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第1話 ざっけんな
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「なんだ…これは…」
俺が今見ているのはなんだ?
俺は誰だ?
目の前に写っているのは…この醜い顔面はなんなんだ?
一人の青年が池の畔に一人立ち尽くしていた。
青年の腹はでっぷりと張り出していて明らかな運動不足がうかがえる。
身につけている衣服は土埃で汚れていた。
青年は一人でずっと湖に映る自分の姿を見続けている。
「ざっけんな!夢なら早く覚めろよ!」
叫んでみてもその声を拾ってくれる人は近くに居ない。
ふーふーとただ叫んだだけなのに肩で呼吸をしている。
どうして?
何で!?
これは誰なんだ?
その問いかけに答える物はいなかった。
俺の名前は小川昌人で大学生だったはずだ。
裕福な家に生まれ有名私立中学校に進学して高校大学までエスカレーター。
成績優秀で運動神経万能。
部活動には所属していなかったが、いろんな部活動から勧誘やヘルプの声がかかるほどだった。
容姿にも恵まれ中学生の頃から告白を断っても断っても次から次へと新しい子から告白されるなんてのはいつものことだった。
そんな中俺が初めて高校の時に付き合った奈津子と旅行にでかけて…。
そうだ。
その時だ。
俺は…田舎の空気が吸いたいと言って二人で行った福島旅行だ。
俺の運転で福島まで行って山道を迷って迷って…。
やっと見つけた山奥の民家に助けを求めようとして…。
落とし穴みたいなみたいなのに落ちて…。
そこからの記憶が無い…。
青年はまだ池の近くに立ち尽くしていた。
今この体にある記憶はなんだ?
名前は…フトリ=ニッケーリ。
ニッケーリ家の次男として生まれ、生まれてこの方優秀だった兄に一度も勝ったものが無い。
ふてくされて部屋に引きこもり続けたこいつはついに父親の怒りに触れ追い出された。
必死に抵抗しようとしたこいつだったが、父親の言葉で完全に心が折れたようだな。
「デブでブサイクに人権なんてあるわけ無いだろ!」
すげーパンチの効いた言葉だな。
それでこいつは普段あるきもしていなかったこの体にムチを打ってここまでやってきて…力尽きたのか。
ダサすぎるだろこいつ。
それにしても何でこいつの記憶なんてのが俺にあるんだろうか。
自分の現状に理解が追いつかずただただ立ち尽くしている青年の居た池の水に波紋が広がり始める。
誰かが何かを落としたわけではない。
池の魚がはねたわけでも無い。
なにもないところから急に波紋が広がり始める。
青年は泉の中心部から何かが出てくるのを確認した。
少しずつ少しずつ水の中から現れたのは羽衣をまとった女性だった。
白い肌に絹のようななめらかな服を身にまとい神々しいオーラを身にまとったその女性は一歩また一歩とこちらに近づいてくる。
その女性の人ではない何かを感じ取り俺は後ずさりする。
「あなたが…」
女性に声をかけられた。
「あなたが失ったのは…優秀だった頃の地位ですか?それとも女性に言い寄られるほどの容姿ですか?」
その問いかけに対して俺は悩むことなく叫んでいた。
「その両方!すべてだ!俺を元いた世界に戻してくれ!!」
俺の叫びを聞いた女神の口角は上がり始め微笑み…いや、これは…。
「強欲なあなたにはこのすべてを取り上げその素敵な体をプレゼントしてあげましょう」
こいつ…歪んだ笑顔をしてやがる。
個の顔は勝利を確信し、勝ち誇った時に…相手を見下している時にする顔だ。
「なんだてめぇ!どういうことか説明しろよ!こっちとら何が起きてるかすらわかんねぇんだから」
その言葉を聞くと更にその歪んだ笑顔は恐ろしく歪んでいった。
「あなたはもう前の世界には戻れません」
「なぜだ!」
「あなたは前の世界では死んでいます。ですからもう戻ることができないのです」
俺が…死んだ?
あの家の近くにあった落とし穴か!
「ああ、もう耐えられない。もー無理演技とかできないわ」
急に腹を抱えて笑い出す女性。
「あんたは前の世界で肥溜めに落ちて死んだの。くっさいところに落ちて無様に死んだのよ。それで今までの人生が出来すぎているみたいだったからちょっと私があんたに素敵な素敵なプレゼントでもしてやろうと思ったってわけ」
素敵なプレゼント…だと?
「その体はあんたも知っての通りフトリ=ニッケーリって名前の貴族だった男よ。でも、父親の怒りを買って家を追放されたのよ。そんでこんなところまで来て自分の人生に嫌気がさしていたみたいだったからあんたの魂と交換してやったのよ」
「なんのために?それにお前は誰なんだ?」
俺の質問に対して「何熱くなってんの?白けるわーキモ」って感じで表情をなくす女性。
「なんのため?そんなの暇つぶしに決まってんじゃない。何か前の世界ではいい気になってたみたいだからそんな人間が一人絶望的な状況に追い込まれたらどうなるのかを見てみたかっただけよ。それくらい私にはできるのよ。だって私女神ですもの」
そんな理由で?
俺の人生を終わらせてくれなかったのか?
ただ、俺が追い込まれる姿を見たかっただけだと?
「ざっけんな!てめぇ!」
「はいはいうるさいですよそこ。今の自分の姿をもう一度確認しなさいって」
女神が右手を胸の前に出すと鏡が現れ俺の体が映し出される。
「あんたはデブでこれ以上無いってくらいブサイクでなんの才能もない人間に生まれ変わったの。わかる?」
鏡に映し出されている俺は。
ベルトの上に乗っかった腹とある意味豊満な胸を持ち顎は二重でボサボサの髪で自分の顔が見えないほどだった。
「だっさいだっさいあんたはこれからその体で生きていくのよ。あ、そうだ!いいこと思い付いちゃった」
鏡を消し去り両手を俺の方に向ける。
「可愛そうなあなたに女神からもう一つプレゼントをあげるわね」
かすかに女神の体から光があふれるように出ているのがわかる。
「おまたせー。とびっきりのプレゼントよ?喜びなさいよ」
体を確認してみるが、何も変化はないように思える。
「ちゃ~んと変化しているわよ。そうだこの世界にはステータスを確認できるステータスプレートってのがあるからステータスって言ってみなさい」
どうやらその女神様からの加護というものを確認するためには言われたとおりにするしか無いみたいだ。
「ステータス」
目の前にプレート状の何かが浮かびそこに書かれていたのは…。
=============================
フトリ=ニッケーリ
男 20歳
レベル1
体力1 魔力1
攻撃1 防御1
俊敏1 運 1
知力? 精神力?
その他
【女神の悪意】:体型が変わらなくなる
【女神のわがまま】:レベルが上がるまでに2倍の経験値が必要
【女神のきまぐれ】:毒耐性・マヒ耐性・自死不可
=============================
なんだ…これ?
悪意で体型が変わらない?
わがままでレベルアップに必要な経験値が2倍?
気まぐれで自死不可能?
「なんだよ…これ」
「だって~あんたが自殺なんてしちゃったら~せっかくのおもちゃがなくなちゃうんでしょ~?そんなのつまらないじゃない。それに、その見にくい体型があってこそだともおもうのよね~」
「ふざけんなよ。完全に人のことをコケにしやがって」
「そーそー。その顔が見たかったの。もっともっともがいて苦しんで最後は私に死なせてくれと嘆きに来るの。そうしてくれなきゃつまらないじゃない?だからそのための私のわ・が・ま・ま」
こいつ…狂ってやがる。
「せいぜいもがき苦しんで絶望に打ちひしがれて私の元にやってきなさい。そうして「麗しき女神様この醜い私めをどうかお救いください」って私の足元で土下座をしながら言ってくれたら考えてあげないことも無いわよ」
「誰がお前なんかに」
「そう。交渉決裂ね。じゃ、せいぜい頑張って踊ってね?私の残念なおもちゃ」
そう言うと女神は消え去った。
俺が今見ているのはなんだ?
俺は誰だ?
目の前に写っているのは…この醜い顔面はなんなんだ?
一人の青年が池の畔に一人立ち尽くしていた。
青年の腹はでっぷりと張り出していて明らかな運動不足がうかがえる。
身につけている衣服は土埃で汚れていた。
青年は一人でずっと湖に映る自分の姿を見続けている。
「ざっけんな!夢なら早く覚めろよ!」
叫んでみてもその声を拾ってくれる人は近くに居ない。
ふーふーとただ叫んだだけなのに肩で呼吸をしている。
どうして?
何で!?
これは誰なんだ?
その問いかけに答える物はいなかった。
俺の名前は小川昌人で大学生だったはずだ。
裕福な家に生まれ有名私立中学校に進学して高校大学までエスカレーター。
成績優秀で運動神経万能。
部活動には所属していなかったが、いろんな部活動から勧誘やヘルプの声がかかるほどだった。
容姿にも恵まれ中学生の頃から告白を断っても断っても次から次へと新しい子から告白されるなんてのはいつものことだった。
そんな中俺が初めて高校の時に付き合った奈津子と旅行にでかけて…。
そうだ。
その時だ。
俺は…田舎の空気が吸いたいと言って二人で行った福島旅行だ。
俺の運転で福島まで行って山道を迷って迷って…。
やっと見つけた山奥の民家に助けを求めようとして…。
落とし穴みたいなみたいなのに落ちて…。
そこからの記憶が無い…。
青年はまだ池の近くに立ち尽くしていた。
今この体にある記憶はなんだ?
名前は…フトリ=ニッケーリ。
ニッケーリ家の次男として生まれ、生まれてこの方優秀だった兄に一度も勝ったものが無い。
ふてくされて部屋に引きこもり続けたこいつはついに父親の怒りに触れ追い出された。
必死に抵抗しようとしたこいつだったが、父親の言葉で完全に心が折れたようだな。
「デブでブサイクに人権なんてあるわけ無いだろ!」
すげーパンチの効いた言葉だな。
それでこいつは普段あるきもしていなかったこの体にムチを打ってここまでやってきて…力尽きたのか。
ダサすぎるだろこいつ。
それにしても何でこいつの記憶なんてのが俺にあるんだろうか。
自分の現状に理解が追いつかずただただ立ち尽くしている青年の居た池の水に波紋が広がり始める。
誰かが何かを落としたわけではない。
池の魚がはねたわけでも無い。
なにもないところから急に波紋が広がり始める。
青年は泉の中心部から何かが出てくるのを確認した。
少しずつ少しずつ水の中から現れたのは羽衣をまとった女性だった。
白い肌に絹のようななめらかな服を身にまとい神々しいオーラを身にまとったその女性は一歩また一歩とこちらに近づいてくる。
その女性の人ではない何かを感じ取り俺は後ずさりする。
「あなたが…」
女性に声をかけられた。
「あなたが失ったのは…優秀だった頃の地位ですか?それとも女性に言い寄られるほどの容姿ですか?」
その問いかけに対して俺は悩むことなく叫んでいた。
「その両方!すべてだ!俺を元いた世界に戻してくれ!!」
俺の叫びを聞いた女神の口角は上がり始め微笑み…いや、これは…。
「強欲なあなたにはこのすべてを取り上げその素敵な体をプレゼントしてあげましょう」
こいつ…歪んだ笑顔をしてやがる。
個の顔は勝利を確信し、勝ち誇った時に…相手を見下している時にする顔だ。
「なんだてめぇ!どういうことか説明しろよ!こっちとら何が起きてるかすらわかんねぇんだから」
その言葉を聞くと更にその歪んだ笑顔は恐ろしく歪んでいった。
「あなたはもう前の世界には戻れません」
「なぜだ!」
「あなたは前の世界では死んでいます。ですからもう戻ることができないのです」
俺が…死んだ?
あの家の近くにあった落とし穴か!
「ああ、もう耐えられない。もー無理演技とかできないわ」
急に腹を抱えて笑い出す女性。
「あんたは前の世界で肥溜めに落ちて死んだの。くっさいところに落ちて無様に死んだのよ。それで今までの人生が出来すぎているみたいだったからちょっと私があんたに素敵な素敵なプレゼントでもしてやろうと思ったってわけ」
素敵なプレゼント…だと?
「その体はあんたも知っての通りフトリ=ニッケーリって名前の貴族だった男よ。でも、父親の怒りを買って家を追放されたのよ。そんでこんなところまで来て自分の人生に嫌気がさしていたみたいだったからあんたの魂と交換してやったのよ」
「なんのために?それにお前は誰なんだ?」
俺の質問に対して「何熱くなってんの?白けるわーキモ」って感じで表情をなくす女性。
「なんのため?そんなの暇つぶしに決まってんじゃない。何か前の世界ではいい気になってたみたいだからそんな人間が一人絶望的な状況に追い込まれたらどうなるのかを見てみたかっただけよ。それくらい私にはできるのよ。だって私女神ですもの」
そんな理由で?
俺の人生を終わらせてくれなかったのか?
ただ、俺が追い込まれる姿を見たかっただけだと?
「ざっけんな!てめぇ!」
「はいはいうるさいですよそこ。今の自分の姿をもう一度確認しなさいって」
女神が右手を胸の前に出すと鏡が現れ俺の体が映し出される。
「あんたはデブでこれ以上無いってくらいブサイクでなんの才能もない人間に生まれ変わったの。わかる?」
鏡に映し出されている俺は。
ベルトの上に乗っかった腹とある意味豊満な胸を持ち顎は二重でボサボサの髪で自分の顔が見えないほどだった。
「だっさいだっさいあんたはこれからその体で生きていくのよ。あ、そうだ!いいこと思い付いちゃった」
鏡を消し去り両手を俺の方に向ける。
「可愛そうなあなたに女神からもう一つプレゼントをあげるわね」
かすかに女神の体から光があふれるように出ているのがわかる。
「おまたせー。とびっきりのプレゼントよ?喜びなさいよ」
体を確認してみるが、何も変化はないように思える。
「ちゃ~んと変化しているわよ。そうだこの世界にはステータスを確認できるステータスプレートってのがあるからステータスって言ってみなさい」
どうやらその女神様からの加護というものを確認するためには言われたとおりにするしか無いみたいだ。
「ステータス」
目の前にプレート状の何かが浮かびそこに書かれていたのは…。
=============================
フトリ=ニッケーリ
男 20歳
レベル1
体力1 魔力1
攻撃1 防御1
俊敏1 運 1
知力? 精神力?
その他
【女神の悪意】:体型が変わらなくなる
【女神のわがまま】:レベルが上がるまでに2倍の経験値が必要
【女神のきまぐれ】:毒耐性・マヒ耐性・自死不可
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なんだ…これ?
悪意で体型が変わらない?
わがままでレベルアップに必要な経験値が2倍?
気まぐれで自死不可能?
「なんだよ…これ」
「だって~あんたが自殺なんてしちゃったら~せっかくのおもちゃがなくなちゃうんでしょ~?そんなのつまらないじゃない。それに、その見にくい体型があってこそだともおもうのよね~」
「ふざけんなよ。完全に人のことをコケにしやがって」
「そーそー。その顔が見たかったの。もっともっともがいて苦しんで最後は私に死なせてくれと嘆きに来るの。そうしてくれなきゃつまらないじゃない?だからそのための私のわ・が・ま・ま」
こいつ…狂ってやがる。
「せいぜいもがき苦しんで絶望に打ちひしがれて私の元にやってきなさい。そうして「麗しき女神様この醜い私めをどうかお救いください」って私の足元で土下座をしながら言ってくれたら考えてあげないことも無いわよ」
「誰がお前なんかに」
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