遊佐賀奈子と八人の鬼婦人

マヤカナヒロキ

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10話

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(今まで体験したことのないほど体が怠い。)


瞼を開ける前にそう感じた。


(このまま眼を開けずに寝ていたい。)


しかし、気になることがある。


瞼を閉じててもわかる。


何か自分の近くにいると。


遊佐が眼を開けるとまず見えたのは部屋の天井、そして視線を横にやると一人の女性がいた。


遊佐が城に入った時に何人か見かけたメイドのうちの一人だった。


メイドは遊佐が目を覚ました事に気づくと


「起きましたか。少しお待ちください。」


と言って、部屋を出ていく。


状況がわからない遊佐はメイドが出ていってから少しの間ボーっとしてたが、だんだんと何が起きたのか思い出してきた。


(そうだ!私は確かオクタゴン姉妹にっ!)


そう思い出した瞬間、部屋のドアが開く。


遊佐がドアの方向を見ると、オクタゴン姉妹たちが部屋に入ってきた。


「っ!!!」


遊佐は自分を瀕死に追いやった怪物たちを目の前にし、本能的に逃げなければと感じたが、体が思うように動かない。


全身がざわいついて、冷や汗がでる。


(無理だ。逃げられない。)


遊佐が半ば諦めかけたその時、長女リンボが遊佐へと話しかける。


「まだ横になってなさい。完全には治ってないでしょう?」


「へっ?」


自分をボロボロにした怪物に予想外の言葉をかけられ、思わず力の抜けた声が出る。


「悪かったわね。殺すつもりではなかったのだけど。」


四女ピニーペリーが


「どっかの天然ちゃんとおこりんぼさんが早とちりしちゃって殺そうとしたからねー笑」


「うっさいわね!侵入してたのは事実でしょ!」


三女ピーカが腕を組んでプイッとそっぽを向く。


「話す気はないみたいねって。話す時間も与えずに痛めつけるんだもの。ぷぷぷ。笑」


そっぽを向いていたピーカはピニーペリーの方をみてぐぬぬとしている。


七女ラッキーは


「私は殺そうとしてない。。押さえつけただけ。ピーカ姉様は殺そうとしてた。」


ピッっとピーカを指差しながらそっぽを向く。


「ラッキーあんたねぇ!」


「その辺にしときなさい。リンボ姉様が話せないでしょ。」


喧嘩を止めるよう次女イェティが言う。


遊佐は目の前で何が起きてるのか理解できず、唖然としている。


「さて、色々と聞きたいことがあるの。正直に全部答えなさい。」


リンボのその言葉を聞いて、遊佐は我に返る。


「な、何?」


遊佐のその反応を見て、リンボはメイドの方をみる。それを見たメイドは一礼して部屋のドアを開ける。
すると執事とメイドが椅子を持ってきて遊佐のいるベットを囲むように椅子を配置した。それにオクタゴン姉妹たちは座る。
遊佐から見て左手にイェティ、ピーカ、ピニーペリー。正面にリンボとアナスタシア。右手にエリザベス、ワイズ、ラッキー。


(す、すごい威圧感。。)


顔に吸盤のついた怪物たちに囲まれて遊佐はプレッシャーに息を飲む。


「それじゃ、最初の質問よ。」
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