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一夫一妻とは夫一人と妻一人を娶ることであろう、という超理論
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「一刀は妾達を纏めて愛してくれているぞ」
「ぶっ」
雅か玉兎か、どちらを取るか。
そんな一刀の悩みを一刀両断どころか周囲を巻き込む爆弾を玉兎はクラスに放った。
不意打ちを食らった一刀は再び噴き出す。
だが、一刀の変声が響いた後は静寂だけが残った。グラウンドゼロのように誰も彼もが驚きで声どころか動きさえ止めた。
どれほどの時間が経っただろうか。
数秒か、数分か、数時間か。
兎に角、玉兎の言葉はクラスの全員が時を図ることさえ出来ないほどの衝撃であり、全員が固まったように動けなかった。
「堂々と愛人か!」
「リアルハーレム!」
「重婚するのか!」
玉兎の発言をようやく理解できたクラスメートが騒ぎ出し、クラス内は騒然となった。
一刀は詰め寄られるクラスメイトを押しとどめるだけで精一杯だった。
そのため何も出来なかった。
視界の隅に入った、玉兎の発言で不安で身体を震わせ目尻に涙を浮かべる雅を見ても側に行くことが出来なかった。
「何か問題があるのかのう?」
爆心地でありながら、どうしてクラスメイトが騒いでいるのか理解できずにいる玉兎は首を傾げた。
「いや、玉兎さん。日本は一夫一妻制なんで」
首を傾げる玉兎にクラスメイトの一人が説明する。
「何じゃそれは?」
普通の子ならアホの子判定される質問だが、美人である玉兎はクラスメイトから丁寧に説明された。
「夫一人に妻が一人だけを認めるというのが日本の法律という事で」
「ならば妾が一刀と雅の二人を貰えば解決じゃろう」
「いや、どうしてそうなるんですか」
「簡単じゃ」
そう言って玉兎は立ち上がると自分の片方の腕でクラスメイトに揉みくちゃにされている一刀を抱き寄せる。
「妾が一刀を夫にする。そして」
一刀を抱えたまま、震えている雅の元へ行き残りの腕で雅を抱き寄せた。
「雅を妻として迎える。一夫一妻、数は合っておろう」
玉兎が一刀を夫として迎え、雅を妻として迎えるので一夫一妻だ。
玉兎が言った超理論にクラスは絶句した。
抱き寄せられた一刀と雅も玉兎の仰天発言に驚き、口を半開きにする。
雅など今までの怒りを忘れてしまって震えが止まったほどだ。
「あ、あの、玉兎さんは雅さんが一刀と一緒に居ても良いんですか」
「構わぬぞ。寧ろ妾の望みじゃ。雅の事は一刀と同じくらい好きじゃ。だから一緒に居られるのならば、これほどの喜びはない」
「いや、一緒というのはどうかと」
「妾と雅は同じじゃ。雅は妾の分身であり、妾は雅の分身じゃ。同じ身体なのにどうして邪険にする、寧ろ一緒が自然じゃろう」
雅の身体に封印され一刀によって二人に別れた雅と玉兎。玉兎にとっては当然の事実であり、自明の理だったが、事情を知らないあるいは知っても理解できないクラスメートにはトンデモ発言にしか思えなかった。
「いや、それでも雅さんが許すかどうか」
「確かに雅は独立した人間じゃ。じゃが妾が一刀も雅も好きである事は紛れもない事実。どちらかのみという選択肢は妾には無い。じゃから二人とも離さぬ。例え二人に嫌われて居たとしても妾の今の気持ちに偽りはない。二人に嫌われていても二人が好きじゃ」
二人の腕をギュッと握りしめて玉兎は胸を張って堂々と宣言した。
玉兎の宣言にクラスは再び沈黙する。
「愛人を許すの」
「愛人でいて良いの」
「いえ、堂々と重婚宣言。それも自分も愛しているって」
「まさか雅さんと玉兎さんの百合!」
「ハーレム内も愛し合っているってどんだけの天国だよ!」
各所で囁きあっている声が徐々に大きくなり、最後には嫉妬の叫び声が響き渡る。
一刀と雅へもやっかみの声が上げられたが、玉兎の発言に二人とも照れて顔を真っ赤に染め上げており、耳に入らなかった。
「で、でも、日本は重婚は禁止されているんで」
日本語が怪しくなったクラスメイトがなおも玉兎に説明する。
強く否定できないのは、自信満々で美人な玉兎ならやりかねない、実現しかねないと思っているからだ。
特に雅も一緒に居ることを許す、むしろ愛している、という発言で玉兎の器の大きさをクラスメイトは見せつけられており、実現性は大きいと思ってしまった。
「妻と夫を持てぬのか」
「いや、妻と夫の二人の間だけで結婚出来ると法律が認めているだけで」
「では法律によらない結婚なら良いと言うことか」
「ま、まあ、事実婚ならあり得ますけど」
「ならば妾は一刀の愛玩動物、ペットになろうぞ」
今までにない沈黙がクラスの中に生み出された。
確かに、人権が定義されていない妖魔である玉兎の立場は、自然界から動物を連れてきて飼っているペットに近い。玉兎の発言は間違ってはいない。
しかし、正体を隠しているとはいえ様々な書類を用意し正式に高校に入学して過ごす女子高校生となっている玉兎であり人間も同然だ。
それなのに、ペット宣言は一刀にも衝撃的だった。
「どういう事」
「二人、いや、三人の関係はどうなの」
「まさか、性的に隷属させているの」
「もしかして雅さんも」
「雅さんは許嫁だしあり得るかも」
「そういえば二人がいなくなること良くあるよな」
「保健室から二人が出てきたのを見た事ある」
「本番まで行ったんじゃないのか」
「校内でそんな事をしているの」
「部活を回っていたときもそんな事あったぜ」
「子供を産んだって話しも出ているぜ」
クラス内で再び内緒話が花開き、大きくなっていく。
事実が含まれているため、一刀は強く否定出来なかった。
何よりクラスの担任に睨まれている。
三人一緒に生徒指導室へ連行されたのは言うまでもなかった。
「ぶっ」
雅か玉兎か、どちらを取るか。
そんな一刀の悩みを一刀両断どころか周囲を巻き込む爆弾を玉兎はクラスに放った。
不意打ちを食らった一刀は再び噴き出す。
だが、一刀の変声が響いた後は静寂だけが残った。グラウンドゼロのように誰も彼もが驚きで声どころか動きさえ止めた。
どれほどの時間が経っただろうか。
数秒か、数分か、数時間か。
兎に角、玉兎の言葉はクラスの全員が時を図ることさえ出来ないほどの衝撃であり、全員が固まったように動けなかった。
「堂々と愛人か!」
「リアルハーレム!」
「重婚するのか!」
玉兎の発言をようやく理解できたクラスメートが騒ぎ出し、クラス内は騒然となった。
一刀は詰め寄られるクラスメイトを押しとどめるだけで精一杯だった。
そのため何も出来なかった。
視界の隅に入った、玉兎の発言で不安で身体を震わせ目尻に涙を浮かべる雅を見ても側に行くことが出来なかった。
「何か問題があるのかのう?」
爆心地でありながら、どうしてクラスメイトが騒いでいるのか理解できずにいる玉兎は首を傾げた。
「いや、玉兎さん。日本は一夫一妻制なんで」
首を傾げる玉兎にクラスメイトの一人が説明する。
「何じゃそれは?」
普通の子ならアホの子判定される質問だが、美人である玉兎はクラスメイトから丁寧に説明された。
「夫一人に妻が一人だけを認めるというのが日本の法律という事で」
「ならば妾が一刀と雅の二人を貰えば解決じゃろう」
「いや、どうしてそうなるんですか」
「簡単じゃ」
そう言って玉兎は立ち上がると自分の片方の腕でクラスメイトに揉みくちゃにされている一刀を抱き寄せる。
「妾が一刀を夫にする。そして」
一刀を抱えたまま、震えている雅の元へ行き残りの腕で雅を抱き寄せた。
「雅を妻として迎える。一夫一妻、数は合っておろう」
玉兎が一刀を夫として迎え、雅を妻として迎えるので一夫一妻だ。
玉兎が言った超理論にクラスは絶句した。
抱き寄せられた一刀と雅も玉兎の仰天発言に驚き、口を半開きにする。
雅など今までの怒りを忘れてしまって震えが止まったほどだ。
「あ、あの、玉兎さんは雅さんが一刀と一緒に居ても良いんですか」
「構わぬぞ。寧ろ妾の望みじゃ。雅の事は一刀と同じくらい好きじゃ。だから一緒に居られるのならば、これほどの喜びはない」
「いや、一緒というのはどうかと」
「妾と雅は同じじゃ。雅は妾の分身であり、妾は雅の分身じゃ。同じ身体なのにどうして邪険にする、寧ろ一緒が自然じゃろう」
雅の身体に封印され一刀によって二人に別れた雅と玉兎。玉兎にとっては当然の事実であり、自明の理だったが、事情を知らないあるいは知っても理解できないクラスメートにはトンデモ発言にしか思えなかった。
「いや、それでも雅さんが許すかどうか」
「確かに雅は独立した人間じゃ。じゃが妾が一刀も雅も好きである事は紛れもない事実。どちらかのみという選択肢は妾には無い。じゃから二人とも離さぬ。例え二人に嫌われて居たとしても妾の今の気持ちに偽りはない。二人に嫌われていても二人が好きじゃ」
二人の腕をギュッと握りしめて玉兎は胸を張って堂々と宣言した。
玉兎の宣言にクラスは再び沈黙する。
「愛人を許すの」
「愛人でいて良いの」
「いえ、堂々と重婚宣言。それも自分も愛しているって」
「まさか雅さんと玉兎さんの百合!」
「ハーレム内も愛し合っているってどんだけの天国だよ!」
各所で囁きあっている声が徐々に大きくなり、最後には嫉妬の叫び声が響き渡る。
一刀と雅へもやっかみの声が上げられたが、玉兎の発言に二人とも照れて顔を真っ赤に染め上げており、耳に入らなかった。
「で、でも、日本は重婚は禁止されているんで」
日本語が怪しくなったクラスメイトがなおも玉兎に説明する。
強く否定できないのは、自信満々で美人な玉兎ならやりかねない、実現しかねないと思っているからだ。
特に雅も一緒に居ることを許す、むしろ愛している、という発言で玉兎の器の大きさをクラスメイトは見せつけられており、実現性は大きいと思ってしまった。
「妻と夫を持てぬのか」
「いや、妻と夫の二人の間だけで結婚出来ると法律が認めているだけで」
「では法律によらない結婚なら良いと言うことか」
「ま、まあ、事実婚ならあり得ますけど」
「ならば妾は一刀の愛玩動物、ペットになろうぞ」
今までにない沈黙がクラスの中に生み出された。
確かに、人権が定義されていない妖魔である玉兎の立場は、自然界から動物を連れてきて飼っているペットに近い。玉兎の発言は間違ってはいない。
しかし、正体を隠しているとはいえ様々な書類を用意し正式に高校に入学して過ごす女子高校生となっている玉兎であり人間も同然だ。
それなのに、ペット宣言は一刀にも衝撃的だった。
「どういう事」
「二人、いや、三人の関係はどうなの」
「まさか、性的に隷属させているの」
「もしかして雅さんも」
「雅さんは許嫁だしあり得るかも」
「そういえば二人がいなくなること良くあるよな」
「保健室から二人が出てきたのを見た事ある」
「本番まで行ったんじゃないのか」
「校内でそんな事をしているの」
「部活を回っていたときもそんな事あったぜ」
「子供を産んだって話しも出ているぜ」
クラス内で再び内緒話が花開き、大きくなっていく。
事実が含まれているため、一刀は強く否定出来なかった。
何よりクラスの担任に睨まれている。
三人一緒に生徒指導室へ連行されたのは言うまでもなかった。
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