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ダークドラゴンとの戦い
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ダークドラゴンが放った漆黒の炎の濁流は、魔王の板ホールに広がり、そこに居た下級魔物を焼き尽くした。
だがダークドラゴンはなおも炎をはき続ける。
最早、塵も残さない程、焼き尽くされているはずだが、自分を傷つけた忌々しい勇者と寄生虫をこの世から消滅させるべく、全ての力を出して燃やし尽くそうとした。
だがその途中で異変が起きた。
ブレスの炎の真ん中を、穴を穿つように突き抜けてくる存在があった。
「なっ! 勇者!」
ラナはダークドラゴンのブレスをものともせず、むしろブレスに向かって驚異的な跳躍力でジャンプして飛びこんだ。
巨大なブレスを貫きかき消したラナは猛烈な勢いでダークドラゴンに迫ってきた。
「ぐあはっ」
突如一直線に飛び込んできたラナにダークドラゴンはブレスを全力で吐いていたこともあり、対応することが出来ず、首の一部をラナの剣に切り裂かれた。
「はあっ」
攻撃を成功させたラナだが、それだけで終わりではなかった。
鎧の一部を変形させて翼を作ると、巧妙に動かして旋回し、ダークドラゴンに背後から攻撃を加えた。
「ぎゃああっっ」
無防備な背後を曝していたダークドラゴンはラナに翼を切り落とされ、地上に落ちた。
「お、おのれ小娘が!」
翼を切り落とされたダークドラゴンは人間大の大きさに戻り、あとから地上に降りてきたラナに相対する。
「はあっ」
再びブレスをラナに向かって吐き出した。
だが、これは囮だ。
避けられる事など織り込み済みだ。本当の目的はブレスで出来る隙を狙って接近してくるラナをおびき寄せるためだ。
「貰った!」
案の定、接近してきたラナに向かってダークドラゴンは右腕を伸ばし爪を突き立てた。
小さくなっても岩石を切り裂く堅く鋭い爪であり、キングミミックの触手鎧など切り裂けると考えていた。
だが、ラナの鎧に触れた爪は表面ではじかれ、跳ね返された。
「なっ」
いかなる物質でも切り裂く爪がはじき返された事にダークドラゴンは驚いた。
「シールドの魔法か!」
キングミミックが魔法を使うことは知っていた。だが初級のみで高度な物は使えないはず。だが、無茶苦茶な魔力をつぎ込まれ、通常ならばシールドの魔法ごと切り裂けるはずが、はじき返された。
「これが勇者の力か」
めちゃくちゃな魔力の供給源をダークドラゴンが知った瞬間、ラナの腕が振られ、爪を立て伸びていた右腕を切り落とした。
「があああっっっっ」
腕を切られたダークドラゴンは血を流し、地面に倒れた。
「ま、待て! 勝負はあった、降参する。今までの事も取り消し謝罪する」
「ありがとうございます」
兜に擬態したキングミミックは満足そうに言う。
力のみを信じ、策謀の効果を認めないダークドラゴンは目の上のたんこぶだった。
それを凌駕するラナを、力を手に入れた上に、ダークドラゴンを下した。
魔王軍では力が全てであり、戦って負けたら勝った相手に身を委ねるのがしきたりである。
降参したダークドラゴンは今やキングミミックの部下であり、気分が良かった。
(だが、危なかったな、シールドを勇者が自分で展開しなかったら危なかった)
ラナとダークドラゴンの戦いが予想以上に早くて展開に追いつけず爪を向けられたときキングミミックはシールドの展開が間に合わなかった。
だが、当たる寸前にラナが自ら魔法を展開した。
予想以上に浸食と融合が進んでキングミミックの能力や魔法を、魔法を使えなかったラナが使えるようになってきていた。
これはキングミミックに取っては嬉しい誤算だった。
しかし、誤算は誤算だった。
ラナはキングミミックの意思に反して、剣を振り上げると、降参したばかりのダークドラゴンに振り下ろした。
「ぎゃああああっっ」
振り下ろされた瞬間は何が起きたか分からなかった。
だが、ダークドラゴンが左腕を切り落とされ、悲鳴を上げて異常な事態である事がようやく周囲に分かった。
「よ、よせ! 我は降参し、臣従したぞ!」
「わ、分かっております!」
さすがのキングミミックも慌てた。
普段醜悪で諧謔に満ちた赤い目が、狼狽の色を見せる。
ダークドラゴンは、今のラナより劣っていても有能な駒であり、これから行う人間との戦いで使い甲斐がある。存分に戦って貰いたいので、これ以上傷つけるのはむしろ害だ。
それに降って臣従し受け入れた者を理由無く傷つけるのは魔王軍の中でも嫌悪されている。
臣従したい者がいなくなるし、臣従した者も去ってしまう。
何としても止めないと拙い。
「や、止めろ」
キングミミックは必死にラナを止めようと乗っ取った神経を使って動かそうとした。
しかしラナは意に介さず、素早く動きダークドラゴンの四肢を切り落としていく。
「ぐあああっっっ」
四肢を全て切り落とされたダークドラゴンは、地面に転がった。
ラナは乱暴にダークドラゴンを仰向けにして、自分に向かせる。
「さあ、楽しみの始まりね」
ラナは鱗の下に隠れていたダークドラゴンの逸物を牽きだして手に握る。
そして手甲の隙間から触手を出して愛撫を始めた。
だがダークドラゴンはなおも炎をはき続ける。
最早、塵も残さない程、焼き尽くされているはずだが、自分を傷つけた忌々しい勇者と寄生虫をこの世から消滅させるべく、全ての力を出して燃やし尽くそうとした。
だがその途中で異変が起きた。
ブレスの炎の真ん中を、穴を穿つように突き抜けてくる存在があった。
「なっ! 勇者!」
ラナはダークドラゴンのブレスをものともせず、むしろブレスに向かって驚異的な跳躍力でジャンプして飛びこんだ。
巨大なブレスを貫きかき消したラナは猛烈な勢いでダークドラゴンに迫ってきた。
「ぐあはっ」
突如一直線に飛び込んできたラナにダークドラゴンはブレスを全力で吐いていたこともあり、対応することが出来ず、首の一部をラナの剣に切り裂かれた。
「はあっ」
攻撃を成功させたラナだが、それだけで終わりではなかった。
鎧の一部を変形させて翼を作ると、巧妙に動かして旋回し、ダークドラゴンに背後から攻撃を加えた。
「ぎゃああっっ」
無防備な背後を曝していたダークドラゴンはラナに翼を切り落とされ、地上に落ちた。
「お、おのれ小娘が!」
翼を切り落とされたダークドラゴンは人間大の大きさに戻り、あとから地上に降りてきたラナに相対する。
「はあっ」
再びブレスをラナに向かって吐き出した。
だが、これは囮だ。
避けられる事など織り込み済みだ。本当の目的はブレスで出来る隙を狙って接近してくるラナをおびき寄せるためだ。
「貰った!」
案の定、接近してきたラナに向かってダークドラゴンは右腕を伸ばし爪を突き立てた。
小さくなっても岩石を切り裂く堅く鋭い爪であり、キングミミックの触手鎧など切り裂けると考えていた。
だが、ラナの鎧に触れた爪は表面ではじかれ、跳ね返された。
「なっ」
いかなる物質でも切り裂く爪がはじき返された事にダークドラゴンは驚いた。
「シールドの魔法か!」
キングミミックが魔法を使うことは知っていた。だが初級のみで高度な物は使えないはず。だが、無茶苦茶な魔力をつぎ込まれ、通常ならばシールドの魔法ごと切り裂けるはずが、はじき返された。
「これが勇者の力か」
めちゃくちゃな魔力の供給源をダークドラゴンが知った瞬間、ラナの腕が振られ、爪を立て伸びていた右腕を切り落とした。
「があああっっっっ」
腕を切られたダークドラゴンは血を流し、地面に倒れた。
「ま、待て! 勝負はあった、降参する。今までの事も取り消し謝罪する」
「ありがとうございます」
兜に擬態したキングミミックは満足そうに言う。
力のみを信じ、策謀の効果を認めないダークドラゴンは目の上のたんこぶだった。
それを凌駕するラナを、力を手に入れた上に、ダークドラゴンを下した。
魔王軍では力が全てであり、戦って負けたら勝った相手に身を委ねるのがしきたりである。
降参したダークドラゴンは今やキングミミックの部下であり、気分が良かった。
(だが、危なかったな、シールドを勇者が自分で展開しなかったら危なかった)
ラナとダークドラゴンの戦いが予想以上に早くて展開に追いつけず爪を向けられたときキングミミックはシールドの展開が間に合わなかった。
だが、当たる寸前にラナが自ら魔法を展開した。
予想以上に浸食と融合が進んでキングミミックの能力や魔法を、魔法を使えなかったラナが使えるようになってきていた。
これはキングミミックに取っては嬉しい誤算だった。
しかし、誤算は誤算だった。
ラナはキングミミックの意思に反して、剣を振り上げると、降参したばかりのダークドラゴンに振り下ろした。
「ぎゃああああっっ」
振り下ろされた瞬間は何が起きたか分からなかった。
だが、ダークドラゴンが左腕を切り落とされ、悲鳴を上げて異常な事態である事がようやく周囲に分かった。
「よ、よせ! 我は降参し、臣従したぞ!」
「わ、分かっております!」
さすがのキングミミックも慌てた。
普段醜悪で諧謔に満ちた赤い目が、狼狽の色を見せる。
ダークドラゴンは、今のラナより劣っていても有能な駒であり、これから行う人間との戦いで使い甲斐がある。存分に戦って貰いたいので、これ以上傷つけるのはむしろ害だ。
それに降って臣従し受け入れた者を理由無く傷つけるのは魔王軍の中でも嫌悪されている。
臣従したい者がいなくなるし、臣従した者も去ってしまう。
何としても止めないと拙い。
「や、止めろ」
キングミミックは必死にラナを止めようと乗っ取った神経を使って動かそうとした。
しかしラナは意に介さず、素早く動きダークドラゴンの四肢を切り落としていく。
「ぐあああっっっ」
四肢を全て切り落とされたダークドラゴンは、地面に転がった。
ラナは乱暴にダークドラゴンを仰向けにして、自分に向かせる。
「さあ、楽しみの始まりね」
ラナは鱗の下に隠れていたダークドラゴンの逸物を牽きだして手に握る。
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