遊佐賀奈子と八人の鬼婦人

１５話

渡されたのは八角都市の地図だ。遊佐が地図を広げて見たのを確認したリンボは説明を始める。


「この都市は城を中心にして八方向へ街道が真っ直ぐに外壁まで伸びて区画を分けているわ。そうして分けられた八つの区画を私たちが一人一区画担当して管理しているわけだけど、ここ最近この八区画全てでそれぞれ看過できない問題が起こっているの。」


「問題？」


「ええ、初めはただの偶然かと思ったけど。ほぼ同時期に発生したことと、その内容からも人為的な働きかけがされているのはまず間違い無いわ。裏で糸を引く輩がこの都市に潜伏している。その輩の正体を暴くこと、そしてそれぞれの区画で起きている問題を解決することをあなたにはやってもらうわ。」


「、、それをやれば私を解放してくれるの？」


「ええ、約束しましょう。」


「、、わかった。やる。」


「あら、やる気ね。頼もしいわ。あなたの姿を消せる能力、私たちは気づいたけど普通の人は気づくことはないでしょう。」


エリザベスがダルそうに話す。


「私たちが直接動くと目立って全然手がかりが掴めないからね～。助かったよ。」


「はあ、どうも。えっと、じゃあ私はまずどこの区画から調べたらいいの？」


「そうね、昨日も言った通りピーカが担当している区画からお願いしましょうか。」


「、、、。」


ピーカは無言で遊佐を睨んでいるような感じでみている。


「ピーカ。」


リンボはフゥと息を吐いてやれやれと言った感じでピーカに言う。


「わかったわよ。リンボ姉。さあ遊佐賀奈子、私の部屋に来なさい！」


と言って立ち上がり部屋を出て行く。


「ごめんね～。うちのおこりんぼさん頑固だから。あんまり気にせず頑張ってね～♡」


ピニーペリーは頬杖をつきながら片方の手を振っている。


遊佐は渋々立ち上がり執事に案内されながら部屋を出て行く。


「だ、大丈夫ですかね。遊佐賀奈子さん。」


ワイズはオロオロとしている。


「さぁどうでしょうね。」


イェティは落ち着きのある声色で答えながら食事を続ける。アナスタシアも食事に夢中だ。




遊佐は執事に案内されピーカの部屋の前に立つ。

ノックをすると

「入りなさい。」

と不機嫌なのが伝わってくる声が扉の奥から聞こえてきた。


（入りづらい、、。）


そう思いながらも中へ渋々入る。


目の前には執務用の机と椅子があり、ピーカが腕を組んで高圧的な感じで椅子に座ってる。