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第1章
16、近衛大隊部隊長
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エルギン砦の外郭には東西南北に四つの門があり、そのうちの西の城門を警護していた兵士は遠くに砂煙が立つのを見つけた。
数騎の集団がこちらに向かっている。
近づくと近衛大隊の白の服装だが、先頭に立つ人物は辺境伯と同じ軍装だった。
近衛大隊の右翼と左翼の部隊長のみが許される軍装だ。
何故ここに近衛大隊の部隊長が来るのだろうと疑問だったが、城塔の中にいた同僚たちにも声を掛けて、到着するまで待った。
先頭の人物の顔が確認できるほどの距離となり、驚きに言葉を失った。
「王太子殿下のご命令で参った。エルギン辺境伯に取次ぎを願いたい」
穏やかな表情で口上を述べるナイジェルにその場の責任者なのだろう年輩の兵士が強張った表情のまま先頭に立って案内をする。
外郭の内部は兵士たちの住まいや市場などの多くの建物が整然と立ち並び、数万の市民が住んでいる。
ナイジェルはエルギンに住む市民にも人気があるので、外郭に出ると必ず声を掛けられるのだが、その軍装に只ならぬものを感じて、ひそひそと遠巻きに見守ることしかできなかった。
内門の警備の兵士も同様にナイジェルの姿に驚いたようだった。
バスターの執務室に向かう途中、知らせが瞬く間に広がったのだろう、人だかりができていた。
大半はナイジェルの大隊に所属する兵士たちだった。
驚愕の表情を貼りつかせたまま、自分たちの大隊長に声を掛けることもできず、無言のまま見送る。
「ナイジェル大隊長……」
スィムナールはナイジェルの姿を見ると顔色を紙のように白くさせたまま絶句していた。
ブレンドンは普段以上に苦い顔つきのまま、ジハンギルは逆に表情を消している。
「ナイジェル大隊長、これはどういうことですか?」
努めて冷静さを保とうとカールーンは問いかけたが、口調は震えていた。
隣に立つスライは衝撃で言葉も無い様子だった。
怪我をしていない方の手を握りこんで震わせている。
スライはナイジェルの後ろにいる三人の近衛兵を睨み付け、ナイジェルの方へ一歩踏み出そうとした瞬間ベルナルドがナイジェルを庇うように前に立った。
「無礼でありましょう。かつては貴方がたの同僚であり、上官であったでしょうが、今は新設される近衛大隊中央部隊の長に就任されたのです。地位は辺境伯と同等。身分を弁えられよ」
いつも浮かべている笑顔を消して、厳しい口調で言い放った。
「止せ、ベルナルド。カールーン、後で説明する。まずは閣下に話をしてからだ。済まないが通してくれ」
「……承知、しました」
言葉とは裏腹に納得がいかないのだろう、眉間にしわを寄せたまま道を開ける。
「すまない」
礼を言ってナイジェルは人垣をすり抜ける。
ベルナルドはまたいつもの表情になりナイジェルの後に続いた。
二人の近衛兵はカールーンたちの無言の威圧に怖気づきながらナイジェルたちの後を追っていった。
訪いを入れてバスターの執務室に入るとバスターの他に初老の男がいた。
グラントだったが、ナイジェルは初めて見る男に軽く会釈をした。
バスターはナイジェルの姿に愕然としたまま言葉も出ない様子だった。
「おお、ナイジェル殿。王太子殿下の願いを受けられたようですな」
「はい。失礼ですが、お名前を聞いてもよろしいですか」
「これは失礼。グラント・サミュエルスと申します。近衛大隊右翼部隊で小隊長をしております。以後、お見知りおきを」
「ナイジェル・イスハークです。このたび、王太子殿下より新しい近衛大隊の長を拝命いたしました」
バスターは驚きが去ると猛烈な怒りの感情が湧いてきた。歯軋りしてグラントを睨み付ける。
「……王太子殿下の使者とはナイジェルのことだったのか」
「ふむ、どちらに転ぶにしろな。賭けは王太子殿下の勝利であったな」
「ナイジェル、何故だ。何か不満でもあったのか。次の辺境伯はお前だと思っていたのだぞ。それとも、王太子殿下に――」
「いえ、不満はありませんでした。これは俺の意志です」
激しく言い募るバスターを遮って、バスターの目を見てはっきりと言った。
ナイジェルの反論に驚きに目を丸くしたバスターはくしゃりと顔を歪ませた。
「久しぶりだな、お前と視線が合ったのは。……お前が儂の目を見て話すことなど長らくなかったからな」
バスターに指摘され、ナイジェルは動揺したが、すみませんと小さく謝罪するとまたバスターを見据え、ここに至った経緯を話し始めた。
「殿下がそのようにお考えとはな」
バスターは腕を組んで、考え込んだ。
「バスター、お主はそれほどではないがライギット辺境伯とカーマーゼン辺境伯の態度がな。王太子殿下の猜疑心を助長させたのは間違いないな」
グラントが溜息交じりで述懐した。
「だがな、バスター。殿下の御懸念は絵空事とは言えぬだろう。ここに滞在してよくわかった。アジメールのグリーノックからエルギンに至るまで、エルギン辺境伯の影響力は絶大だ。エルギンにも摂政殿下が任命した行政官がいるはずだが、辺境伯の許可がなければ何もできまい」
グラントの言いようにバスターは眉を顰めたが、否定できない面もある。
エルギンは王家の直轄地なので王都から行政官が派遣されてくるが、任期が終われば去ってしまう行政官よりも、まず最初に辺境伯の方に事務方の書記や公証人は意見や許可を求めに来る。
習慣化していたことなので、バスターもそのままにしていたが、確かに王太子にしてみれば面白くは無かろう。
フェルガナの大使がアジメールの王都に赴く際も必ずと言っていいほど、エルギンに立ち寄ってご機嫌伺いに来る。
「しかしなあ、ナイジェル一人ではどうにもなるまい」
納得がいかないようでバスターは渋った。ナイジェルに思い止まって欲しいのだろう。
「はい、……それで閣下にお願いがあります」
ナイジェルの表情に思わず笑みがこぼれた。
緊張しているのか顔色はいつも以上に白くどこか縋る様な眼差しだった。
「儂が出来ることであればな」
初めて甥に頼られることがその甥を手放す手伝いとはなと少しだけ悲しく思いながら、ナイジェルの頼み事に耳を傾けた。
各大隊の中隊長以上の者が広間に集められた。
上座に当たる場所を開けて、円を描くように九人の大隊長が座り、その後ろに配下の中隊長たちが座る。
ナイジェルのことは知れ渡っているので、第三大隊の者に問い質そうとした者もいたが、睨み付けられて終わっている。
不自然な沈黙が続く中、ナイジェルがグラントとベルナルドら近衛兵を引き連れて広間に入ってきた。
話は聞いていたが、ナイジェルの姿を見てほうと感嘆するようなどよめきが起きる。
ナイジェルは少し戸惑ったような表情を浮かべたが、空いている場所に座るとグラントを紹介した。
「本来なら先にエルギンを離れる挨拶するべきなのでしょうが、王太子殿下に新設される近衛大隊の長に任命されました。皆に迷惑をかけることお詫びします」
そう言って、ナイジェルは丁寧に頭を下げた。
ナイジェルが頭を下げたことにひどく不満そうにアントンが口を挟んできた。
「近衛大隊の長たる貴方が頭を下げられては、近衛大隊の権威が損なわれます。そのような真似はやめて頂きたい」
「権威?」
ナイジェルは頭を上げると発言したアントンの顔を見た。
恐ろしいほどに冷ややかな響きをもった口調にグラントとベルナルドが驚いたようにナイジェルを見た。
アントンはナイジェルの冷たい眼差しに怯みながらも胸を張り、大きく頷く。
「左様でございます。エルギンのような田舎にいたからわからないかもしれませんが、近衛大隊は名誉ある」
「部隊長が御前会議に呼ばれなくなって久しいと言うのに権威とはな。そんなものがあるのならば、お前の言うエルギンの田舎から俺が呼ばれることなどない。余計な口を聞いて話を中断させたいだけならば下がっていろ」
「わ、私は護衛としての任務がございます」
「俺に護衛が必要だったとは思わなかったな。他の近衛大隊からの監視かと思っていた。下がっていろ」
顔を紅潮させてなにか口の中で呟いていたが、大隊長たちからも冷ややかな視線を浴びせられ、下がって行った。
「話を中断させて済まない」
「ナイジェル……殿も大変ですな」
最年長の第四大隊の大隊長カーディル・クシチュが苦笑いを浮かべて慰めてきた。大隊長と言いかけたのが分かりナイジェルも苦笑する。
改めてナイジェルが近衛大隊の部隊長になった経緯をグラントと補足しながら説明をする。
流石にシンと静まり返ってしまった。
「なるほど、田舎者と嘲られているだけかと思っていましたが、危険視されるとは知りませなんだ」
カーディルは白髪交じりの顎鬚を撫でながら嘆息する。
「しかし、エルギンとて人材が有り余っているわけではない。ナイジェル殿が抜けるだけでも打撃は大きいのに兵力を裂けとは」
唸るように難色を示したのは第五大隊の大隊長フローレンツ・ジークフェルドで他の者も同様なのだろう、また沈黙が落ちる。
「仕方ありますまい。王太子殿下の命もありますが、これまでナイジェル殿には返しきれないほどの恩がありますからな」
「そのようなものがありましたか?」
ナイジェルが不思議そうに首を傾げるとカーディルは苦笑する。
「戦場では何度も命を救われてますからな」
「それはお互い様でしょう」
生真面目に返すナイジェルに何とも言えない眼差しでナイジェルを見る。
他の大隊長たちも似たような表情だ。
「ナイジェル大隊長」
今まで黙って聞いていたカールーンが手を上げて発言した。
「第三大隊はどうするおつもりですか?」
「俺としてはカールーンを次の大隊長に副官にはスライを推薦したい。近衛大隊に移っても良いという者を連れて行きたいが」
ナイジェルの答えにカールーンは仕方がなさそうに頷き、スライは納得し兼ねる様子だった。
他の大隊長たちはそれが順当だなと承認する様子だ。
「ナイジェル殿、特に連れて行きたい者はいるのですかな?」
第十大隊の大隊長エリングウッドが聞いた。
「出来れば、バハディル中隊長を連れて行きたいのですが」
「お、俺ですか?」
いきなり名指しで呼ばれてバハディルが驚愕していた。
ナイジェルがバハディルの名前を出した瞬間、スィムナールは信じられないものを見るようにナイジェルを見た後俯いて肩を震わせていた。
無表情で話を聞いていたジハンギルは眉を寄せただけですぐにまた元の無表情に戻り、ブレンドンは盛大に顔を顰めたが、俯いたままのスィムナールの方を心配そうに見ていた。
「ええ、バハディル中隊長は王都に詳しく、情報にも長けていますから」
「ま、まあ、ナイジェル大隊長がそうおっしゃるなら考えなくもありませんな」
顰めつらしく言ってはいるが口元が緩んでいる。
バハディルはちらりと自分が所属する第七大隊の大隊長ラージクを見るが、ラージクは苦笑しながら、
「本人が行きたいと言うならば、止めはしませんよ。元からバハディル中隊長は第三大隊所属のようなものですからな」
「――有難うございます」
ナイジェルはラージクの言葉に当惑したように首を傾げたが、礼を言った。
「では、隊の者に話をしましょう。ですが、無理には近衛大隊に兵力を融通することは出来かねますので、そこは了承して頂きたい」
「それは無論、分かっております」
話が終わり、立ち上がったナイジェルの姿をカーディルが眩しそうにしみじみと眺める。
「ナイジェル殿、貴方は白がよくお似合いですな」
どう答えたものか逡巡するナイジェルにカーディルは穏やかな笑顔を浮かべる。
「しかし、我らは貴方は同じ礼装でも青の方が似合うと思っておりました」
じっとナイジェルの表情を探るように語る年長の同僚に驚いたように目を見張ると
「ご期待にそえず、申し訳ない」
笑みを浮かべるナイジェルの顔には後悔の影はない。
広間から出て行くナイジェルを無言のまま見送り、カーディルは苦い溜息をついた。
「我らは未来の辺境伯を失ったようだな」
無言のまま他の大隊長たちも頷く。
いきなりスィムナールは立ち上がるとナイジェルの後を追うように広間を出て行く。
ブレンドンとジハンギルもそれに続く。
その様子を大隊長たちは苦い表情で見ていた。
「どれだけの兵力を持っていかれるか、少々心配ですな」
乾いた笑いを浮かべたのはナイジェルに次いで若い第九大隊の大隊長サーディーだった。
「……第三大隊をそのまま持っていかれるよりましだろう」
カーディルは苦笑しながら、カールーンの方を見る。
カールーンは腕を組んだまま、目を瞑っている。その後ろにいるスライも沈んだ表情だった。
カールーンとスライを残したのは、ナイジェルの配慮だろう。
第三大隊はオグズ族出身の者が多く、カールーンは族長の家系で一族の有力者でもある。
スライもエルギンに定住化した遊牧民の部族出身で部族間のつながりは今も深く、部族内の実力者だ。
彼ら二人がナイジェルに付いて行けば、櫛の歯が欠けるように手練れの騎兵が抜けることになっただろう。
ナイジェルは私室に戻って、私物の整理をしていた。ベルナルドもナイジェルにしきりに話しかけながら手伝っていた。
「大隊長と言っても割と質素なんですね」
「近衛大隊は違うのか」
「ええ、それはもう派手な生活をされてますねえ。色々と実入りがありますから」
「なるほどな」
ベルナルドに背中を向けたまま、書類を束ねているとベルナルドが咳払いをして注意を引く。
「なんだ?」
「あのう、俺はどうなるのですかね?」
「どうなるとは?」
「この護衛の仕事が終わったら、その……所属が変わるのでしょうか?」
珍しく躊躇しながら聞いている様子だった。
ナイジェルは微笑を浮かべる。
「それはお前の実力次第だな。それにお前の上官の許可がなければ変わることはないだろう」
「実力ね。それは貴方に示せればよろしいのですか」
「そうだな」
ベルナルドはすっと笑顔を消すとカラベラを引き抜き、ナイジェルに斬りつけた。
一連の動きは流れるようで無駄がなかったが、鈍い金属音と火花が散ってナイジェルが逆手で引き抜いた剣に受け止められた。
手にしていた書類の束が、床に散らばる。
ベルナルドは片腕で受け止められたことに驚愕の表情を浮かべたが、続けざまに打ち込む。ナイジェルに双剣を使わせないためだが、数合交えるうちに形勢は逆転する。
背筋が凍るような悪寒が走った瞬間、ベルナルドは後ろに大きく飛び離れた。
ベルナルドの首があった位置を正確にナイジェルの剣が薙いで行った。
ベルナルドはカラベラを構えたまま、何度も大きく息を吸い込む。痛いくらいに心臓が脈を打っていて、額からは汗が流れ落ちた。
ナイジェルは双剣を抜いたまま、無表情で立っていた。
表情が伺えない瞳に戦慄した。
「……貴様、誰に剣を向けている」
押し殺した怒りを込めた声がベルナルドの背後から聞こえた。
部屋に入ってきたスィムナールがベルナルドの背中に剣を突き付けた。
ベルナルドは黙って両手を上げる。
「スィムナール、剣を下ろせ」
「……しかし」
「いいんだ」
「……はい」
ベルナルドはホッとして額から流れる汗を拭った。正直スィムナールに救われた形だ。
「ベルナルド」
ナイジェルに呼ばれて姿勢を正す。
「はい」
「首の怪我を治療してもらえ」
慌てて首元に手をやると詰襟の部分が切り裂かれ、首に赤い線が走っていた。
完全に避けたと思っていたが、甘かったようだ。
頭を下げて、出て行こうとするベルナルドを呼び止めた。
「お前の所属はどこだ」
「左翼の第一部隊です」
「向こうの上官次第だが、移れるように話をしよう」
悄然と項垂れていたベルナルドは顔を上げ、これ以上ないほど嬉しそうな笑みを浮かべる。
「大丈夫ですよ、俺は無能な人間だと思われてますので」
ナイジェルは眉を顰める。
「情けないことを胸を張って言うな」
「そうですかねえ。貴方も近衛大隊に係わっていくので、直に分かりますよ。グラント様が小隊長のままなのが良い例ですよ」
首を竦めて、どこか遣り切れない燻りがその笑顔を浮かべた顔を暗くさせたが、すぐにいつもの気の抜けた笑顔に変えるとナイジェルの部屋から出て行った。
ナイジェルは溜息をつくと散らばった書類を拾い始めた。
スィムナールたちは部屋に入って来て、無言でそれを手伝った。
「貴方がここに来てもう十二年経ちますね」
突然スィムナールがそんな風に言いだしたことに驚いてナイジェルは顔を上げた。
「長いようで、短い月日でした。貴方を上官として仰げて良かった。王都に行かれてもお元気で」
笑顔で右手を差し出してくるスィムナールにナイジェルは茫然として差し出された右手を見つめていた。
「……そうか」
暫く無言で立ち尽くしていたが、そう口の中で呟くと笑みを浮かべスィムナールの手を取った。
「今まで世話になった。感謝する」
礼を言うとスィムナールの手を握ったまま俯く。
「ナイジェル大隊長?」
いつまでも顔を上げないナイジェルを不審そうにスィムナールが声を掛ける。
「俺は――」
ナイジェルの声は震えていた。
「お前たちは黙っていてもついて来てくれるものだと思っていた」
その言葉を聞いた途端、スィムナールは顔を歪めて横を向いた。
ジハンギルは大きく溜息をつくと
「ナイジェル大隊長、そういうことはちゃんと言ってもらわないと分からない。どんなに親しい仲でも言葉に出さなければ、伝わらないことは沢山ある」
無表情のまま文句を言ったが瞳の色は暖かかった。
「お前にだけは言われたくないだろうがな。まあ、そういうことです」
珍しく長々と喋る僚友に苦笑しながら、ブレンドンは彼には珍しく優しい表情でナイジェルに笑いかけた。
ようやくナイジェルが顔を上げた。
涙の膜を張った瞳は翡翠色に揺らめいていた。
「そうだな、済まない。王都に付いて来てほしい。苦労を掛けると思うが、新しい部隊を作るのを手伝ってくれ」
「無論、喜んで行こう」
「右に同じく」
顔を背けたまま、スィムナールも頷いた。
「ナイジェル大隊長は割と面倒事を引き起こすから、心配ですしね」
笑いながらこちらを向いたが、瞳は涙に濡れていた。
「俺はそんなに迷惑をかけていたか?」
納得出来ないようで眉を寄せ、首を捻るナイジェルに対して
『ええ、かなり』
と三人共に声が重なり、ムッとした表情になるナイジェルを見て同時に吹き出した。
数騎の集団がこちらに向かっている。
近づくと近衛大隊の白の服装だが、先頭に立つ人物は辺境伯と同じ軍装だった。
近衛大隊の右翼と左翼の部隊長のみが許される軍装だ。
何故ここに近衛大隊の部隊長が来るのだろうと疑問だったが、城塔の中にいた同僚たちにも声を掛けて、到着するまで待った。
先頭の人物の顔が確認できるほどの距離となり、驚きに言葉を失った。
「王太子殿下のご命令で参った。エルギン辺境伯に取次ぎを願いたい」
穏やかな表情で口上を述べるナイジェルにその場の責任者なのだろう年輩の兵士が強張った表情のまま先頭に立って案内をする。
外郭の内部は兵士たちの住まいや市場などの多くの建物が整然と立ち並び、数万の市民が住んでいる。
ナイジェルはエルギンに住む市民にも人気があるので、外郭に出ると必ず声を掛けられるのだが、その軍装に只ならぬものを感じて、ひそひそと遠巻きに見守ることしかできなかった。
内門の警備の兵士も同様にナイジェルの姿に驚いたようだった。
バスターの執務室に向かう途中、知らせが瞬く間に広がったのだろう、人だかりができていた。
大半はナイジェルの大隊に所属する兵士たちだった。
驚愕の表情を貼りつかせたまま、自分たちの大隊長に声を掛けることもできず、無言のまま見送る。
「ナイジェル大隊長……」
スィムナールはナイジェルの姿を見ると顔色を紙のように白くさせたまま絶句していた。
ブレンドンは普段以上に苦い顔つきのまま、ジハンギルは逆に表情を消している。
「ナイジェル大隊長、これはどういうことですか?」
努めて冷静さを保とうとカールーンは問いかけたが、口調は震えていた。
隣に立つスライは衝撃で言葉も無い様子だった。
怪我をしていない方の手を握りこんで震わせている。
スライはナイジェルの後ろにいる三人の近衛兵を睨み付け、ナイジェルの方へ一歩踏み出そうとした瞬間ベルナルドがナイジェルを庇うように前に立った。
「無礼でありましょう。かつては貴方がたの同僚であり、上官であったでしょうが、今は新設される近衛大隊中央部隊の長に就任されたのです。地位は辺境伯と同等。身分を弁えられよ」
いつも浮かべている笑顔を消して、厳しい口調で言い放った。
「止せ、ベルナルド。カールーン、後で説明する。まずは閣下に話をしてからだ。済まないが通してくれ」
「……承知、しました」
言葉とは裏腹に納得がいかないのだろう、眉間にしわを寄せたまま道を開ける。
「すまない」
礼を言ってナイジェルは人垣をすり抜ける。
ベルナルドはまたいつもの表情になりナイジェルの後に続いた。
二人の近衛兵はカールーンたちの無言の威圧に怖気づきながらナイジェルたちの後を追っていった。
訪いを入れてバスターの執務室に入るとバスターの他に初老の男がいた。
グラントだったが、ナイジェルは初めて見る男に軽く会釈をした。
バスターはナイジェルの姿に愕然としたまま言葉も出ない様子だった。
「おお、ナイジェル殿。王太子殿下の願いを受けられたようですな」
「はい。失礼ですが、お名前を聞いてもよろしいですか」
「これは失礼。グラント・サミュエルスと申します。近衛大隊右翼部隊で小隊長をしております。以後、お見知りおきを」
「ナイジェル・イスハークです。このたび、王太子殿下より新しい近衛大隊の長を拝命いたしました」
バスターは驚きが去ると猛烈な怒りの感情が湧いてきた。歯軋りしてグラントを睨み付ける。
「……王太子殿下の使者とはナイジェルのことだったのか」
「ふむ、どちらに転ぶにしろな。賭けは王太子殿下の勝利であったな」
「ナイジェル、何故だ。何か不満でもあったのか。次の辺境伯はお前だと思っていたのだぞ。それとも、王太子殿下に――」
「いえ、不満はありませんでした。これは俺の意志です」
激しく言い募るバスターを遮って、バスターの目を見てはっきりと言った。
ナイジェルの反論に驚きに目を丸くしたバスターはくしゃりと顔を歪ませた。
「久しぶりだな、お前と視線が合ったのは。……お前が儂の目を見て話すことなど長らくなかったからな」
バスターに指摘され、ナイジェルは動揺したが、すみませんと小さく謝罪するとまたバスターを見据え、ここに至った経緯を話し始めた。
「殿下がそのようにお考えとはな」
バスターは腕を組んで、考え込んだ。
「バスター、お主はそれほどではないがライギット辺境伯とカーマーゼン辺境伯の態度がな。王太子殿下の猜疑心を助長させたのは間違いないな」
グラントが溜息交じりで述懐した。
「だがな、バスター。殿下の御懸念は絵空事とは言えぬだろう。ここに滞在してよくわかった。アジメールのグリーノックからエルギンに至るまで、エルギン辺境伯の影響力は絶大だ。エルギンにも摂政殿下が任命した行政官がいるはずだが、辺境伯の許可がなければ何もできまい」
グラントの言いようにバスターは眉を顰めたが、否定できない面もある。
エルギンは王家の直轄地なので王都から行政官が派遣されてくるが、任期が終われば去ってしまう行政官よりも、まず最初に辺境伯の方に事務方の書記や公証人は意見や許可を求めに来る。
習慣化していたことなので、バスターもそのままにしていたが、確かに王太子にしてみれば面白くは無かろう。
フェルガナの大使がアジメールの王都に赴く際も必ずと言っていいほど、エルギンに立ち寄ってご機嫌伺いに来る。
「しかしなあ、ナイジェル一人ではどうにもなるまい」
納得がいかないようでバスターは渋った。ナイジェルに思い止まって欲しいのだろう。
「はい、……それで閣下にお願いがあります」
ナイジェルの表情に思わず笑みがこぼれた。
緊張しているのか顔色はいつも以上に白くどこか縋る様な眼差しだった。
「儂が出来ることであればな」
初めて甥に頼られることがその甥を手放す手伝いとはなと少しだけ悲しく思いながら、ナイジェルの頼み事に耳を傾けた。
各大隊の中隊長以上の者が広間に集められた。
上座に当たる場所を開けて、円を描くように九人の大隊長が座り、その後ろに配下の中隊長たちが座る。
ナイジェルのことは知れ渡っているので、第三大隊の者に問い質そうとした者もいたが、睨み付けられて終わっている。
不自然な沈黙が続く中、ナイジェルがグラントとベルナルドら近衛兵を引き連れて広間に入ってきた。
話は聞いていたが、ナイジェルの姿を見てほうと感嘆するようなどよめきが起きる。
ナイジェルは少し戸惑ったような表情を浮かべたが、空いている場所に座るとグラントを紹介した。
「本来なら先にエルギンを離れる挨拶するべきなのでしょうが、王太子殿下に新設される近衛大隊の長に任命されました。皆に迷惑をかけることお詫びします」
そう言って、ナイジェルは丁寧に頭を下げた。
ナイジェルが頭を下げたことにひどく不満そうにアントンが口を挟んできた。
「近衛大隊の長たる貴方が頭を下げられては、近衛大隊の権威が損なわれます。そのような真似はやめて頂きたい」
「権威?」
ナイジェルは頭を上げると発言したアントンの顔を見た。
恐ろしいほどに冷ややかな響きをもった口調にグラントとベルナルドが驚いたようにナイジェルを見た。
アントンはナイジェルの冷たい眼差しに怯みながらも胸を張り、大きく頷く。
「左様でございます。エルギンのような田舎にいたからわからないかもしれませんが、近衛大隊は名誉ある」
「部隊長が御前会議に呼ばれなくなって久しいと言うのに権威とはな。そんなものがあるのならば、お前の言うエルギンの田舎から俺が呼ばれることなどない。余計な口を聞いて話を中断させたいだけならば下がっていろ」
「わ、私は護衛としての任務がございます」
「俺に護衛が必要だったとは思わなかったな。他の近衛大隊からの監視かと思っていた。下がっていろ」
顔を紅潮させてなにか口の中で呟いていたが、大隊長たちからも冷ややかな視線を浴びせられ、下がって行った。
「話を中断させて済まない」
「ナイジェル……殿も大変ですな」
最年長の第四大隊の大隊長カーディル・クシチュが苦笑いを浮かべて慰めてきた。大隊長と言いかけたのが分かりナイジェルも苦笑する。
改めてナイジェルが近衛大隊の部隊長になった経緯をグラントと補足しながら説明をする。
流石にシンと静まり返ってしまった。
「なるほど、田舎者と嘲られているだけかと思っていましたが、危険視されるとは知りませなんだ」
カーディルは白髪交じりの顎鬚を撫でながら嘆息する。
「しかし、エルギンとて人材が有り余っているわけではない。ナイジェル殿が抜けるだけでも打撃は大きいのに兵力を裂けとは」
唸るように難色を示したのは第五大隊の大隊長フローレンツ・ジークフェルドで他の者も同様なのだろう、また沈黙が落ちる。
「仕方ありますまい。王太子殿下の命もありますが、これまでナイジェル殿には返しきれないほどの恩がありますからな」
「そのようなものがありましたか?」
ナイジェルが不思議そうに首を傾げるとカーディルは苦笑する。
「戦場では何度も命を救われてますからな」
「それはお互い様でしょう」
生真面目に返すナイジェルに何とも言えない眼差しでナイジェルを見る。
他の大隊長たちも似たような表情だ。
「ナイジェル大隊長」
今まで黙って聞いていたカールーンが手を上げて発言した。
「第三大隊はどうするおつもりですか?」
「俺としてはカールーンを次の大隊長に副官にはスライを推薦したい。近衛大隊に移っても良いという者を連れて行きたいが」
ナイジェルの答えにカールーンは仕方がなさそうに頷き、スライは納得し兼ねる様子だった。
他の大隊長たちはそれが順当だなと承認する様子だ。
「ナイジェル殿、特に連れて行きたい者はいるのですかな?」
第十大隊の大隊長エリングウッドが聞いた。
「出来れば、バハディル中隊長を連れて行きたいのですが」
「お、俺ですか?」
いきなり名指しで呼ばれてバハディルが驚愕していた。
ナイジェルがバハディルの名前を出した瞬間、スィムナールは信じられないものを見るようにナイジェルを見た後俯いて肩を震わせていた。
無表情で話を聞いていたジハンギルは眉を寄せただけですぐにまた元の無表情に戻り、ブレンドンは盛大に顔を顰めたが、俯いたままのスィムナールの方を心配そうに見ていた。
「ええ、バハディル中隊長は王都に詳しく、情報にも長けていますから」
「ま、まあ、ナイジェル大隊長がそうおっしゃるなら考えなくもありませんな」
顰めつらしく言ってはいるが口元が緩んでいる。
バハディルはちらりと自分が所属する第七大隊の大隊長ラージクを見るが、ラージクは苦笑しながら、
「本人が行きたいと言うならば、止めはしませんよ。元からバハディル中隊長は第三大隊所属のようなものですからな」
「――有難うございます」
ナイジェルはラージクの言葉に当惑したように首を傾げたが、礼を言った。
「では、隊の者に話をしましょう。ですが、無理には近衛大隊に兵力を融通することは出来かねますので、そこは了承して頂きたい」
「それは無論、分かっております」
話が終わり、立ち上がったナイジェルの姿をカーディルが眩しそうにしみじみと眺める。
「ナイジェル殿、貴方は白がよくお似合いですな」
どう答えたものか逡巡するナイジェルにカーディルは穏やかな笑顔を浮かべる。
「しかし、我らは貴方は同じ礼装でも青の方が似合うと思っておりました」
じっとナイジェルの表情を探るように語る年長の同僚に驚いたように目を見張ると
「ご期待にそえず、申し訳ない」
笑みを浮かべるナイジェルの顔には後悔の影はない。
広間から出て行くナイジェルを無言のまま見送り、カーディルは苦い溜息をついた。
「我らは未来の辺境伯を失ったようだな」
無言のまま他の大隊長たちも頷く。
いきなりスィムナールは立ち上がるとナイジェルの後を追うように広間を出て行く。
ブレンドンとジハンギルもそれに続く。
その様子を大隊長たちは苦い表情で見ていた。
「どれだけの兵力を持っていかれるか、少々心配ですな」
乾いた笑いを浮かべたのはナイジェルに次いで若い第九大隊の大隊長サーディーだった。
「……第三大隊をそのまま持っていかれるよりましだろう」
カーディルは苦笑しながら、カールーンの方を見る。
カールーンは腕を組んだまま、目を瞑っている。その後ろにいるスライも沈んだ表情だった。
カールーンとスライを残したのは、ナイジェルの配慮だろう。
第三大隊はオグズ族出身の者が多く、カールーンは族長の家系で一族の有力者でもある。
スライもエルギンに定住化した遊牧民の部族出身で部族間のつながりは今も深く、部族内の実力者だ。
彼ら二人がナイジェルに付いて行けば、櫛の歯が欠けるように手練れの騎兵が抜けることになっただろう。
ナイジェルは私室に戻って、私物の整理をしていた。ベルナルドもナイジェルにしきりに話しかけながら手伝っていた。
「大隊長と言っても割と質素なんですね」
「近衛大隊は違うのか」
「ええ、それはもう派手な生活をされてますねえ。色々と実入りがありますから」
「なるほどな」
ベルナルドに背中を向けたまま、書類を束ねているとベルナルドが咳払いをして注意を引く。
「なんだ?」
「あのう、俺はどうなるのですかね?」
「どうなるとは?」
「この護衛の仕事が終わったら、その……所属が変わるのでしょうか?」
珍しく躊躇しながら聞いている様子だった。
ナイジェルは微笑を浮かべる。
「それはお前の実力次第だな。それにお前の上官の許可がなければ変わることはないだろう」
「実力ね。それは貴方に示せればよろしいのですか」
「そうだな」
ベルナルドはすっと笑顔を消すとカラベラを引き抜き、ナイジェルに斬りつけた。
一連の動きは流れるようで無駄がなかったが、鈍い金属音と火花が散ってナイジェルが逆手で引き抜いた剣に受け止められた。
手にしていた書類の束が、床に散らばる。
ベルナルドは片腕で受け止められたことに驚愕の表情を浮かべたが、続けざまに打ち込む。ナイジェルに双剣を使わせないためだが、数合交えるうちに形勢は逆転する。
背筋が凍るような悪寒が走った瞬間、ベルナルドは後ろに大きく飛び離れた。
ベルナルドの首があった位置を正確にナイジェルの剣が薙いで行った。
ベルナルドはカラベラを構えたまま、何度も大きく息を吸い込む。痛いくらいに心臓が脈を打っていて、額からは汗が流れ落ちた。
ナイジェルは双剣を抜いたまま、無表情で立っていた。
表情が伺えない瞳に戦慄した。
「……貴様、誰に剣を向けている」
押し殺した怒りを込めた声がベルナルドの背後から聞こえた。
部屋に入ってきたスィムナールがベルナルドの背中に剣を突き付けた。
ベルナルドは黙って両手を上げる。
「スィムナール、剣を下ろせ」
「……しかし」
「いいんだ」
「……はい」
ベルナルドはホッとして額から流れる汗を拭った。正直スィムナールに救われた形だ。
「ベルナルド」
ナイジェルに呼ばれて姿勢を正す。
「はい」
「首の怪我を治療してもらえ」
慌てて首元に手をやると詰襟の部分が切り裂かれ、首に赤い線が走っていた。
完全に避けたと思っていたが、甘かったようだ。
頭を下げて、出て行こうとするベルナルドを呼び止めた。
「お前の所属はどこだ」
「左翼の第一部隊です」
「向こうの上官次第だが、移れるように話をしよう」
悄然と項垂れていたベルナルドは顔を上げ、これ以上ないほど嬉しそうな笑みを浮かべる。
「大丈夫ですよ、俺は無能な人間だと思われてますので」
ナイジェルは眉を顰める。
「情けないことを胸を張って言うな」
「そうですかねえ。貴方も近衛大隊に係わっていくので、直に分かりますよ。グラント様が小隊長のままなのが良い例ですよ」
首を竦めて、どこか遣り切れない燻りがその笑顔を浮かべた顔を暗くさせたが、すぐにいつもの気の抜けた笑顔に変えるとナイジェルの部屋から出て行った。
ナイジェルは溜息をつくと散らばった書類を拾い始めた。
スィムナールたちは部屋に入って来て、無言でそれを手伝った。
「貴方がここに来てもう十二年経ちますね」
突然スィムナールがそんな風に言いだしたことに驚いてナイジェルは顔を上げた。
「長いようで、短い月日でした。貴方を上官として仰げて良かった。王都に行かれてもお元気で」
笑顔で右手を差し出してくるスィムナールにナイジェルは茫然として差し出された右手を見つめていた。
「……そうか」
暫く無言で立ち尽くしていたが、そう口の中で呟くと笑みを浮かべスィムナールの手を取った。
「今まで世話になった。感謝する」
礼を言うとスィムナールの手を握ったまま俯く。
「ナイジェル大隊長?」
いつまでも顔を上げないナイジェルを不審そうにスィムナールが声を掛ける。
「俺は――」
ナイジェルの声は震えていた。
「お前たちは黙っていてもついて来てくれるものだと思っていた」
その言葉を聞いた途端、スィムナールは顔を歪めて横を向いた。
ジハンギルは大きく溜息をつくと
「ナイジェル大隊長、そういうことはちゃんと言ってもらわないと分からない。どんなに親しい仲でも言葉に出さなければ、伝わらないことは沢山ある」
無表情のまま文句を言ったが瞳の色は暖かかった。
「お前にだけは言われたくないだろうがな。まあ、そういうことです」
珍しく長々と喋る僚友に苦笑しながら、ブレンドンは彼には珍しく優しい表情でナイジェルに笑いかけた。
ようやくナイジェルが顔を上げた。
涙の膜を張った瞳は翡翠色に揺らめいていた。
「そうだな、済まない。王都に付いて来てほしい。苦労を掛けると思うが、新しい部隊を作るのを手伝ってくれ」
「無論、喜んで行こう」
「右に同じく」
顔を背けたまま、スィムナールも頷いた。
「ナイジェル大隊長は割と面倒事を引き起こすから、心配ですしね」
笑いながらこちらを向いたが、瞳は涙に濡れていた。
「俺はそんなに迷惑をかけていたか?」
納得出来ないようで眉を寄せ、首を捻るナイジェルに対して
『ええ、かなり』
と三人共に声が重なり、ムッとした表情になるナイジェルを見て同時に吹き出した。
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