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第一章

2  〜いわゆるぽっちゃりさんだ。そうデブと言ってはいけない、

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 のんきものの彼女は、門井智美かどい さとみ31歳。顔は醜くもなく、美人でもなくいたって普通。身長はそこそこ有るが、高いと言うほどでもない。胸は有るが、ほかもあるので、いわゆるぽっちゃりさんだ。そうデブと言ってはいけない、ぽっちゃりさんである。

 OL歴10年のおひとり様街道まっしぐらな寂しい自分を慰めるため、有給を使って自分への誕生日プレゼントで一人旅をしていた。

 国内の南の島に行くのに旅費を浮かすため、ジェット船ではなく定期便の夜間便に乗っていた。

 満月が浮かぶ夜の海がきれいで、智美は深夜にもかかわらず甲板にでて、月光で光る海原を眺めていた。

そこに男女の争う声がする。



「しつこいよ、みんなでならいいって言っただけじゃない。」

「君と一緒に旅行に行けるなら、仕方がないと思ったけど、一緒に来てくれるんだから、悪くは思ってないんだろ。」


 智美はげんなりした。せっかくのいい雰囲気が台無しである。

 聞きたくはないが、静寂に包まれていたこの時間帯では、聞こうと思わなくても聞こえてしまう。

 船内に入ろうかなとも思ったが、行く手を阻むような位置で言い争いをしているので、どうしようかと思っているうちに、男性が女性の腕を掴んで無理やり連れて行こうとし始めた。

「ちょっと、さすがにそれは、ひどいでしょ。」

 智美は関わりたくはなかったが、つい近寄って声をかけてしまった。

 人がいると思ってなかった男性はビックリして女性の手を放す、逃れようともがいていた女性は、勢い余って智美にぶつかり…その勢いのまま二人で船外へ投げ出されてしまったのだった。



 そして今に至る。



 救助の人の姿は見たから、助けられたと信じて疑わなかったのだが、ただ、言葉の通じない外国船に助けられたのだろうかと、疑問に思う。智美は英語がからきしできないので自信はなかったが、英語ではないようだ…というか、声はきこえるがなんと発音しているのかすら聞き取れない。

 入ってきたチェリーブロンドの女性は、言葉がつうじないのが分かっているのか、手振り素振りで服を着替えられるかと、サイドテーブルに置いてある、服を示して訴えているようだ。

「着替えてってこと?」

 そう言葉にしながら、ベッドサイドに足を下ろそうとすると、思いのほかベッドの位置が高く、足を下ろすのに、子供のようにつま先立ちになった。立って着替えようと自分の着ている服を見て戸惑った。これは寝間着なのか?ハリウッド女優がレッドカーペットできているようなドレスに見えるんですが…。

(さらさらして絹っぽい?着心地はいいけど、この胸の空きぐあいはいかがなものかと、おまけにお腹がくびれてないんだからやめてーーーー)

 智美は胸はあるがクビレはない、ぽっちゃり系の自分の体に嘆きつつ脱ごうと思ったが、どう脱いだらいいのかわからないで戸惑っていたら、そばについていたチェリーブロンドの彼女が胸下にある布地を掴んではずし始めた。どうやら、大きめのロングちゃんちゃんこのような服を、帯を胸下に巻いて止めているようだ。

 するすると、帯を解かれて脱がされると、ブラはしてなくショーツも自分のものでは無いようだ、驚いてワタワタしていると迷いのない手で、民族衣装のような、見たこともない服を着せられた。その衣装をしげしげと観察していると、伸ばしっぱなしで長くなった智美の髪をチェリーブロンドの彼女は軽く櫛ですいてくれた。

 智美はいつも、まとめて後ろに一つのお団子にしてしまうので、何もせずにただそのまま縛らず流しておくのは、邪魔なのだが、着替えや身づくろいの手伝いをしてもらってるし、言葉は通じないしで、何も言い出せなかった。身なりが整うと、チェリーブロンドの彼女は付いてきてというそぶりを見せドアを開けたので、素直に後についていく間、見たことのない風景に智美は挙動不審にならないように自分を落ち着かせながら進み、案内された部屋に入ると、座るように指示され、案内してきた彼女は部屋を出て行った。

 座りながらあたりを見渡す。

(やっぱり、全ての作りが大きい。ドアも椅子も机も、天井もどれもなんだか高さがあるし、ここに来るまでにすれ違った、男性も女性も背が高かった。特に男性は2メートル近くあるんじゃないかな、一人だけじゃないし。髪の色もあまり見たことない色が居たな…染めてるのかな。)

 この部屋に案内されるまでに、この建物に勤めている人なのか、男性、女性数名とすれ違ったが皆自分より背が高かった。智美の身長は165センチある。背が高いとよく言われるが、とびぬけてというほどでもなく、本人的には背の小さい女性に憧れていた。骨格がしっかりしていて、ぽっちゃり体系な智美はせめて身長が低ければ、まだ可愛げが出るだろと思っていたからだ。

 彼女はだんだん不安になってきた。なぜなら、自分は国内旅行で船に乗っていたはずだ、海に落ちて航路上にいた外国船に助けられたのかと思ったが、なんだか変である。漂流したわけではない、落ちてすぐ溺れたところを助けられたはずだ。ならば、もともとの船か助けてくれた船上か、近隣の国にいるのがあたりまえなはずだ、しかし、どこの国かさっぱり判断できない場所にいる。


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後書き
今頃ですか呑気過ぎですヒロイン。
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