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嵐の前の静けさ
第971話 環境適応力
「ふむ、こうして並べてみる限りではとても同じ金属とは思えん。だが、これらは全く同じ能力を持っておる。無関係とは言い切れん」
「どういう事ですか師匠!?」
「うわっ!?アルト、居たの!?」
「王子!?」
「えっ、王子様!?」
「い、何時から居たの!?」
何故か工房内には半袖姿のアルトも存在し、彼は興奮した様子で机の上の旋斧と二つの素材を覗き込む。何時の間にかアルトが紛れ込んでいた事にナイ達は驚く。
「どうしてアルトがここに……」
「ナイ君、久しぶりだね。元気にしてたかい?僕は最近、暇がある時はここへ来てるんだ」
「うむ、儂の仕事を手伝って貰っておる」
「そ、そうなんだ……あっ、収納鞄は返すね」
「ん?そういえば君に貸してたままだったね」
アルトはハマーンを師匠と慕っており、彼は王子でありながら将来は魔道具の職人を目指している。そのために彼だけは特別にハマーンの工房に入る事が許されていた。
思いもよらぬアルトの登場にナイ達は驚かされたが、ハマーンは彼が来た事に特に気にせず、それどころか自分の仕事を手伝わせる。
「グツグ火山の鍛冶師共の言う通り、恐らくはこの旋斧はかつて隕石が落ちてきた場所に発見された金属が利用されておる」
「何だって?じゃあ、旋斧の素材は隕石だとでもいうのかい!?」
「いいや、正確に言えば隕石が落ちた事で突然変異を引き起こしたゴーレムの素材から作られておる」
「えっ……ど、どういう意味ですか?」
ハマーンの説明を聞いてヒナは首をかしげると、ここでアルトが羊皮紙を用意して文字を書き込む。彼が書いたのはゴーレム種の資料であり、羊皮紙にはこれまで発見されているゴーレムの種類と特徴が記されていた。
「これを見てくれ。ゴーレムと言っても様々な種類が存在する事は知っているだろう?例えば山岳地帯に生息する「ロックゴーレム」火山などの地帯に生息する「マグマゴーレム」他にも砂漠地帯に生息する「サンドゴーレム」後は大型種の「ゴーレムキング」こうして書いてみると結構な種類があるだろう」
「言われてみればそうだね……」
「ドゴンちゃんもゴーレムなんだよね?」
「ああ、といっても彼の場合は人造ゴーレムなんだが……」
アルトに服従している人造ゴーレムのドゴンは人為的に作り出したゴーレムであり、野生種のゴーレムとは異なる。しかし、先にアルトが告げたゴーレム種には共通の弱点が存在する。
「人造ゴーレムは例外として……ゴーレム種は基本的に「水」に弱い。彼等は水か、もしくは水属性の魔法を受けると肉体が泥のように脆くなるんだ。岩石や魔法金属並の硬度を誇る外殻でも水を浴びた箇所は簡単に溶けてしまう」
「ああ、それは有名だね」
「でも、ナイ君が発見したという新種のゴーレムは水属性の魔法を浴びても平気だった。これは普通なら有り得ない事なんだよ」
新種のゴーレムの情報が記された資料を読みながらアルトは考え込み、ナイがグツグ火山で発見した新種のゴーレムは、これまで発見されたゴーレム種とは明らかに異質な存在だった。
人造ゴーレムを除いたゴーレム種は例外なく「水」という弱点が共通しているにも関わらず、隕石が落ちたグツグ火山で誕生した新種のゴーレムはナイの水属性の魔法攻撃を受けても平気だった。その理由がナイが回収したゴーレムの「核」と「黒水晶」が関係しているのは既に判明している。
「ナイ君が倒したゴーレムの核……これは外部から魔法攻撃を受けた場合、魔力を吸収する。そして核の他にゴーレムの体内に埋め込まれていた黒水晶はその吸収した魔力を蓄積する事ができる」
「魔法の力を吸収するゴーレムか……敵としてはこれ以上に厄介な奴はいないね」
「でも、どうして隕石が落ちてきた場所にそんなゴーレムが生まれたのかしら?」
「それはゴーレムの環境適応能力の高さが原因だろうね」
「えっ?環境……なに?」
アルトの言葉にナイ達は首を傾げ、彼が詳しく説明を行おうとした時に何処からか新しい女性の声が響く。
「なるほど、環境適応能力ですか。面白い仮説ですね」
「うわっ!?だ、誰!?」
「その声は……イリアさん!?」
「なんじゃ、いつの間に紛れ込んでおった?ここは関係者以外は立ち入り禁止なんじゃが……」
何時の間にか工房内にはイリアも入り込んでおり、彼女は用意されていた資料を読み取って状況確認を行う。この工房にはハマーンが許可した人間しか立ち寄る事は許されていないが、イリアはそんな事は気にせずにアルトの代わりに説明を行う。
「ゴーレムは環境に適応する事で姿や能力が変わるんです。例えば山岳地帯に生息するロックゴーレムは岩石に擬態する事で自然に溶け込みます。マグマゴーレムの場合は溶岩のように肉体を変質させて高熱を発する能力を得ます。砂漠に生息するサンドゴーレムは肉体を砂のように変異させる力を持つように、ゴーレム種は環境によって姿や能力を変異させる力を持ちます」
「それが環境なんちゃら能力かい?」
「環境適応能力です。要するにナイさんが戦った漆黒のゴーレムは隕石が落ちてきた事でグツグ火山の環境が変動し、その影響で誕生した新種のゴーレムという事ですよ」
「環境の変化……」
イリアの言葉にナイは心当たりがあり、前に飛行船で訪れた時と比べてグツグ火山の気温が大きく変動していた。
グツグ火山にナイが最初に訪れた時、グマグ火山以上の熱気を感じていた。しかし、隕石が落ちた後のグツグ火山はまるで死火山と化したように気温が急激に下がり、火口は隕石が落ちてきた時の影響で巨大なクレーターが出来上がってマグマも溢れていなかった。
「ナイさんが倒した漆黒のゴーレムとやらは隕石の落下で環境が変化した事により、突然変異で誕生したゴーレムです」
「ちょっと待って!!でも、グツグ火山には数え切れないぐらいのマグマゴーレムがいたよね?それならどうして僕が発見したゴーレム以外に他に見当たらなかったの?」
「恐らくは隕石が落ちてきた時に火口に集まっていたマグマゴーレムは殆どが吹き飛んだはずです。この資料によると隕石が落ちた時に巨大な火柱が火口から打ちあがったんですよね?」
「うん、そうらしいけど……」
ナイは実際に見たわけではないが、グツグ火山に暮らしていた鍛冶師達やゴノの街の城壁を警護していた兵士達はグツグ火山に隕石が落ちた際、火口から途轍もない規模の火柱が上がったのを確認している。
「恐らくですが、その火柱の原因はグツグ火山の火口に存在したマグマゴーレムが原因です。隕石が落下してきた際に発生した衝撃でマグマゴーレムの肉体が吹き飛び、体内の核が刺激されて膨大な火属性の魔力が噴き出した。しかも数百体のマグマゴーレムが一斉に吹き飛んだとなれば膨大な魔力が火口に溢れかえったはずです」
「じゃあ、ドリスさんの推測は当たってたのか……」
「爆発したのはマグマゴーレムだけとは限りません。火口付近には良質な火属性の魔石の原石も大量にあるはずですから、それも巻き込んで爆発したんでしょうね」
「魔石の原石……」
イリアの仮説では大勢の人間が確認したグツグ火山の「火柱」の原因は、隕石落下による衝撃で火口付近のマグマゴーレムと火属性の魔石が爆発し、その際に発生した大量の火属性の魔力が偶然にも「火柱」のように天高く打ち上げられたという。
幸運だったのは普通の火山の噴火とは異なり、火属性の魔力で構成された火柱は時間経過によって完全に消えてなくなる。そのお陰で火山の周辺地域は大きな被害はなかったが、隕石の落下が原因なのか現在のグツグ火山は以前ほどの熱気を失い、今では死火山と化した。
「あ、そういえば隕石が落ちた場所の魔石が全部色を失ってたんだけど……それも隕石が落ちた時の影響かな?」
「え?なんですかそれ?」
「どういう事だい?」
ナイは隕石が落下したグツグ火山の頭頂部に訪れた時、魔力を失われた状態の魔石の原石を大量に発見した事を報告する。イリアとアルトはその話を聞かされて不思議そうに首を傾げた。
「う~ん……イリアの仮説が正しければ隕石が落下した時に火口付近の魔石は爆発して跡形もなく飛び散っているはずだ」
「もしかしたナイさんが見たのは隕石落下の際に飛び散った魔石の破片が埋もれていただけかもしれませんね。他に考えられる事があるとすれば地中内に残っていた魔石を誰かが掘り起こしたとか……」
「堀り起こした?誰が何の目的で?」
「そこまでは分かりませんよ。でも、仮に掘り起こした人間が居たとしてもナイさんが発見した魔石の原石は色を失っていた……つまりは魔力だけが抜き取られた状態で放置されていたんですよね?そうなると魔石を掘り起こした人物は魔力を吸収する術を持ち合わせていた事になりますが……」
「待て待て、話が脱線しとるぞ!!今は肝心なのはこの二つを調べ上げる事じゃろう!!」
アルトとイリアの話を聞いていたハマーンが口を挟み、彼がナイ達を連れてきたのは新種のゴーレムから回収した素材を調べ上げるためだった。ハマーンとしては新種のゴーレムの生態よりも、ゴーレムから手に入れた金属の塊と黒水晶を徹底的に調べ上げる事が重要だった。
「坊主の旋斧の素材は隕石が落ちてきた時に手に入った素材と、なんらかの魔法金属と組み合わせた特殊合金だとした場合、この旋斧を調べ上げればどの魔法金属を利用したのか調べる事ができるかもしれん。ということでしばらくの間、この儂に旋斧を預けてくれんか?」
「えっ……」
「ちょ、ちょっと待ってよ!!その大剣はナイ君のお義父さんの形見なんですよ!?」
「分かっておる!!しかし、あの伝説の鍛冶師がどのようにしてこの魔剣を作り上げたのか儂は知りたい!!勿論、壊す様な真似はせん!!相応の礼も用意する!!だから頼む、貸してくれ!!」
「師匠!?」
ハマーンはナイに土下座を行い、そんな彼の姿に全員が驚愕する。彼の熱意を受けたナイはしばらく考えた末に旋斧を託す事を決める。
「わ、分かりました……そこまで言うなら貸します」
「おおっ……礼を言うぞ!!調べ終わったら必ず返す!!」
ナイの言葉を聞いてハマーンは立ち上がり、彼と熱い握手を行う。そんなハマーンにナイは苦笑いを浮かべ、当分の間は旋斧は彼に預ける事にした――
「どういう事ですか師匠!?」
「うわっ!?アルト、居たの!?」
「王子!?」
「えっ、王子様!?」
「い、何時から居たの!?」
何故か工房内には半袖姿のアルトも存在し、彼は興奮した様子で机の上の旋斧と二つの素材を覗き込む。何時の間にかアルトが紛れ込んでいた事にナイ達は驚く。
「どうしてアルトがここに……」
「ナイ君、久しぶりだね。元気にしてたかい?僕は最近、暇がある時はここへ来てるんだ」
「うむ、儂の仕事を手伝って貰っておる」
「そ、そうなんだ……あっ、収納鞄は返すね」
「ん?そういえば君に貸してたままだったね」
アルトはハマーンを師匠と慕っており、彼は王子でありながら将来は魔道具の職人を目指している。そのために彼だけは特別にハマーンの工房に入る事が許されていた。
思いもよらぬアルトの登場にナイ達は驚かされたが、ハマーンは彼が来た事に特に気にせず、それどころか自分の仕事を手伝わせる。
「グツグ火山の鍛冶師共の言う通り、恐らくはこの旋斧はかつて隕石が落ちてきた場所に発見された金属が利用されておる」
「何だって?じゃあ、旋斧の素材は隕石だとでもいうのかい!?」
「いいや、正確に言えば隕石が落ちた事で突然変異を引き起こしたゴーレムの素材から作られておる」
「えっ……ど、どういう意味ですか?」
ハマーンの説明を聞いてヒナは首をかしげると、ここでアルトが羊皮紙を用意して文字を書き込む。彼が書いたのはゴーレム種の資料であり、羊皮紙にはこれまで発見されているゴーレムの種類と特徴が記されていた。
「これを見てくれ。ゴーレムと言っても様々な種類が存在する事は知っているだろう?例えば山岳地帯に生息する「ロックゴーレム」火山などの地帯に生息する「マグマゴーレム」他にも砂漠地帯に生息する「サンドゴーレム」後は大型種の「ゴーレムキング」こうして書いてみると結構な種類があるだろう」
「言われてみればそうだね……」
「ドゴンちゃんもゴーレムなんだよね?」
「ああ、といっても彼の場合は人造ゴーレムなんだが……」
アルトに服従している人造ゴーレムのドゴンは人為的に作り出したゴーレムであり、野生種のゴーレムとは異なる。しかし、先にアルトが告げたゴーレム種には共通の弱点が存在する。
「人造ゴーレムは例外として……ゴーレム種は基本的に「水」に弱い。彼等は水か、もしくは水属性の魔法を受けると肉体が泥のように脆くなるんだ。岩石や魔法金属並の硬度を誇る外殻でも水を浴びた箇所は簡単に溶けてしまう」
「ああ、それは有名だね」
「でも、ナイ君が発見したという新種のゴーレムは水属性の魔法を浴びても平気だった。これは普通なら有り得ない事なんだよ」
新種のゴーレムの情報が記された資料を読みながらアルトは考え込み、ナイがグツグ火山で発見した新種のゴーレムは、これまで発見されたゴーレム種とは明らかに異質な存在だった。
人造ゴーレムを除いたゴーレム種は例外なく「水」という弱点が共通しているにも関わらず、隕石が落ちたグツグ火山で誕生した新種のゴーレムはナイの水属性の魔法攻撃を受けても平気だった。その理由がナイが回収したゴーレムの「核」と「黒水晶」が関係しているのは既に判明している。
「ナイ君が倒したゴーレムの核……これは外部から魔法攻撃を受けた場合、魔力を吸収する。そして核の他にゴーレムの体内に埋め込まれていた黒水晶はその吸収した魔力を蓄積する事ができる」
「魔法の力を吸収するゴーレムか……敵としてはこれ以上に厄介な奴はいないね」
「でも、どうして隕石が落ちてきた場所にそんなゴーレムが生まれたのかしら?」
「それはゴーレムの環境適応能力の高さが原因だろうね」
「えっ?環境……なに?」
アルトの言葉にナイ達は首を傾げ、彼が詳しく説明を行おうとした時に何処からか新しい女性の声が響く。
「なるほど、環境適応能力ですか。面白い仮説ですね」
「うわっ!?だ、誰!?」
「その声は……イリアさん!?」
「なんじゃ、いつの間に紛れ込んでおった?ここは関係者以外は立ち入り禁止なんじゃが……」
何時の間にか工房内にはイリアも入り込んでおり、彼女は用意されていた資料を読み取って状況確認を行う。この工房にはハマーンが許可した人間しか立ち寄る事は許されていないが、イリアはそんな事は気にせずにアルトの代わりに説明を行う。
「ゴーレムは環境に適応する事で姿や能力が変わるんです。例えば山岳地帯に生息するロックゴーレムは岩石に擬態する事で自然に溶け込みます。マグマゴーレムの場合は溶岩のように肉体を変質させて高熱を発する能力を得ます。砂漠に生息するサンドゴーレムは肉体を砂のように変異させる力を持つように、ゴーレム種は環境によって姿や能力を変異させる力を持ちます」
「それが環境なんちゃら能力かい?」
「環境適応能力です。要するにナイさんが戦った漆黒のゴーレムは隕石が落ちてきた事でグツグ火山の環境が変動し、その影響で誕生した新種のゴーレムという事ですよ」
「環境の変化……」
イリアの言葉にナイは心当たりがあり、前に飛行船で訪れた時と比べてグツグ火山の気温が大きく変動していた。
グツグ火山にナイが最初に訪れた時、グマグ火山以上の熱気を感じていた。しかし、隕石が落ちた後のグツグ火山はまるで死火山と化したように気温が急激に下がり、火口は隕石が落ちてきた時の影響で巨大なクレーターが出来上がってマグマも溢れていなかった。
「ナイさんが倒した漆黒のゴーレムとやらは隕石の落下で環境が変化した事により、突然変異で誕生したゴーレムです」
「ちょっと待って!!でも、グツグ火山には数え切れないぐらいのマグマゴーレムがいたよね?それならどうして僕が発見したゴーレム以外に他に見当たらなかったの?」
「恐らくは隕石が落ちてきた時に火口に集まっていたマグマゴーレムは殆どが吹き飛んだはずです。この資料によると隕石が落ちた時に巨大な火柱が火口から打ちあがったんですよね?」
「うん、そうらしいけど……」
ナイは実際に見たわけではないが、グツグ火山に暮らしていた鍛冶師達やゴノの街の城壁を警護していた兵士達はグツグ火山に隕石が落ちた際、火口から途轍もない規模の火柱が上がったのを確認している。
「恐らくですが、その火柱の原因はグツグ火山の火口に存在したマグマゴーレムが原因です。隕石が落下してきた際に発生した衝撃でマグマゴーレムの肉体が吹き飛び、体内の核が刺激されて膨大な火属性の魔力が噴き出した。しかも数百体のマグマゴーレムが一斉に吹き飛んだとなれば膨大な魔力が火口に溢れかえったはずです」
「じゃあ、ドリスさんの推測は当たってたのか……」
「爆発したのはマグマゴーレムだけとは限りません。火口付近には良質な火属性の魔石の原石も大量にあるはずですから、それも巻き込んで爆発したんでしょうね」
「魔石の原石……」
イリアの仮説では大勢の人間が確認したグツグ火山の「火柱」の原因は、隕石落下による衝撃で火口付近のマグマゴーレムと火属性の魔石が爆発し、その際に発生した大量の火属性の魔力が偶然にも「火柱」のように天高く打ち上げられたという。
幸運だったのは普通の火山の噴火とは異なり、火属性の魔力で構成された火柱は時間経過によって完全に消えてなくなる。そのお陰で火山の周辺地域は大きな被害はなかったが、隕石の落下が原因なのか現在のグツグ火山は以前ほどの熱気を失い、今では死火山と化した。
「あ、そういえば隕石が落ちた場所の魔石が全部色を失ってたんだけど……それも隕石が落ちた時の影響かな?」
「え?なんですかそれ?」
「どういう事だい?」
ナイは隕石が落下したグツグ火山の頭頂部に訪れた時、魔力を失われた状態の魔石の原石を大量に発見した事を報告する。イリアとアルトはその話を聞かされて不思議そうに首を傾げた。
「う~ん……イリアの仮説が正しければ隕石が落下した時に火口付近の魔石は爆発して跡形もなく飛び散っているはずだ」
「もしかしたナイさんが見たのは隕石落下の際に飛び散った魔石の破片が埋もれていただけかもしれませんね。他に考えられる事があるとすれば地中内に残っていた魔石を誰かが掘り起こしたとか……」
「堀り起こした?誰が何の目的で?」
「そこまでは分かりませんよ。でも、仮に掘り起こした人間が居たとしてもナイさんが発見した魔石の原石は色を失っていた……つまりは魔力だけが抜き取られた状態で放置されていたんですよね?そうなると魔石を掘り起こした人物は魔力を吸収する術を持ち合わせていた事になりますが……」
「待て待て、話が脱線しとるぞ!!今は肝心なのはこの二つを調べ上げる事じゃろう!!」
アルトとイリアの話を聞いていたハマーンが口を挟み、彼がナイ達を連れてきたのは新種のゴーレムから回収した素材を調べ上げるためだった。ハマーンとしては新種のゴーレムの生態よりも、ゴーレムから手に入れた金属の塊と黒水晶を徹底的に調べ上げる事が重要だった。
「坊主の旋斧の素材は隕石が落ちてきた時に手に入った素材と、なんらかの魔法金属と組み合わせた特殊合金だとした場合、この旋斧を調べ上げればどの魔法金属を利用したのか調べる事ができるかもしれん。ということでしばらくの間、この儂に旋斧を預けてくれんか?」
「えっ……」
「ちょ、ちょっと待ってよ!!その大剣はナイ君のお義父さんの形見なんですよ!?」
「分かっておる!!しかし、あの伝説の鍛冶師がどのようにしてこの魔剣を作り上げたのか儂は知りたい!!勿論、壊す様な真似はせん!!相応の礼も用意する!!だから頼む、貸してくれ!!」
「師匠!?」
ハマーンはナイに土下座を行い、そんな彼の姿に全員が驚愕する。彼の熱意を受けたナイはしばらく考えた末に旋斧を託す事を決める。
「わ、分かりました……そこまで言うなら貸します」
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