも嘘だ。

だけど僕が好きなのは今までもこれからもきっと紗苗さん一人だけ。

今までなあなあで来てしまったけど、僕はもうこの子に会わない方がいいのかもしれない。

僕のことを好きで麗奈ちゃんにいいことは一つもない。


「……そう言ってもらえるのは嬉しいけど、」

「いいんです」


僕の言葉をさえぎって麗奈ちゃんのはっきりとした声が耳に届いた。


「弘介さんが私を見てくれなくてもこうして一緒にいたいだけなんです。もしかしたら、って少しだけ希望を持ちたいだけなんです」


希望を持ってもらっても僕は麗奈ちゃんには応えられない。

そう言いたかったが麗奈ちゃんは僕に話すすきを与えず喋る。


「いつかちゃんと諦めるので、今だけ好きでいさせてください。今まで通りここで一緒にいてください」


真剣な目に真っすぐ見られて、僕は声が出なかった。

少しの間見つめあう形になる。先に目をそらしたのは麗奈ちゃんだった。


「私が好きでいるだけでも迷惑ですか?」


その言葉にはっとしてようやく言葉が出た。


「いや、迷惑ではないけど……」


迷惑ではない。麗奈ちゃんの気持ちは迷惑なものではない。

ただ申し訳ないだけだ。僕なんかのために麗奈ちゃんの時間を使うことがもったいないと思うだけ。


「じゃあまた明日もギターを教えてくれますか?」


僕は少しためらったが頷くことしかできなかった。


「うん」


いつまでこれが続くのか分からない。

だけど麗奈ちゃんはもう少ししたら卒業だし、僕もいつまでも無職でいるわけにはいかない。

きっとそう長くは続かないはずだ。

そう自分に言い訳をして、今はただ穏やかなこの時間を大切にしていたかった。
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