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第二話 レッドピンチ 驚異の女幹部レディスコルピオン

突然の砲撃

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「むっっ」

 高速で近づいてきたのは砲弾だった。
 驚いたレディスコルピオンは咄嗟に避けようとする。

「くっ」

 しかし、レッド密着していたため自由に動けない。
 一撃目は何とか避けたが、二撃目三撃目は完全に回避出来ない。

「うわわわっ」

 ヴァレリーに対処させたいが、彼女達にも砲弾の雨が降り注ぎ、回避に精一杯で対処どころではない。

「くそっ」

 自分一人ならどうにでもなる。
 あの程度の砲弾なら自分の甲殻は貫通できない。
 だが、レッドを、ここまで好みの獲物を傷つけたくない。
 やむなく、レディスコルピオンは密着状態を解除して迎撃に向かう。

「はっ」

 迫り来る砲弾とレッドの間に入り込み自身の硬い装甲で受け止める。

「ふん、他愛もない」

 砲弾は爆発したが、レディスコルピオンの装甲を食い破る程ではなかった。

「誰だ! 私の邪魔をしたのは」

 せっかく最高のボルテージだったのに邪魔をされた事に、いやだからこそレディスコルピオンは怒り狂っていた。

「そこね」

 撃ち出してきた大砲を見つけると、ダッシュで迫り、拳を握る。

「はっ!」

 怒りの拳が大砲に叩き込まれた。
 衝撃で大砲は砲弾ごと圧縮され、大爆発を起こす。

「ふん、他愛ないわ」

 髪をひらめかせ、邪魔者を潰した事でせいせいする。

「じゃあ、続きをしようかしら」

 レッドのいる方向をむきレディスコルピオンは微笑む。
 だが、視界を遮る爆煙が晴れた時、レッドの姿はなかった。

「なっ」

 予想外の事態にレディスコルピオンは初めて大きく動揺する。

「どういうこと、あの状態で、タップリと毒を入れて麻痺している身体で逃げられるハズがないわ。周りを見渡すが、何処にもいない」

 周りを探すが、いるのは戦闘員達と逃げ遅れた市民だけだ。

「あなたたち、逃がしたんじゃないだろうね」

 怒りを込めた声でレディスコルピオンは睨み付けるが、萎縮した戦闘員達は首を横に振るだけだ。

「まさか、レッドを掠うために、離すために砲撃してきたの」

 事実に気がつきレディスコルピオンは驚き、怒りを爆発させる。

「なんてことをするのよ! あの子を危険に晒した上に掠うなんて! 」

 自分の人形を横取りした相手に対して怒りをぶつけようとするが、いない。
 そのため、目の前にいる相手に八つ当たりする。

「ヴァレリー! 探しに行きなさい! 見つけるまで探して! 見つけられなかったら私の気が済むまでいたぶるからね」

「は、はいっ」

 手近な建物に拳を叩き付け、バラバラに壊しながらレディスコルピオンは宣言しヴァレリー達に探しに行かせた。
 ヴァレリーはレディスコルピオンを恐れて離れるように探しに行く。
 そして、一人残った町の広場でレディスコルピオンは八つ当たりの対象がいなくなり、虚空へ向けて、自分から玩具を掠った存在に大声で叫んだ。

「見ていなさい! あの子を掠った奴は見つけ出して、ありったけの毒を注ぎ込んで苦しめた後、八つ裂きにしてやる!」
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