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ご飯とシャツとお別れ
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しおりを挟む「だって…だって!!気になったんだから仕方ないじゃない!!!結城ちゃんも思うでしょ!? だから、姫ちゃんを渡してちょうだい!!!」
「…だめだよ。チアキ。姫が怖がる…乱暴はだめだよ。」
「姫君も大変だな~!俺の次はよりにもよってチアキかよぉ…俺は結城さんにやめろって言われたらやめっけど、チアキはそうはいかないからなぁ~
まぁ、頑張れよ。姫君~」
そう言ってマキナさんは僕の肩をポンと叩く。
僕は結城さんの背に隠れている。
それはなぜかと言うと、
今にも襲って来そうなチアキさんから逃げている真っ最中である。
遡ること、こうなる数時間前のこと。
*******
また唐突に結城さんは思い出したように言った。
「あ、そう言えば姫はご飯まだだったね。何が食べたい?」
「えぇ!?ごごご、ご迷惑になった上にご飯だなんて…!失礼ですし、だめですよ!!」
確かに昨日の朝から食べていないのは事実で、
お腹も減っているけれど、これ以上結城さんたちに迷惑はかけられない。断ろう。
「だめよ姫ちゃん!!栄養をしっかり取らなきゃ、お肌が荒れちゃうわよ!」
そんなイケメン顔で言われても…。
「そうだぜぇ俺なんか飯何十杯でもいけるかんな!」
そんなマキナさんの自慢はきいていませんよ…
「……ふ~む。ま、いいや。マキナ。
とりあえず何でもいいから何かつくらせて持って来てくれない?」
「また俺っすかぁ!?嫌っすよぉ~」
「…マキナ。何度も言わせるつもり…?」
「…わ、かりましたっす。少し待っててくださいっす。」
結城さんの圧に負けたマキナさんは、襖を開け、出て行った。
「て言うか僕は食べませんからね!?」
「…分かってるよ。あれは私にだからね。」
それなら良かった。と安堵する僕の腰にするりと何かが巻きつく。
それはチアキさんの手で、僕の腰やお腹のサイズを測るように触っていた。
「ち、チアキさん!?なな、何をしているんですか!?」
「…サイズを測っているのよ。それにしてもアンタ細いわね。薄すぎるわ…ちゃんと食べてるの?
そこらの女の子より細いし骨もちょっと出てるわよ!?」
「…そ、うですか??ちゃんと食べてるつもりですけど…」
チアキさんは真剣な眼差しで僕を見ると、
「…姫ちゃん。アンタ最後にご飯をちゃんと食べたのはいつかしら…?」
え、と戸惑いながらもその問いに答えることにした。
「…た、確か…えと。昨日の朝に食パンを一枚食べてから何も食べていません。…けど。」
「はぁ!?何アンタ!?飢え死にするつもりなの!?とにかく今すぐ何か食べなさい!!」
チアキさんに頭をペシッと叩かれた。痛いし、少し強い。
「…でも、迷惑は、嫌ですから…」
「…そんなことないよ。姫。ご飯はちゃんと食べないとね。それに、迷惑なんて誰も言ってないでしょ…?
私とチアキは姫にご飯をちゃんと食べて欲しいだけだよ。」
「そ、そうですか……分かりました。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうことにします…」
「それでいーのよ!!!遠慮なんかしてられないからね!!さ、こっち座んなさい…!」
そう言ってチアキさんは、ポンポンと木でできたテーブルの近くの座布団を叩く。
チアキさんの言う通りに座る。
しばらく3人で談笑をしていた。
それから数分後、マキナさんが両手に料理を持ち、
「おっまたせ~~!!」
とやってきた。
料理の量は結構あり、最初から僕のぶんまで用意してくれていたようだ。
あのまま断っていたら、ものすごく申し訳なかったと思う。
「…有難う。マキナ。やっぱりマキナは使えるなぁ…」
「いやぁ、それほどでもないっすよ…!」
そう照れて、嬉しそうに頭を掻く。
「それって、これからもこき使うってことよね…」
そんなことないよ…?と、結城さんは言うけれど、チアキさんは分かりきっていたのかそれ以上何も言わなかった。
マキナさんが運んできてくれたのは、中華料理で
どれも僕は見たことのないものだった。
食べながら、これは何ですか?と質問したり、
たわいもない会話をして、食べ終わった。
それからのことだ。
僕にとっての恐ろしい出来事。
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