清色恋慕 〜溺れた先は異世界でした〜

月峰

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第四章

41 〜いいわけあるかい!!

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 ミエルに先導されて入った洞窟は大きな空間で、山の地中にこんな大きな空間があるのが不思議だった。
 薄暗かったか、所々に、灯りの器具が取り付けられていて、あたりの様子が見て取れるぐらいの光量はあった。
眼前に広がる水辺は泉と言われているが、大きな地底湖の規模だ、泉はほんのりと薄く青い光を発しているようだった。


 許可を得て、直ぐ様青神泉へ行きたかったが、ミエルにやんわりと止められた。
 どうやらその場所には、青泉使は禊ぎをしてから入るようで、ミエルには明日にいたしましょうと言われ、仕方なく頷いた。
 案内もなく行くのは気が引ける。
 皇族の方に、案内して貰えば良いのかもしれないが、普段青龍様と対話しているのは総代のミエルなので、総代を差し置いて行くのも何か違うと思ったからだ。
 わがままを言う愛子は珍しく、何も言ってはこなかったので、智美とミエルで予定を決めていた。
 次の日、いざ向かおうと部屋で準備をしていれば、カイが迎えに来て驚いた。
 昨日その場で何も言ってなかったので、一緒に行くとは思ってなかったからだ。
 待ち合わせの場所に、智美がカイとともに現れたので、挨拶を交わしたのちミエルはしばし沈黙したが、そこに愛子がサジュとメリルを連れて現れたので、ミエルはサジュに気を取られて怪訝な顔をする。

「おはようございま~す」
『おはようございます、アイコ様…』

 ミエルの問う様な視線に気づいたのか、愛子がサジュの腕にしがみつきながら、言葉を繋いだ。

「サジュが青神泉行きたそうだったから、連れて来ちゃった、いいでしょう」

 その場にいた全員が絶句して呆れていた。

(いいわけあるかい!!青神泉は皇族か青泉使しか入れないって、最初に聞いてるだろうよ!!
 だから別盤者の私達が特別に入るのに、陛下に許可をもらうのに昨日謁見したんでしょうが!)

 思わず、智美は心の中で悪態をついた。

 愛子の言葉を聞いて驚いたのはサジュである。
 彼はお見送り程度の気持ちで付いて来ただけだったので、慌ててミエルに言い訳をした。

『申し訳ありません総代様。
 私が、青神泉を見れるのはすごい事だと、羨ましげに申してしまったので、優しいアイコ様は私にも見せたいと思われてしまったのだと、私はここで侍女様とお待ちしておりますので』

 サジュの言葉に今度は愛子が何故か慌てた様に言い立てる。

「何で!メリルと一緒に待ってるのよ!!」
『アイコ様、許可を得たのは、サトミ様とアイコ様です。侍女のメリルは許可されておりません』

 呆れた様に言うミエルを睨む様に、愛子は言い返した。

「だって、そっちだっているじゃん!!」

 そう言いながら愛子の視線はカイに向いていた。
 その言葉で、愛子が青神泉の皇族と青泉使以外の、立ち入り禁止の事を覚えていない事も、昨日の陛下と智美の会話も聞いてなく、謁見の意味もわかってないことを智美は理解した。

『カイ皇子はもとより許可なく入れます。
 アイコ様、私が初めに説明したことを覚えておられないのですか?』

 ミエルの言葉に愛子は言い淀み、黙り込んでしまった。
 その様子は青神泉に向かう最中も、不機嫌にぶすくれている。

(まあ、ミエル様は手塚さんに厳しいもんね、自分の味方をしてくれる、誰かを連れて来たかったのだろうけど…この場合アル皇子しか連れてこれないけど…)

 智美はそう考えるが、もとより禁止事項を覚えていない愛子がアル皇子を思いつく訳もなく、アル皇子も公務で忙しいのでそれでなくとも無理だろう。

(なのに、何でこの場にいるのかなこの人は)

 そう思いながら、隣を歩くカイを横目で見る。
 カイも第二皇子とは言え、公務や仕事があるはずなのだが、当たり前の様に智美に付いて来た。
 その事に、智美は少し喜んでいる。
 青泉使総代のミエルがいるとは言え、こちらの問いかけに応えてくれるかはわからないが、神と言われる青龍に会うのは緊張する。
 例え義務だと思って付いて来てくれているのでも、その場に頼ってもいい好きな人がいるのは心強かった。


 たどり着いた青神泉の、神秘的な光景に智美が見惚れていると、ミエルとカイは祭壇の様な泉の淵から迫り出した場に向かっていたが、智美は泉の淵に寄って行った。

 あわく光っている様に見える、泉の淵に近づいてみると、浜辺の様に浅瀬になっているわけでもなく、底が見えないほどの水深で、静まりかえった水面は水が透き通っているからこそ、泉の淵からぽっかりと空く切り立った崖の様に見えた。

 智美は泉の際に立って、覗き込んでみた。

(うわー、不思議。
 薄ら光ってるように感じるのに、水底は何処までも青暗くて見えない、吸い込まれそう)

 そう思った瞬間

 ドン

(えっ)

 智美は後ろからの衝撃を受けてバランスを崩し、あっと言う間に目の前に水面が迫って来ていた。










──────────────
後書き

推考があまいのですが…。
考えすぎると、言葉を飾り立てる様になるので、勢いのまま上げます。
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