遊佐賀奈子と八人の鬼婦人

マヤカナヒロキ

文字の大きさ
16 / 27

16話

しおりを挟む
「、、、。」


「、、、。」


「、、、何か言いなさいよ。」


「何かって言われても。」


「まぁいいわ。とりあえずリンボ姉が言う通りにするわ!遊佐賀奈子。」


「はい、それでお願いします。」
(やりづらい。)


「こっちきなさい!」


ピーカは自分の机の前に来るように遊佐にクイクイッと手招きする。
遊佐が机の前までくると八角都市の地図が広げられていた。


「ここがあたしの担当している区画!」


ピーカはそう言うと勢いよく地図の一区画を指差す。


「ここは商業区よ。ここは他の区画とは比べ物にならないくらいの数の商人が集まって商売してるわ!」


「へぇ。ショッピングモールみたいな?」


「なにそれ?とにかく!ここで違法な物の取り引きをしている輩がいるのよ!」


「違法な物?どんな?」


「煙果えんかよ。」


「演歌?」


遊佐は前に一度、組織内の懇親会で酔った進藤博士が下手くそな演歌を歌って、気まずい雰囲気を作ったというどうでもいいことを思い出してしまった。


「あなた、絶対違うこと考えてるでしょ?」


「はは、私の世界じゃ聞いたことなくて。」


「これよ。」


ピーカは机の引き出しからシワシワの黄色い果実を取り出した。机の上に出た瞬間、甘ったるい匂いがしてきた。


「乾燥した果物?」


「まあそうね。でもこれは直接口にすると不味すぎて食べれたものじゃないわ。」


「ふーん。でもこれのどこが違法なの?」


「違法なのはこの果実の所持と火で炙って煙を吸うことよ。この果実は炙るとすごく甘い香りの煙を出すのだけど、煙には中毒性があるわ。二、三度くらい吸い続けるとやめられなくなるらしいわね。さらにこの煙を吸うと、食べてもないのにお腹が満たされた感覚になるらしくて、まともな食事もせずに栄養不足で倒れる人が増えてるのよ。」


「じゃあこの果実のでどころと、それを売っている輩を突き止めるのが私のやる事というわけ?」


「そうよ!わかったらさっさと支度して調べてきなさい!」


「え、今すぐ?」


「当たり前じゃない!」


「、、了解。」



遊佐がピーカに背中を向けて部屋から出ようとした時に、ピーカから呼び止められる。


「待ちなさい!」


「え、何?」


「やっぱりあなただけじゃ不安だから、こっちから一人、この調査に同行させるわ。」


ピーカはそう言うと執事を読んで指示を出した。執事は部屋から出て行き、暫くすると一人の男性が部屋に入ってきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

処理中です...