パーティーから追放された中年狙撃手の物語

武田コウ

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募集兵

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「何だって? ヤマトに行く船は出せないのか。金ならあるんだが・・・」




 速見の言葉に船乗りの男は首を横に振った。




「悪いねアンタ。出してやりたいんだが・・・近々ヤマトへの大規模な遠征があってヤマトへ行ける船乗りは全員そっちにとられるんだ」




「大規模な・・・遠征?」




 速見の疑問に男は答える。




「ああ、知らないのかい? 最近街はその話で持ちっきりなんだけど」




「知らないな。何せ俺は昨日この国に来たばかりなんだ」




 その言葉に男は納得したように頷いた。




「なるほどな旅人さんか。詳しいことは街の中心にある掲示板を見てみるといい。俺が説明するより詳しくわかるだろう」




 速見は船乗りの男に礼を言って別れた。































 船乗りの男に教えて貰った場所に行くと、確かに掲示板がありそこに人だかりができているのが見えた。




 人混みをかき分けるようにして掲示物を確認する。




 ヤマト国遠征において一般より兵士を募集する。




 日にちは三日後

 参加者には国より保証金が支払われるとの事だった。




(ふむ、募集人数は相当多いな。遠くの地へ遠征をするのだ、貴重な兵士を無駄に浪費せずにするための策だろうな。しかしこの数・・・よほどやっかいな相手と見える)




 張り出されている資料を見るに、この国がヤマト国に対して戦争を仕掛ける訳では無く。ヤマト国にて出没した化け物に対処する為に友好国であるこのドロア帝国が呼び出されたとの事だった。




(戦にかり出されるのは不本意だ・・・だがこの気を逃せばヤマト国へ渡るのにかなり時間を取られるだろうな)




 ならば取るべき策は一つだ。

 にやりと笑った速見はそっとその場から立ち去った。






























「募集兵の集まり具合は順調のようだな」




 クリサリダは募集兵の名簿をチェックしていた秘書官の男に声をかける。男は名簿のチェックに集中していたため声をかけられるまでクリサリダの存在に気がつかなかったようで、驚いた様子で振り返った。




「おお、これは騎士長殿。よくぞお越し下さいました。ええ、順調に集まっております。これも騎士長殿が報奨金を増額したからでしょうな」




「こういうものはケチっても良い成果にならない。金というものは使うべき時に惜しみなく使うべきものだからな」




 そう言いながらクリサリダは秘書官が仕分けた募集兵の個別資料を一束つかみ取る。パラパラとめくって役に立ちそうな経歴の持ち主を探した。




「お? コイツは良さそうだ。Bランクの冒険者だとさ。・・・それからフリーの傭兵に・・・街の力自慢の若造、か。全員は雇えないな少し実力者とそうでないものを仕分ける必要がある」




「具体的にどのようにしましょうか?」




 秘書官の質問に、クリサリダは何でも無いことのように答えた。




「なに、簡単な手法さ。とりあえずこの書類を流し見て明らかに実力の足りてなさそうな経歴の者を除外する。Cランク以上の冒険者や名のある傭兵は積極的に雇うがそれ以外の書類だけでは判別できなさそうなやからは直接会って戦闘力を確かめるのさ」




「・・・そのテストは騎士長殿が直接行うので?」




「まあ俺もやるが一人では捌ききれん。今回遠征に行く俺の私兵五百でもって大々的に試験を行う。まあ雇う数は最大でも二千ってとこだろうな」




 相手はたった4人で軍を壊滅させる化け物だ。本当なら万全を期してもっと大勢の兵を雇いたい所だが予算には限りがある。




「出来るだけ私兵の被害は押さえたい。なぜならその後のフスティシア王国との戦争にも備えなくてはならないからな。・・・だからこそ募集兵は実力者を揃えたいんだ」




 クリサリダは疲れたようにため息を吐くと、机に積み上がった書類の山に目を向ける。




「・・・流石に助っ人を呼んだ方がいいな」




 この書類の整理だけでもかなりの時間を要するだろう。

 クリサリダは国の人員不足に頭を痛めるのであった。










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