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ゴブリンキングの脅威
第408話 ハマーンの推察
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――イチノに向かう前にナイはアルトから準備を行うように注意され、早速だが工場区の方へ向かう。ナイの目的はこの国一番の鍛冶師を自称するハマーンに会うためであり、彼の経営する店に訪れた。
「えっと、店の場所はここであってるよね」
「地図を見る限りだとそうだけど……」
「じゃあ、早速入ってみようよ」
「へえ、あの爺さんも結構儲かってるんだね。立派な店じゃないかい」
工場区にはナイ以外にもヒナ達も同行していた。テンの場合はナイと同様に装備を見てもらうためだが、ヒナとモモが同行したのはナイ達がイチノへ向かえば簡単に戻ってこれないため、それまでの間は一緒に行動していたいと告げる。
正確に言えばモモがナイと離れたがらず、現在もナイと腕を組んでその豊かな胸を押し付けている。だが、ナイとしてはイチノの事が心配で彼女の積極的な行動もあまり意識しておらず、その事がヒナも不憫に思えた。
(モモ、貴方本当にナイ君の事が好きなのね……親友として応援してあげるわ)
ヒナはモモがナイに取られたような気分を味わい、少し寂しい気もするがナイならばモモを任せられると思っていた。だが、客でもない自分達も一緒に同行していいのかと思うが、とりあえずは中に入る。
「いらっしゃいませ、お客様方はこの店を利用するのは初めてですか?」
「あ、えっと……来るのは初めてですけど、ハマーンさんに前にここの事を教えてもらって……」
「なるほど……失礼ですが招待状はお持ちでしょうか?」
「ちょっとあんた、あたし達は王国の関係者でね」
ナイの言葉を聞いて従業員は本当にハマーンの知り合いなのか確かめようとすると、ここでテンが口を挟む。彼女はアルトから渡されていたペンダントを取り出す。
ペンダントには王家の紋章が刻まれており、これは本来はアルトの持ち物なのだが、それを見た従業員は目を見開く。ペンダントを受け取った従業員は確認すると、慌てた様子で駆け出す。
「しょ、少々お待ちください!!会長に問い合わせますので、ごゆっくりお寛ぎください!!」
「早くしてくれよ。こっちも急ぎの用事だからね」
ペンダントを渡した途端に従業員の態度が代わり、その様子を見てテンは満足げに店内の椅子に座り込む。彼女のようにナイ達も座って待つと、すぐにペンダントを手にしたハマーンが訪れた。
「おおっ、そこにいるのは坊主ではないか!!前の任務の時は世話になったな、坊主の処置のお陰で今では元気になったぞ!!」
「ハマーンさん!!良かった、無事だったんですね!!」
「うむ、ガオウの奴もお主に感謝しておったぞ。今度、礼を言いたいそうじゃ」
ハマーンはナイが訪れると快く受け入れ、店の奥に案内してくれた。彼は討伐隊に参加していたが、レッドゴーレムの爆発に巻き込まれて重傷を負い、その時にナイが治療を施した。
現在は完治したらしく、鍛冶師の仕事に精を出しているらしい。ハマーンはナイの事を気に入ったらしく、親しげに背中を叩きながら用件を聞く。
「それでわざわざ儂の所へ来たのは何の用じゃ?」
「あ、えっと……実は俺の旋斧を見てほしくて」
「旋斧?あの魔剣か、何処か壊れたのか?」
「いや、壊れたというか……こんな風になっちゃったんですけど」
「ぬおっ!?な、何だこれは……大剣か!?」
ナイはハマーンに変化した旋斧を見せつけると、彼は心底驚いた表情を浮かべて旋斧を覗き込む。以前と比べて刀身も長くなり、更に全体の色が赤みを帯びていた。
あまりの変貌ぶりにハマーンは度肝を抜かし、すぐに彼は店の工房まで移動すると、ナイの旋斧を調べ上げる。
「こいつは信じられねえ……変形型の魔剣は今までに何度も見た事はあるが、こいつの場合は変形というよりは変化だな」
「前は触っただけで魔力を吸われたんですけど、今は大丈夫です。でも、皆が言うには少し重くなったそうなんですけど……」
「間違いないね、前に手袋を嵌めてこの剣を持ったことがあるけど重くなっているよ」
アルトの実験に付き合わされた際に旋斧の重量はテンも確認しており、以前よりも重くなった事を伝えた。ナイとしては前よりもむしろ軽くなったような気がしたのだが、それは触れただけで魔力を吸収する機能がなくなったからで実際の重量は軽くなったわけではない。
ハマーンは真剣な目つきで旋斧を覗き込み、指で触れたり、鉄槌で軽めに叩く。アルトによれば本職の鍛冶師であるハマーンならば旋斧の正体が分かるかもしれないと思ったが、残念ながらハマーンでさえも理解を越えていた。
「流石の儂でもこいつばかりは手に負えねえ……敵を倒して生命力を奪って強くなる魔剣なんて聞いた事がねえぞ」
「え、ハマーンさんでも分からないんですか?」
「ああ、悪いな。だが、一つだけ分かった事がある。今のこいつは腹いっぱいの状態なんだ」
「腹いっぱい……?」
「え?お腹いっぱいなの?」
ナイとモモは首を傾げ、ハマーンの語る「腹いっぱい」という言葉の意味を尋ねると、彼はどのように説明するのか悩むように腕を組む。
「えっと、店の場所はここであってるよね」
「地図を見る限りだとそうだけど……」
「じゃあ、早速入ってみようよ」
「へえ、あの爺さんも結構儲かってるんだね。立派な店じゃないかい」
工場区にはナイ以外にもヒナ達も同行していた。テンの場合はナイと同様に装備を見てもらうためだが、ヒナとモモが同行したのはナイ達がイチノへ向かえば簡単に戻ってこれないため、それまでの間は一緒に行動していたいと告げる。
正確に言えばモモがナイと離れたがらず、現在もナイと腕を組んでその豊かな胸を押し付けている。だが、ナイとしてはイチノの事が心配で彼女の積極的な行動もあまり意識しておらず、その事がヒナも不憫に思えた。
(モモ、貴方本当にナイ君の事が好きなのね……親友として応援してあげるわ)
ヒナはモモがナイに取られたような気分を味わい、少し寂しい気もするがナイならばモモを任せられると思っていた。だが、客でもない自分達も一緒に同行していいのかと思うが、とりあえずは中に入る。
「いらっしゃいませ、お客様方はこの店を利用するのは初めてですか?」
「あ、えっと……来るのは初めてですけど、ハマーンさんに前にここの事を教えてもらって……」
「なるほど……失礼ですが招待状はお持ちでしょうか?」
「ちょっとあんた、あたし達は王国の関係者でね」
ナイの言葉を聞いて従業員は本当にハマーンの知り合いなのか確かめようとすると、ここでテンが口を挟む。彼女はアルトから渡されていたペンダントを取り出す。
ペンダントには王家の紋章が刻まれており、これは本来はアルトの持ち物なのだが、それを見た従業員は目を見開く。ペンダントを受け取った従業員は確認すると、慌てた様子で駆け出す。
「しょ、少々お待ちください!!会長に問い合わせますので、ごゆっくりお寛ぎください!!」
「早くしてくれよ。こっちも急ぎの用事だからね」
ペンダントを渡した途端に従業員の態度が代わり、その様子を見てテンは満足げに店内の椅子に座り込む。彼女のようにナイ達も座って待つと、すぐにペンダントを手にしたハマーンが訪れた。
「おおっ、そこにいるのは坊主ではないか!!前の任務の時は世話になったな、坊主の処置のお陰で今では元気になったぞ!!」
「ハマーンさん!!良かった、無事だったんですね!!」
「うむ、ガオウの奴もお主に感謝しておったぞ。今度、礼を言いたいそうじゃ」
ハマーンはナイが訪れると快く受け入れ、店の奥に案内してくれた。彼は討伐隊に参加していたが、レッドゴーレムの爆発に巻き込まれて重傷を負い、その時にナイが治療を施した。
現在は完治したらしく、鍛冶師の仕事に精を出しているらしい。ハマーンはナイの事を気に入ったらしく、親しげに背中を叩きながら用件を聞く。
「それでわざわざ儂の所へ来たのは何の用じゃ?」
「あ、えっと……実は俺の旋斧を見てほしくて」
「旋斧?あの魔剣か、何処か壊れたのか?」
「いや、壊れたというか……こんな風になっちゃったんですけど」
「ぬおっ!?な、何だこれは……大剣か!?」
ナイはハマーンに変化した旋斧を見せつけると、彼は心底驚いた表情を浮かべて旋斧を覗き込む。以前と比べて刀身も長くなり、更に全体の色が赤みを帯びていた。
あまりの変貌ぶりにハマーンは度肝を抜かし、すぐに彼は店の工房まで移動すると、ナイの旋斧を調べ上げる。
「こいつは信じられねえ……変形型の魔剣は今までに何度も見た事はあるが、こいつの場合は変形というよりは変化だな」
「前は触っただけで魔力を吸われたんですけど、今は大丈夫です。でも、皆が言うには少し重くなったそうなんですけど……」
「間違いないね、前に手袋を嵌めてこの剣を持ったことがあるけど重くなっているよ」
アルトの実験に付き合わされた際に旋斧の重量はテンも確認しており、以前よりも重くなった事を伝えた。ナイとしては前よりもむしろ軽くなったような気がしたのだが、それは触れただけで魔力を吸収する機能がなくなったからで実際の重量は軽くなったわけではない。
ハマーンは真剣な目つきで旋斧を覗き込み、指で触れたり、鉄槌で軽めに叩く。アルトによれば本職の鍛冶師であるハマーンならば旋斧の正体が分かるかもしれないと思ったが、残念ながらハマーンでさえも理解を越えていた。
「流石の儂でもこいつばかりは手に負えねえ……敵を倒して生命力を奪って強くなる魔剣なんて聞いた事がねえぞ」
「え、ハマーンさんでも分からないんですか?」
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