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ゴブリンキングの脅威
第510話 宿屋へ潜入 シノビとクノの戦慄
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「見えてきたぞ……あの宿屋だ」
「うわ、本当に大きい……でも、あそこに泊っている人全員が盗賊なんですよね」
「そういう事でござる。決してを気を抜かない様に気を付けてくだされ」
ナイ達は遂に宿屋へ辿り着くと、改めて三人はお互いの顔を見て頷き合い、ここでガルソンを演じたシノビは二人の肩を抱き寄せながら宿屋に入る。すると、宿屋の前でたむろしていた盗賊達が彼に気付いて頭を下げる。
「ガルソンさん、お帰りなさい」
「おっ、兄貴……また若い子を連れてきましたね」
「しかも今回は二人……中々可愛い子達じゃないですか」
「へへっ、羨ましいだろ?」
ガルソンに変装したシノビは声音までガルソンにそっくりに化けると、盗賊達は全く彼が偽物である事に気付いておらず、あっさりと迎え入れる。
事前にガルソンの配下から彼の性格を聞いていたシノビは完璧に演じると、ここで彼はガルソンが使用している一階の部屋に向かう。人質が拘束されているのは地下の倉庫だが、まずは盗賊達に怪しまれない様にガルソンの部屋へ向かう。
(気づかれていないな……このまま無事に部屋まで行けば)
ナイはシノビに肩を抱き寄せられながらも歩いてると、ここで一人の男がナイのお尻に手を伸ばしてきた。女装したナイは外見は美少女にしか見えないため、こっそり手を出す。
「へへへ、嬢ちゃん。中々良い尻をしてるな」
「ひゃっ!?」
「……おい、止めろ!!ぶっ殺されたいのか?」
尻を鷲摑みにされたナイは本当に女の子のような悲鳴を上げてしまい、それを見たシノビは男を睨みつける。ガルソンの姿をしたシノビに睨みつけられた盗賊の男は顔色を青くして手を離す。
「す、すいません兄貴、つい……」
「…………」
この際にナイは男の顔を忘れずに覚えると、そのままシノビとクノと共にガルソンの宿泊している部屋に辿り着く。三人は部屋の中に入って中に誰もいない事を確認すると、シノビとクノは噴き出す。
「ふっ……中々に可愛い悲鳴だったな」
「まるで本当の女の子みたいな反応でござったな」
「…………」
シノビとクノは先ほど男に尻を鷲摑みにされて悲鳴を上げたナイをからかうと、この時に彼等は気づいていなかった。ナイの様子がおかしい事に、そして更に余計な一言を付け加えてしまう。
「あんな声が出せるのであれば、くノ一の才能はあるかもしれんな」
「そうでござるな、ナイ殿も忍者になる気は……」
「――ふんっ!!」
次の瞬間、ナイは剛力を発動させると二人に目掛けて拳を繰り出す。剛力の技能で筋力を強化したナイの攻撃に対してシノビとクノも反応する事ができず、二人の目の前でナイは拳を停止させた。
拳を空振りしただけで部屋の中が僅かに振動し、その光景を目にしていたシノビとクノは全身から冷や汗を流す。忍者である二人は反射神経もずば抜けているが、先ほどのナイの攻撃は油断していたとはいえ、全く身体が動かない程に素早く凄まじい迫力を込めた一撃だった。
「……すいません、蚊を潰そうと思ったんですけど、見間違えたようです」
「そ、そうか……」
「み、見間違えたのならしょうがないでござるな~……」
無表情のままナイは二人に告げると、シノビとクノは先ほどまでと態度を一変させ、愛想笑いを浮かべる。もしも下手な事を言ったら本気で殴り掛かられないと思い、二人は目配せを行う。
(……これ以上、からかうのは止した方が良いな)
(忘れていたでござる……この御方、拙者達の何倍も強い事を)
こう見えてもナイはあのゴブリンキングを打ち倒した男である事を改めて二人は再認識する。これ以上に下手にからかえば命はないと判断し、二人はもう二度とナイを不用意にからかわない様に心に決めた――
――それからしばらく時間が経過した後、シノビは懐中時計を取り出し、事前に打ち合わせた作戦の開始時刻を迎えようとしている事を把握する。ちなみにこの世界にも時計は存在するが、懐中時計の類は貴重品なので滅多に持っている人間はいない。
「よし、そろそろ時間だ……手はず通り、俺達は盗賊達を引き寄せる。その間に人質の救出を任せたぞ」
「はい、分かりました」
「拙者達も用事を終えたらすぐに合流するでござる」
クノは忍び装束に着替えると、窓を開いて外の様子を伺う。彼女は外を移動して部屋の窓から忍び込み、一方でガルソンに変装したシノビは内部から上の階に移動して各部屋の細工を施すために出ていく。
「いいか、盗賊達が上の階に移動してからお前は動け。手はず通り、店主は受付を行っている。彼も救うのを忘れるなよ」
「はい」
「ではナイ殿、これを預けるでござる。拙者の冒険者バッジでござるよ」
ナイはクノから冒険者バッジを渡され、失くさない様に懐にしまう。そして二人は作戦開始のために動き出し、残されたナイは部屋の中から外の様子を伺うために聞き耳を立てる。
「うわ、本当に大きい……でも、あそこに泊っている人全員が盗賊なんですよね」
「そういう事でござる。決してを気を抜かない様に気を付けてくだされ」
ナイ達は遂に宿屋へ辿り着くと、改めて三人はお互いの顔を見て頷き合い、ここでガルソンを演じたシノビは二人の肩を抱き寄せながら宿屋に入る。すると、宿屋の前でたむろしていた盗賊達が彼に気付いて頭を下げる。
「ガルソンさん、お帰りなさい」
「おっ、兄貴……また若い子を連れてきましたね」
「しかも今回は二人……中々可愛い子達じゃないですか」
「へへっ、羨ましいだろ?」
ガルソンに変装したシノビは声音までガルソンにそっくりに化けると、盗賊達は全く彼が偽物である事に気付いておらず、あっさりと迎え入れる。
事前にガルソンの配下から彼の性格を聞いていたシノビは完璧に演じると、ここで彼はガルソンが使用している一階の部屋に向かう。人質が拘束されているのは地下の倉庫だが、まずは盗賊達に怪しまれない様にガルソンの部屋へ向かう。
(気づかれていないな……このまま無事に部屋まで行けば)
ナイはシノビに肩を抱き寄せられながらも歩いてると、ここで一人の男がナイのお尻に手を伸ばしてきた。女装したナイは外見は美少女にしか見えないため、こっそり手を出す。
「へへへ、嬢ちゃん。中々良い尻をしてるな」
「ひゃっ!?」
「……おい、止めろ!!ぶっ殺されたいのか?」
尻を鷲摑みにされたナイは本当に女の子のような悲鳴を上げてしまい、それを見たシノビは男を睨みつける。ガルソンの姿をしたシノビに睨みつけられた盗賊の男は顔色を青くして手を離す。
「す、すいません兄貴、つい……」
「…………」
この際にナイは男の顔を忘れずに覚えると、そのままシノビとクノと共にガルソンの宿泊している部屋に辿り着く。三人は部屋の中に入って中に誰もいない事を確認すると、シノビとクノは噴き出す。
「ふっ……中々に可愛い悲鳴だったな」
「まるで本当の女の子みたいな反応でござったな」
「…………」
シノビとクノは先ほど男に尻を鷲摑みにされて悲鳴を上げたナイをからかうと、この時に彼等は気づいていなかった。ナイの様子がおかしい事に、そして更に余計な一言を付け加えてしまう。
「あんな声が出せるのであれば、くノ一の才能はあるかもしれんな」
「そうでござるな、ナイ殿も忍者になる気は……」
「――ふんっ!!」
次の瞬間、ナイは剛力を発動させると二人に目掛けて拳を繰り出す。剛力の技能で筋力を強化したナイの攻撃に対してシノビとクノも反応する事ができず、二人の目の前でナイは拳を停止させた。
拳を空振りしただけで部屋の中が僅かに振動し、その光景を目にしていたシノビとクノは全身から冷や汗を流す。忍者である二人は反射神経もずば抜けているが、先ほどのナイの攻撃は油断していたとはいえ、全く身体が動かない程に素早く凄まじい迫力を込めた一撃だった。
「……すいません、蚊を潰そうと思ったんですけど、見間違えたようです」
「そ、そうか……」
「み、見間違えたのならしょうがないでござるな~……」
無表情のままナイは二人に告げると、シノビとクノは先ほどまでと態度を一変させ、愛想笑いを浮かべる。もしも下手な事を言ったら本気で殴り掛かられないと思い、二人は目配せを行う。
(……これ以上、からかうのは止した方が良いな)
(忘れていたでござる……この御方、拙者達の何倍も強い事を)
こう見えてもナイはあのゴブリンキングを打ち倒した男である事を改めて二人は再認識する。これ以上に下手にからかえば命はないと判断し、二人はもう二度とナイを不用意にからかわない様に心に決めた――
――それからしばらく時間が経過した後、シノビは懐中時計を取り出し、事前に打ち合わせた作戦の開始時刻を迎えようとしている事を把握する。ちなみにこの世界にも時計は存在するが、懐中時計の類は貴重品なので滅多に持っている人間はいない。
「よし、そろそろ時間だ……手はず通り、俺達は盗賊達を引き寄せる。その間に人質の救出を任せたぞ」
「はい、分かりました」
「拙者達も用事を終えたらすぐに合流するでござる」
クノは忍び装束に着替えると、窓を開いて外の様子を伺う。彼女は外を移動して部屋の窓から忍び込み、一方でガルソンに変装したシノビは内部から上の階に移動して各部屋の細工を施すために出ていく。
「いいか、盗賊達が上の階に移動してからお前は動け。手はず通り、店主は受付を行っている。彼も救うのを忘れるなよ」
「はい」
「ではナイ殿、これを預けるでござる。拙者の冒険者バッジでござるよ」
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