ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ

文字の大きさ
45 / 69
外の世界へ

第45話 老人

しおりを挟む
「こっちの方に道がある。山を越える人はこの道を通っていると思う」
「よし、あっちに行くぞ」
「ウォンッ!!」


馬車ならぬ狼車に乗り込んだナオ達はミズネの先導で移動を行う。ウルは飼い主であるネココの指示に従って車を引くが、この時にナオは魔力感知で常に周囲の注意を怠らない。


(サンドワームはウル君が傍にいても襲い掛かってきた。さすがにあれだけの大きさの魔物は白狼種が相手でも怯えないか)


力が弱い魔物ならば白狼種の姿を見ただけで逃げ出すが、サンドワームのように強い魔物ならば相手が誰であろうと躊躇なく襲い掛かってくる。尤も山の中にサンドワームよりも強い魔物がいるのかは疑問だが、とにかく油断せずに慎重に山の中を移動するしかない。

馬よりも早く移動できるウルといえども、車を引きながらの移動では速度が落ちる。しかもあまりに早く走りすぎると車輪が壊れる可能性もあり、今後も狼車での旅を続けるのならば頑丈な車を調達する必要があった。


(この車だと長持ちできそうにないな。次の街についたら魔石を売って大きな馬車でも買おうかな?)


ナオはサンドワームから頂いた魔石は売却して金に換えるつもりだった。理由としてはナオもミズネも地属性の魔法は扱えず、魔石を持っていても宝の持ち腐れだった。


「この魔石はどれくらいの値段で売れるかな?」
「……分からない。街によって魔石の買取価格は大きく違う。でも、最低でもこの馬車が買えるぐらいの値段で売れるはず」
「え!?それってそんなに価値があるのか!?なあ、兄ちゃん。あたしにくれよ!!」
「だ、駄目だって……これは次の街で売る予定なんだから」
「ちぇっ」


魔石の価値を知らされてネココは目を輝かせるが、ナオは魔石を売って旅に役立つ物を買うつもりだった。まだお金には余裕はあるが、今後のことも考えて無駄使いは控えなければならない。

話し込んでいる間にも狼車は山頂まで辿り着く。道行く人たちのために建てられたのか大きな小屋が存在し、時間も暗くなったので今夜は小屋の中で過ごすことにした。


「ちょうど良かった。小屋があるからあそこで休もう」
「ううっ、だんだん寒くなったな」
「山の天気と気温は変わりやすい。風邪をひく前に小屋に行くべき」
「ぷるぷるっ」
「え、スラミンはここに残りたいの?そうか、ウル君が寂しがるといけないからね」
「ウォンッ!!」


スラミンは狼車の中に残り、ウルと共に外で過ごすつもりらしい。ナオとミズネとネココは小屋の中に入ると、三人以外は誰もいなかった。


「おっ、あたしたちの貸し切りだな」
「ふああっ……今日は疲れたから早く寝たい」
「晩御飯は干し肉とパンでいいかな」


街に出る前に購入してきた食料をナオが取り出そうとしたとき、小屋の外からウルの鳴き声が響き渡る。



――ウォオオオンッ!!



何事かとナオ達は慌てて小屋の外に出ると、信じられない光景が広がっていた。小屋の外にはたいまつを手にしたゴブリンの群れが待ち構えており、その手には石斧や石槍が握りしめられていた。


「ゴ、ゴブリン!?しかもこんな大量の……」
「くそっ、なんだよこいつら!?ウルが怖くないのか!?」
「待って、様子がおかしい」


ゴブリンの群れを見てナオとネココは戦闘態勢に入ったが、ミズネはゴブリンたちが襲い掛かってくる様子がないことに不思議に思う。するとゴブリンの群れが左右に分かれ、森の奥から杖を手にした老人が現れた。


「ひひひっ……儂の小屋に勝手に入ったのはお主らか?」
「に、人間!?」
「どうして人間がここに……」
「……魔物使い」


ゴブリンたちを従えるように現れたのは背の小さな老人であり、彼が持っている杖が単なる松葉杖ではなく、魔術師が扱う杖だと見抜いたミズネは老人の正体に気が付く。


(魔物使い!?確か前に師匠から聞いたことがあるぞ!!)


魔物使いとは文字通りに魔物を従える人間のことを指し、大昔に存在した魔術師だと語られている。魔法の力で魔物を操るだけではなく、自分の魔力を分け与えることで特殊能力を目覚めさせることができるとマリアから聞いていた。

しかし、魔物使いは存在したのは何百年も前の話であり、現代では魔物使いは一人もいないと考えられていた。その理由はかつて一人の魔物使いが凶悪な魔物を従え、いくつもの国家を滅亡に追い込んだ。その魔物使いは多大な犠牲と引き換えに討ち果たされたが、魔物使いの存在を危険視した人々は今後二度と同じ過ちが繰り返されないように魔物使いの魔法技術の伝承を固く禁じた。

現代では魔物使いは存在しないと思われたが、ナオ達の前にはゴブリンの群れを支配する老人が現れた。ナオがどういうことなのかと疑問を抱くと、老人の手にはどこかで見覚えがある本を手にしていた。


(あの本、まさか魔導書か!?)


一年前にナオはマリアの元に訪れた際、彼女から受け取った「古代魔法」の魔導書と老人が所持する本がよく似ていることに気が付く。もしかしたら彼が持っている本は「魔物使い」の扱う魔法が記された魔導書ではないかと勘づいた。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

処理中です...