僕の家族!!!【ぼくのやぞく!!!】

ウツギ 遊先生

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お風呂と名前と喧嘩勃発

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男は宙を舞いあがる。


いきなりのことで何が何だかわからなかった。


けど、そんなことよりも、男が後ろに飛ばされた勢いで体制が崩れ倒れそうになる。

ポフッ

と、音がなったんじゃないかってくらいに、やさしく何かが僕を支えた。


「クソっ!いってぇじゃねぇか!!誰だてめぇ!!
………ゆ、結城さん!?え、あ、すすす、すみませんでしたぁ!!!」


!?


へ?いきなり何!?

結城さんって…?


そっと顔を上げる、僕を支えたのは人間で身長、180はゆうに超えていた。


「マキナこそ、いないと思ったら。ここで何してたの?
…それと君は大丈夫??」


そう言って、結城さんと呼ばれる人は僕の服装を整える。
乱れた呼吸に、溢れた涙。


ハンカチを取り出し、涙を拭いてくれて、やさしく背中をさすってくれた。


「だって、結城さん!!いいじゃないスかぁ~!!
最っ高に可愛かったんスからぁ!!
結城さんは我慢できるんスかぁ!?ドンピシャッすよ!?」


あのオレンジと、結城さんと呼ばれる人は知り合いなのか?



すると、いきなりグイッと引っ張られ、

「これっスよ!!!男だけど!!!」

と、前髪をあげられ、結城さん?と目が合う。




結城さん?は、一瞬驚いた顔をした。



「ん、そっか。兎に角、帰ったら私の部屋に来なさい。命令だよ。マキナ。」



「ひぃぃ!!!わかりやしたぁ…」



頭の回らない僕は、?マークを頭に浮かびながら、


突然、結城という人に抱き抱えられる。


!?


「ふぁ、ちょっ!は、な、何するんですか!!」


「おや、今更ですか?あ、持ちづらいので、私の首に手を回して。」


「え、あ、はい。………じゃなくて!!なんで僕は抱き抱え、ていうか、お、お姫様抱っこされてるんですか!?」


一瞬、ながされかけた。うぅ。



「ふふふ、貴方は綺麗だね。」



「え、そんな、ありがとうございます?」



て、また、ながされた!!



「ん、もう!離してくださ、ひぁっ!!」



僕が暴れようとしたら、無理やり耳を舐められた。


「…こんなことされたくなかったら。おとなしくしていていて。ね?」

僕はとっさに舐められた耳を抑えた。


横でオレンジのが、「エロ~い」なんて言うのは無視して、僕はおとなしくすることを決めた。


それにくわえ、今までの緊張が解け、力が抜けていく。


「おや、寝てしまったね。」


「そう見たいっスねぇ」


僕はいつの間にか意識を失って眠っていた。








目を覚ましたのは、布団の上だった。


「んん……、ん?へ?何処?ここ。」


視界には木の天井が見える。
何となく視界で見える範囲では、和風の家ということがわかった。


ていうか、なんかキツイとおもったら、隣に昨日の結城さん?という人が寝ているんですけど、どうすればいいのかな。


「あの、す、いません。起きてください。起きてください。」


「ん…、あ、おはよ。」



「お、おはようございます。」


結城さん?は、どこかおっとりしている雰囲気で、こちらをじーっと見る目てくる。




・・・・・。



「…あ、そうだ。お風呂入ろ?昨日そのまま寝ちゃったから。あ、それとも一緒に入りたくない?」


ちょっと待って、
その前に見知らぬ男と入りたがるわけないでしょ?


「…えと、お風呂は入りたいですけど、1人がいいです。」


「そっか。分かった。じゃあ少し待ってて?」


そう言い残して、
結城さん?は部屋を出て行った。


僕は1人で考える。


ここは何処?それよりも、お風呂なんか入っちゃって迷惑じゃないかな。
家に帰らないと、怒られてしまう。
あ、でも。僕が帰ったところで迷惑だよね。
というか、僕。人に迷惑なことしかしてない。


そんなことを考えていると、襖が開く。



「…おまたせ。はい、タオルだよ。多い方がいいよね。髪長いし。」


そう言って僕の頭を撫でる。


「あ、ありがとうございます。助かります。」 


僕の腰まで伸びる髪にも気を使ってくれているのか。


お風呂場はあっちね、と指をさす。


指をさされた方を見ると、押入れだった。


??どゆこと?


結城さん?は、あぁ!と気づいて、


「おーい、マキナぁ!こっち来て~」
と叫ぶ。



少し経ってから、


「…はいは~い、何ですかぁ?もうハンセーしましたよぉ~。それと、俺はマキナじゃなくて巻梨でーす」


と部屋に入ってくる。


そいつは昨日のオレンジだった。


こちらに気づくとバツの悪そうな顔をする。


「あぁ~…で、何ですかぁ結城さん。」


「そうそう。あのさ、この子をお風呂場に案内してくれる?」



はぁ?とオレンジは続ける。

「てか、結城さんが案内すればいいんじゃないスかぁ。わざわざ俺じゃなくても。」


「忘れた。」



「…はぁ?」



「だから、行き方を忘れちゃった。」


またっすかぁぁ!!??と、オレンジが言うということは前にもあったということであっているのかな?


「それと。」

結城さんはオレンジに近づいてボソボソと何か言っている。

僕には聞こえない。


「わかりやしたよ……ほら、行くぞぉ」


「あ、はい。」


部屋を出るとき結城さんはニコリと微笑み手を振っていた。


お風呂場までの道のりで、オレンジは横目でチラチラと僕を見て、

「…かったな」


小さくて聞こえない。


「はい?」


「だから!!すまねぇっつってんだ!!!」


「おぉぅ……何のことですか?」


大きな声に少し驚く。


オレンジは、はぁっ~~。とため息をついた。


「お前、覚えてねぇの??」


覚えてるって何のことかさっぱりわからない。


「だから、何のことですか?」


「まぢかよ、俺がいうのも何だか頭大丈夫か?」


「な!?失礼ですね!!頭は大丈夫ですよ!?」


だから!と複雑そうに、

「昨日のだよ…路地裏の時は悪かったな。」


あ、思い出した。
顔が赤くなっていく。できればそのままほっといて欲しかった。


オレンジは振り向いて、
「あ、やっぱ覚えてたんじゃねぇか!!!
……ほらついたぞ。さっさと入ってこい。」

そう言って、僕の背中を押して、ドライヤーの場所、シャンプーとリンスの入れ物の違いなど教えてもらった。


「じゃあ、終わったらさっきの部屋に戻れよな。
あ、あと、俺は巻梨っつうんだ。短い間だが、よろしくな。」



「はい、よろしくお願いします。マキナさん!」


だから俺はマキナじゃねぇぇええ!!!
と言ってデコピンをしてマキナさんは廊下を歩いて行った。


そして僕は早速お風呂に入らせてもらうことにした。

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