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幕間
殺し文句 後編
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「姉様、この間ダリラ姉様の安産を願ってお参りに言ってきたの。とても御利益がある聖廟と評判なの。そこでね、…子宝のお守りの帯も売っていたから姉様の分もと思って」
そう言って、ラービアは紅い絹地に細かな刺繍の施された帯を渡す。
震える手で受け取ったアナイリンは膝の上に置いてぎゅっと握りしめていた。
「……ありがとう、ラービア」
青白い顔のまま俯く娘を慰めるようにオファイラは背中をさする。
傍にいたアイーシャはアナイリンの手を握る。
「今度私たちもお参りに行きましょう、アナイリン。出かけると少し気分も変わって良いでしょう」
「は…い、アイーシャ様」
ポロリとアナイリンの瞳から真珠のような涙が零れた。
「わたくしもちょっと出かけてみたいのよ。珍しい食べ物とか食べられるかしらね? 楽しみだわ」
暖かい笑顔で言うアイーシャにほんの少し笑顔になる。
そこに小間使いの老女が入ってきた。おろおろと狼狽えている。
「あ、あの、ライギット辺境伯様の叔母様と名乗る方がお出でなのですが」
ほとんど半泣きになりながら頭を下げる。
「……アデラ様ですか」
心底困ったようにオファイラが言う。
アイーシャが溜息をついた。
「仕方ありませんね、お通ししなさい。アナイリン、貴方は下がっていていいのよ」
「いえ……、大丈夫です」
強張った顔のまま言うアナイリンに心配そうに眉を寄せるが、すぐに小間使いを突き飛ばすような勢いでアデラが入ってきた。他に二人の女性を連れていた。
「はじめまして、オスウィンの叔母でアデラと言いますの、アイーシャ様」
「良くいらしてくださいました、アデラ様。ライギット辺境伯様には主人も息子もお世話になっております」
「まあ、ほほほ。ところでアナイリンそれは子宝のお守りね」
アデラはアナイリンの持っている物を見咎めて問いただす。
「……はい、ラービアがくれたものです」
「あら、まあ。身籠りましたの?」
「いえ、まだです」
悲しそうに俯くアナイリンに嫌な笑顔になると
「お可哀想ですわね、ナイジェル様も。もう二年になるのでしょう、お子様をまだ授からないなんて」
「アデラ様! いくらなんでもそんな言い方は」
アナイリンは一気に血の気が引き、今にも倒れそうな顔色になった。
「そうそれでね。こちらの御令嬢をナイジェル様のご紹介しようと思ったのよ。マージョリー・カトラル様とおっしゃるの。お隣はお母様のソフィア様。御祖父様は元老のコンラッド・カトラル様よ。美しい上にとても聡いお嬢様なのよ、血筋から見てもナイジェル様にお似合いですわ」
「まあ、そんな小母様。褒めすぎですわ。初めまして、アナイリン様。とてもお綺麗な方で吃驚いたしました。わたくし、ナイジェル様に気に言って頂けるか、不安ですわ」
「大丈夫よマージョリー。貴方ならナイジェル様もきっと気に入るわ」
マージョリーは淡い金髪に薄い水色の瞳の美少女だった。謙遜しながらも、アナイリンを見る目は酷く見下したものだった。
「そのようなことは夫を通して頂けますか、アデラ様」
アイーシャは不快そうにアデラを睨んだ。
「そうおっしゃいますが、エルギン辺境伯様はお忙しいでしょう。こういう事は当人同士気に入れば、まとまるのも早いと申しますでしょう?」
そこに家令頭のアントンがやってきた。
「奥様、若奥様、ナイジェル様がお戻りです」
こんな時にとアイーシャは唇を噛み締めた。アナイリンはとっさに手にしていたお守りの帯を背中に隠した。
そのアナイリンの行動を見ていたアデラは、皮肉な笑みを浮かべる。
「あらあら、旦那様にはお見せしないの、アナイリン? 確かにそんなものを見せられては殿方はとても不愉快になるでしょうね」
「アデラ様!」
オファイラは悲鳴のような声をあげた。
ラービアは顔色を蒼褪めさせ、アナイリンは息苦しいのか胸を抑え、床に手をついた。
「ご、ごめんなさい姉様」
「いい…の、気にしないで」
弱々しく笑みを浮かべようとしたが、泣きそうな顔になった。
廊下をこちらに向かって歩いてくる複数の足音が部屋の前で止まり、ナイジェルがベルナルドを伴って現れた。
「養母上、只今戻りました」
笑みを浮かべて答えるナイジェルはその場に光が差したように見えた。
アデラたちはその姿に茫然と見惚れていた。
「お帰りなさい、ナイジェル。出迎えできずごめんなさいね」
「それは構いませんが。アナイリン、具合でも悪いのか?」
顔色の悪いアナイリンを心配そうに見る。
「いえ、大丈夫ですナイジェル様」
必死に表情を取り繕う。
それを訝しげに見るが横から声を掛けられ、そちらに気を取られた。
「ナイジェル様、はじめてお目にかかりますわ。オスウィン・ハッファードの叔母に当たりますアデラと申しますの。今日はナイジェル様にお話がありまして、参りました」
「ああ、ハッファード候の。義父にはいつも世話になっています」
笑顔で応え、アントンが整えた席に座る。そんな一つ一つの動作も流麗で美しい。
マージョリーはほうと溜息をついて、うっとりとナイジェルを見つめた。
それに気付いたのか、マージョリーを流し見て、苦笑を浮かべる。
マージョリーはナイジェルと視線が合うと頬を赤く染めた。
横から見ていたベルナルドは複雑な表情になった。
分かってはいたが、とんでもない女ったらしだ。まったく意図ぜず行っているところが更に性質が悪い。
それを見ていたアイーシャたちの顔色がどんどん悪くなっていくのも気になった。
「それで、お話とは?」
「ここにいるマージョリーをご紹介しようと思いまして、参りましたの」
「はあ」
「マージョリーは元老のコンラッド・カトラル様の孫にあたります。この通りとても美しく賢いお嬢様なのですわ。ナイジェル様ととても似合いの夫婦になると私思いますの」
流石にナイジェルでも意味が分かったのか、眉を顰める。
「俺にはアナイリンがいますので、申し訳ありませんが」
「お優しいのですね、ナイジェル様は。でもねえ、子を産めない石女をただ一人だけ妻にされていては、ガーランド家が絶えてしまうと皆心配しておりますのよ。甥のオスウィンが娘可愛さにナイジェル様に無体を強いていると噂にもなっておりますしねえ」
アデラの言葉にナイジェルは目を見開いた。
アナイリンは声を押し殺して泣き出していた。
「ベルナルド、本当か?」
呆然とした様子でベルナルドに問い質す。
ベルナルドは彼には珍しく苦い顔つきでアナイリン達から目を逸らすように頷く。
「……一部の心無い者たちですが、そのように噂する者がいます。部隊長ほどの方がアナイリン様只一人を大切にされているのが嫉妬されているのもあるでしょうね」
「そう…か」
そう言ったきり、ナイジェルは黙り込んでしまった。
窓の外に視線をやり、その白い端麗な顔には何の表情も浮かんでいない。アナイリンの啜り泣きだけが響いていた。
「そう言うことでねナイジェル様」
「アントン、この家の使用人をすべてここへ呼べ」
沈黙し続けるナイジェルに焦れたように話しかけたアデラを無視してアントンに指示する。
「は、あの?」
もの慣れた家令頭が、突然のことに当惑したようで有るまじきことに主の言を聞き返す。
「……聞えなかったか、全員ここへ呼べといった!」
「も、申し訳ございません!」
声を荒げたことすらなかったナイジェルの怒号に顔色を失い、転がるように部屋から飛び出していった。
ベルナルドもアイーシャたちも蒼褪めさせていた。
幾らもたたずに、ガーランド家に仕える十数人ほどの使用人たちが集められた。
事情も知らずにここに来たようで困惑したような表情だったが、普段温和なナイジェルの恐ろしいほどの怒りのこもった無表情に震えあがっていた。
頭にファルハードを載せたモラーヴィも怯えたように使用人たちの後ろにちょこんと座っている。
「俺の妻や義父を侮辱した噂をアナイリンの耳に入れたのはお前たちか?」
モラーヴィに視線を当て、聞く者を凍り付かせるような温度のない声で問い質す。
「ナ、ナイジェル様、う、噂は知っておりましたが、アナイリン様のお耳に入れるような真似はしておりません!」
「アナイリン様がお子ができないことでお悩みなのは、皆知っておりました。決して、決して御心を煩わせるようなことは!」
それぞれ必死で抗弁するさまを見て、僅かに表情を緩めたがまだ疑っているようだった。
「ナイジェル様、アナイリンにその噂を知らせたのはここの家の者ではありません」
蒼褪めた顔のままそう言ったのはオファイラだった。
厳しい視線で先を促すナイジェルに慄きながらも、経緯を語った。
「旦那様に、オスウィン様に配下の方が話しているのをアナイリンが偶然聞いてしまったのです。オスウィン様もアナイリンには話すつもりはなかったのですが。む、娘を傷つけたのは私です。もう少し私が気遣っていれ
ば……」
「そうですか、……お前たちを疑って済まなかった」
そう言って、ナイジェルは居並んだ使用人たちに頭を下げた。
「お、お顔を上げてください、ナイジェル様!」
「そうです!ナイジェル様が頭を下げられることなど」
「いや、何の罪もないお前たちを疑ったのだ。本当に済まない」
それぞれ顔を赤くして、狼狽える様子に顔を上げると微笑んだ。
皆一様にその表情に見惚れ、アントンでさえ、顔を紅潮させていた。
「仕事の途中で手を止めさせて、悪かったな。持ち場に戻ってくれ、この詫びは後で必ずする」
心配そうな様子で下がっていく使用人たちを見送り、下がったふりをして柱の影からこちらを覗くモラーヴィを睨み付けながら、ナイジェルは立ち上がった。
「アデラ様、お帰り願えますか」
「ええ? ですが」
「俺はアナイリン以外の妻を娶るつもりはありません。お帰り下さい」
「ナイジェル様、ガーランド家が絶えても構いませんの!」
ナイジェルはアデラを見据えると、ゆっくりと口角を上げ、笑みを作る。
横で見ていたベルナルドが総毛だった。アデラとマージョリーたちもガタガタと震えだした。
「……俺は戦場とローク陛下のご命令でなければ、女を斬るつもりはありませんが、それも時と場合によります。大切なアナイリンを傷つけるような輩は特にね。穏やかに話しているうちにさっさと出て行くがいい」
悲鳴を上げてアデラたちが部屋から出て行く。
「アントン、あいつらを二度とこの家の敷地内に入れるな、二度とだ!」
「はい! 承知いたしました、ナイジェル様」
床に頭を擦りつけるように下げるアントンを横目にアナイリンの前に座る。
優しく手を取ると名前を呼ぶ。
涙に濡れた顔をおずおずと上げるアナイリンを痛ましそうに見る。
何かを言いかけて、逡巡するナイジェルはアナイリンの後ろでくしゃくしゃになった守り帯を認める。
それに気がついたラービアが飛びついて体の下に隠した。
「違うのです、ナイジェル様! これは私が勝手に購ってきた物なのです! 姉様は関係ありません!」
「ラービア、いいのよ」
「ご、ごめんなさい、ナイジェル様を傷つける気は決して!」
ラービアが何に対して謝っているのか分からず、困惑するナイジェルにアイーシャがそっと子宝を願う守り帯だと教える。
ハッとして視線を下げるとアナイリンに苦しそうに聞く。
「……そんなに子供が欲しかったのか、アナイリン?」
俯いてまた泣きだすアナイリンに絞り出すように言う。
「すまない、アナイリン。俺はずっと……子供が出来ないことに安堵していたんだ」
驚いてアナイリンは顔を上げる。アイーシャもオファイラも茫然とナイジェルを見つめる。
「ナイジェル、何故そんな」
「……父親になることが怖かった」
息をするのも苦しいほどの重い空気が漂う。ベルナルドもアントンも事の成り行きに息を呑んで聞き入っていた。
「叔父に……ニール叔父上に言われたんだ。お前のその顔は姉を……俺の母親を穢した男の顔にそっくりに違いないと」
アイーシャは声にならない悲鳴を上げた。
「どうして今まで……だからあなたはこの家に近づかなくなったの?」
「この事を知れば、養父上と養母上を悲しませると思いました。それに……叔父に…押し倒されたこともありましたので。一度だけですが」
恐怖に顔を白くさせるアイーシャに少しだけ笑みを浮かべると
「兄弟子が……剣の兄弟子が助けてくれたので、最後まではされてませんので安心してください」
「ニールが、あの子があなたに嫉妬していたのは分かっていたの。赤ん坊の貴方に痣が出来るほどの怪我を何度も追わせていたことも。……だから、引き離せば大丈夫だと」
「俺を守ってくれていたんですね、ありがとうございます」
嬉しそうに笑うナイジェルにアイーシャは声を上げて泣き出してしまった。
「ナイジェル様」
涙で濡れた顔でこちらを見るアナイリンは先ほど違って、瞳に理知的な光があった。
「ずっと思っていたんです。もし私がナイジェル様のお母様だったら、本当に望まない相手だったら産んだだろうかって。何か理由があって、相手の方のお名前を言えなかったのではないでしょうか?」
「……そうね、セリーナは、ナイジェルの母親は産むことに何の躊躇もなかったわ。生まれてくることをとても、楽しみにしていたの」
「そう、ですか」
静かに涙を流すナイジェルにアイーシャは愛おしそうに背中を撫でた。
「奥方様と仲直りされたようでよろしゅうございましたなあ」
そうグラントが言うのをナイジェルは不思議そうに首を傾げている。
「何故わかるのだ?」
グラントはそれには答えず、少々品なく音を立てて従卒が淹れた茶を啜る。
ブレンドンは苦笑し、ジハンギルは無言で目を瞑り、バハディルとベルナルドは半笑いで視線を彷徨わせている。
ナイジェルの傾げた白い首筋に僅かに鬱血の痕が襟の端から覗いている。
時折幸せそうに微笑んでいる。
あれから、アナイリン対する噂話は非難するものは少し沈静化した。
代わりに親族によってナイジェルを他の娘と結婚させるために流産させられたと噂話が流れ出し、それが近衛大隊右翼の中隊長の母親だとまことしやかに言われていた。
今までの近衛大隊と違って、治安を安定させ、市民にも無体を働くことを止めさせたナイジェルは今までの武功による名声もあり、王都の市民に絶大な人気がある。
元から低かった右翼の世間の評価は地を這うものになった。
「一石二鳥ですね」
部下たちを使って、噂を流させたベルナルドは笑い、それを作戦立案したバハディルはにこりともせず頷く。
「何があったと聞いても……喋らないか」
ナイジェルが席を外した時、真顔でバハディルがベルナルドに問い質した。
「ええ、殺されても」
ヘラヘラと笑いながら、目だけは酷く鋭い。
「……部隊長は、貴方たちならもしかしたら話しても構わないと思うかもしれませんが」
「部隊長の評判に係わることか?」
ベルナルドは笑みを深めたまま黙っている。
「ならばいい、黙っていろ」
「承知しました」
お道化たように丁寧に頭を下げる。顔を上げるとふと真顔になる。
「……どんな手段を使ってでも殺してやりたいと思う人間ができましたよ。まあ、もう死んだ人間ですが」
「残念だったな」
ジハンギルが薄く笑う。
暫くして、席を外していたナイジェルが戻ってきた。
その身に纏う軍装は様変わりしている。
長衣は黒絹で金糸で縁取りされている。頭に巻く布も金糸で細かな刺繍が施された黒絹で金の飾り紐の先には翠玉の飾り玉が幾つも連なっている。
外套も黒色で襟元には王家の紋章である双頭竜の意匠の金細工の襟飾り。
ただ一人、軍総司令官のみが纏える軍装だった。
全員合わせたかのように両拳を床につけ頭を下げる。
「国王陛下より送られた衣装ですな」
「ああ、だが少し腕が上げづらいな。剣帯の位置もこれでは抜きづらい。手直ししてくれるか?」
後ろに付いて来ていた王家直属の仕立て職人を振り返って言う。
「……は、しかし、これは礼装でございまして」
「それは分かるが、俺はローク陛下の盾だからな。動けぬ盾など何の価値もない。手直ししてくれ」
「承知いたしました」
「無理を言って済まないな」
「いえ、職人としてナイジェル様にこのご衣裳を仕立てることが出来まして、光栄にございます」
ぼそぼそと無感情に言う職人に苦笑する。
感慨深げにナイジェルの姿をしみじみと見てたグラントが何かを思い出したように意味ありげに笑いながら、ナイジェルに語り掛ける。
「そうそう、ムスタム殿からナイジェル部隊長にくれぐれもお願いしたいと言っておりましたことがございます」
「ムスタムが? なんだろうか」
「ローク陛下と喧嘩は程々にして頂きたいと。陛下の機嫌が悪くなってほとほと侍従たちが困っておるそうです」
「……別にしたくてしているわけではないのだが」
眉間にしわを寄せ、こちらも不機嫌になる。
ロークもそうだが、ナイジェルも口が悪く、頑固なところがあるので、時々他愛もないことで口喧嘩となる。
不思議な関係だとグラントは思う。
主従という間柄にもかかわらず、口喧嘩をし、険悪になることはない。今までロークの不興を買った者は、法に裁かれることならともかく、処分はされぬものの再び御前に上がることはない。
ナイジェルだけは喧嘩をしても、暫くするとロークの方から呼び出されるのだ。
「この間の縁談はどうやってお断りされたのですかな?」
ナイジェルもそうだが、ガーランド家の現当主のバスターも王国に忠実な人物だ。ロークとしてもナイジェルの子に王家に仕えて欲しいのだろう。
ナイジェルが嫌だと言って、簡単に納得することだとも思えない。
それにもかかわらず、あっさりと受け入れている。
「ああ、たとえ私に子が出来ず、ガーランドの血が絶えることがあっても、私は生涯陛下のお側に侍り、命が尽きるその時まで陛下の盾となりましょう。それではいけませんか?と申し上げたのだ。不承不承だったが、納得して頂けた」
柔らかな笑みを浮かべ、そう言うナイジェルにグラントは本当に不承不承だったのだろうかと思う。
「……とんでもない殺し文句ですなあ」
そう評するグラントにそうか?とナイジェルは不思議そうに首を傾げている。
そんなナイジェルを見て、グラントは声を出さずに笑った。
そう言って、ラービアは紅い絹地に細かな刺繍の施された帯を渡す。
震える手で受け取ったアナイリンは膝の上に置いてぎゅっと握りしめていた。
「……ありがとう、ラービア」
青白い顔のまま俯く娘を慰めるようにオファイラは背中をさする。
傍にいたアイーシャはアナイリンの手を握る。
「今度私たちもお参りに行きましょう、アナイリン。出かけると少し気分も変わって良いでしょう」
「は…い、アイーシャ様」
ポロリとアナイリンの瞳から真珠のような涙が零れた。
「わたくしもちょっと出かけてみたいのよ。珍しい食べ物とか食べられるかしらね? 楽しみだわ」
暖かい笑顔で言うアイーシャにほんの少し笑顔になる。
そこに小間使いの老女が入ってきた。おろおろと狼狽えている。
「あ、あの、ライギット辺境伯様の叔母様と名乗る方がお出でなのですが」
ほとんど半泣きになりながら頭を下げる。
「……アデラ様ですか」
心底困ったようにオファイラが言う。
アイーシャが溜息をついた。
「仕方ありませんね、お通ししなさい。アナイリン、貴方は下がっていていいのよ」
「いえ……、大丈夫です」
強張った顔のまま言うアナイリンに心配そうに眉を寄せるが、すぐに小間使いを突き飛ばすような勢いでアデラが入ってきた。他に二人の女性を連れていた。
「はじめまして、オスウィンの叔母でアデラと言いますの、アイーシャ様」
「良くいらしてくださいました、アデラ様。ライギット辺境伯様には主人も息子もお世話になっております」
「まあ、ほほほ。ところでアナイリンそれは子宝のお守りね」
アデラはアナイリンの持っている物を見咎めて問いただす。
「……はい、ラービアがくれたものです」
「あら、まあ。身籠りましたの?」
「いえ、まだです」
悲しそうに俯くアナイリンに嫌な笑顔になると
「お可哀想ですわね、ナイジェル様も。もう二年になるのでしょう、お子様をまだ授からないなんて」
「アデラ様! いくらなんでもそんな言い方は」
アナイリンは一気に血の気が引き、今にも倒れそうな顔色になった。
「そうそれでね。こちらの御令嬢をナイジェル様のご紹介しようと思ったのよ。マージョリー・カトラル様とおっしゃるの。お隣はお母様のソフィア様。御祖父様は元老のコンラッド・カトラル様よ。美しい上にとても聡いお嬢様なのよ、血筋から見てもナイジェル様にお似合いですわ」
「まあ、そんな小母様。褒めすぎですわ。初めまして、アナイリン様。とてもお綺麗な方で吃驚いたしました。わたくし、ナイジェル様に気に言って頂けるか、不安ですわ」
「大丈夫よマージョリー。貴方ならナイジェル様もきっと気に入るわ」
マージョリーは淡い金髪に薄い水色の瞳の美少女だった。謙遜しながらも、アナイリンを見る目は酷く見下したものだった。
「そのようなことは夫を通して頂けますか、アデラ様」
アイーシャは不快そうにアデラを睨んだ。
「そうおっしゃいますが、エルギン辺境伯様はお忙しいでしょう。こういう事は当人同士気に入れば、まとまるのも早いと申しますでしょう?」
そこに家令頭のアントンがやってきた。
「奥様、若奥様、ナイジェル様がお戻りです」
こんな時にとアイーシャは唇を噛み締めた。アナイリンはとっさに手にしていたお守りの帯を背中に隠した。
そのアナイリンの行動を見ていたアデラは、皮肉な笑みを浮かべる。
「あらあら、旦那様にはお見せしないの、アナイリン? 確かにそんなものを見せられては殿方はとても不愉快になるでしょうね」
「アデラ様!」
オファイラは悲鳴のような声をあげた。
ラービアは顔色を蒼褪めさせ、アナイリンは息苦しいのか胸を抑え、床に手をついた。
「ご、ごめんなさい姉様」
「いい…の、気にしないで」
弱々しく笑みを浮かべようとしたが、泣きそうな顔になった。
廊下をこちらに向かって歩いてくる複数の足音が部屋の前で止まり、ナイジェルがベルナルドを伴って現れた。
「養母上、只今戻りました」
笑みを浮かべて答えるナイジェルはその場に光が差したように見えた。
アデラたちはその姿に茫然と見惚れていた。
「お帰りなさい、ナイジェル。出迎えできずごめんなさいね」
「それは構いませんが。アナイリン、具合でも悪いのか?」
顔色の悪いアナイリンを心配そうに見る。
「いえ、大丈夫ですナイジェル様」
必死に表情を取り繕う。
それを訝しげに見るが横から声を掛けられ、そちらに気を取られた。
「ナイジェル様、はじめてお目にかかりますわ。オスウィン・ハッファードの叔母に当たりますアデラと申しますの。今日はナイジェル様にお話がありまして、参りました」
「ああ、ハッファード候の。義父にはいつも世話になっています」
笑顔で応え、アントンが整えた席に座る。そんな一つ一つの動作も流麗で美しい。
マージョリーはほうと溜息をついて、うっとりとナイジェルを見つめた。
それに気付いたのか、マージョリーを流し見て、苦笑を浮かべる。
マージョリーはナイジェルと視線が合うと頬を赤く染めた。
横から見ていたベルナルドは複雑な表情になった。
分かってはいたが、とんでもない女ったらしだ。まったく意図ぜず行っているところが更に性質が悪い。
それを見ていたアイーシャたちの顔色がどんどん悪くなっていくのも気になった。
「それで、お話とは?」
「ここにいるマージョリーをご紹介しようと思いまして、参りましたの」
「はあ」
「マージョリーは元老のコンラッド・カトラル様の孫にあたります。この通りとても美しく賢いお嬢様なのですわ。ナイジェル様ととても似合いの夫婦になると私思いますの」
流石にナイジェルでも意味が分かったのか、眉を顰める。
「俺にはアナイリンがいますので、申し訳ありませんが」
「お優しいのですね、ナイジェル様は。でもねえ、子を産めない石女をただ一人だけ妻にされていては、ガーランド家が絶えてしまうと皆心配しておりますのよ。甥のオスウィンが娘可愛さにナイジェル様に無体を強いていると噂にもなっておりますしねえ」
アデラの言葉にナイジェルは目を見開いた。
アナイリンは声を押し殺して泣き出していた。
「ベルナルド、本当か?」
呆然とした様子でベルナルドに問い質す。
ベルナルドは彼には珍しく苦い顔つきでアナイリン達から目を逸らすように頷く。
「……一部の心無い者たちですが、そのように噂する者がいます。部隊長ほどの方がアナイリン様只一人を大切にされているのが嫉妬されているのもあるでしょうね」
「そう…か」
そう言ったきり、ナイジェルは黙り込んでしまった。
窓の外に視線をやり、その白い端麗な顔には何の表情も浮かんでいない。アナイリンの啜り泣きだけが響いていた。
「そう言うことでねナイジェル様」
「アントン、この家の使用人をすべてここへ呼べ」
沈黙し続けるナイジェルに焦れたように話しかけたアデラを無視してアントンに指示する。
「は、あの?」
もの慣れた家令頭が、突然のことに当惑したようで有るまじきことに主の言を聞き返す。
「……聞えなかったか、全員ここへ呼べといった!」
「も、申し訳ございません!」
声を荒げたことすらなかったナイジェルの怒号に顔色を失い、転がるように部屋から飛び出していった。
ベルナルドもアイーシャたちも蒼褪めさせていた。
幾らもたたずに、ガーランド家に仕える十数人ほどの使用人たちが集められた。
事情も知らずにここに来たようで困惑したような表情だったが、普段温和なナイジェルの恐ろしいほどの怒りのこもった無表情に震えあがっていた。
頭にファルハードを載せたモラーヴィも怯えたように使用人たちの後ろにちょこんと座っている。
「俺の妻や義父を侮辱した噂をアナイリンの耳に入れたのはお前たちか?」
モラーヴィに視線を当て、聞く者を凍り付かせるような温度のない声で問い質す。
「ナ、ナイジェル様、う、噂は知っておりましたが、アナイリン様のお耳に入れるような真似はしておりません!」
「アナイリン様がお子ができないことでお悩みなのは、皆知っておりました。決して、決して御心を煩わせるようなことは!」
それぞれ必死で抗弁するさまを見て、僅かに表情を緩めたがまだ疑っているようだった。
「ナイジェル様、アナイリンにその噂を知らせたのはここの家の者ではありません」
蒼褪めた顔のままそう言ったのはオファイラだった。
厳しい視線で先を促すナイジェルに慄きながらも、経緯を語った。
「旦那様に、オスウィン様に配下の方が話しているのをアナイリンが偶然聞いてしまったのです。オスウィン様もアナイリンには話すつもりはなかったのですが。む、娘を傷つけたのは私です。もう少し私が気遣っていれ
ば……」
「そうですか、……お前たちを疑って済まなかった」
そう言って、ナイジェルは居並んだ使用人たちに頭を下げた。
「お、お顔を上げてください、ナイジェル様!」
「そうです!ナイジェル様が頭を下げられることなど」
「いや、何の罪もないお前たちを疑ったのだ。本当に済まない」
それぞれ顔を赤くして、狼狽える様子に顔を上げると微笑んだ。
皆一様にその表情に見惚れ、アントンでさえ、顔を紅潮させていた。
「仕事の途中で手を止めさせて、悪かったな。持ち場に戻ってくれ、この詫びは後で必ずする」
心配そうな様子で下がっていく使用人たちを見送り、下がったふりをして柱の影からこちらを覗くモラーヴィを睨み付けながら、ナイジェルは立ち上がった。
「アデラ様、お帰り願えますか」
「ええ? ですが」
「俺はアナイリン以外の妻を娶るつもりはありません。お帰り下さい」
「ナイジェル様、ガーランド家が絶えても構いませんの!」
ナイジェルはアデラを見据えると、ゆっくりと口角を上げ、笑みを作る。
横で見ていたベルナルドが総毛だった。アデラとマージョリーたちもガタガタと震えだした。
「……俺は戦場とローク陛下のご命令でなければ、女を斬るつもりはありませんが、それも時と場合によります。大切なアナイリンを傷つけるような輩は特にね。穏やかに話しているうちにさっさと出て行くがいい」
悲鳴を上げてアデラたちが部屋から出て行く。
「アントン、あいつらを二度とこの家の敷地内に入れるな、二度とだ!」
「はい! 承知いたしました、ナイジェル様」
床に頭を擦りつけるように下げるアントンを横目にアナイリンの前に座る。
優しく手を取ると名前を呼ぶ。
涙に濡れた顔をおずおずと上げるアナイリンを痛ましそうに見る。
何かを言いかけて、逡巡するナイジェルはアナイリンの後ろでくしゃくしゃになった守り帯を認める。
それに気がついたラービアが飛びついて体の下に隠した。
「違うのです、ナイジェル様! これは私が勝手に購ってきた物なのです! 姉様は関係ありません!」
「ラービア、いいのよ」
「ご、ごめんなさい、ナイジェル様を傷つける気は決して!」
ラービアが何に対して謝っているのか分からず、困惑するナイジェルにアイーシャがそっと子宝を願う守り帯だと教える。
ハッとして視線を下げるとアナイリンに苦しそうに聞く。
「……そんなに子供が欲しかったのか、アナイリン?」
俯いてまた泣きだすアナイリンに絞り出すように言う。
「すまない、アナイリン。俺はずっと……子供が出来ないことに安堵していたんだ」
驚いてアナイリンは顔を上げる。アイーシャもオファイラも茫然とナイジェルを見つめる。
「ナイジェル、何故そんな」
「……父親になることが怖かった」
息をするのも苦しいほどの重い空気が漂う。ベルナルドもアントンも事の成り行きに息を呑んで聞き入っていた。
「叔父に……ニール叔父上に言われたんだ。お前のその顔は姉を……俺の母親を穢した男の顔にそっくりに違いないと」
アイーシャは声にならない悲鳴を上げた。
「どうして今まで……だからあなたはこの家に近づかなくなったの?」
「この事を知れば、養父上と養母上を悲しませると思いました。それに……叔父に…押し倒されたこともありましたので。一度だけですが」
恐怖に顔を白くさせるアイーシャに少しだけ笑みを浮かべると
「兄弟子が……剣の兄弟子が助けてくれたので、最後まではされてませんので安心してください」
「ニールが、あの子があなたに嫉妬していたのは分かっていたの。赤ん坊の貴方に痣が出来るほどの怪我を何度も追わせていたことも。……だから、引き離せば大丈夫だと」
「俺を守ってくれていたんですね、ありがとうございます」
嬉しそうに笑うナイジェルにアイーシャは声を上げて泣き出してしまった。
「ナイジェル様」
涙で濡れた顔でこちらを見るアナイリンは先ほど違って、瞳に理知的な光があった。
「ずっと思っていたんです。もし私がナイジェル様のお母様だったら、本当に望まない相手だったら産んだだろうかって。何か理由があって、相手の方のお名前を言えなかったのではないでしょうか?」
「……そうね、セリーナは、ナイジェルの母親は産むことに何の躊躇もなかったわ。生まれてくることをとても、楽しみにしていたの」
「そう、ですか」
静かに涙を流すナイジェルにアイーシャは愛おしそうに背中を撫でた。
「奥方様と仲直りされたようでよろしゅうございましたなあ」
そうグラントが言うのをナイジェルは不思議そうに首を傾げている。
「何故わかるのだ?」
グラントはそれには答えず、少々品なく音を立てて従卒が淹れた茶を啜る。
ブレンドンは苦笑し、ジハンギルは無言で目を瞑り、バハディルとベルナルドは半笑いで視線を彷徨わせている。
ナイジェルの傾げた白い首筋に僅かに鬱血の痕が襟の端から覗いている。
時折幸せそうに微笑んでいる。
あれから、アナイリン対する噂話は非難するものは少し沈静化した。
代わりに親族によってナイジェルを他の娘と結婚させるために流産させられたと噂話が流れ出し、それが近衛大隊右翼の中隊長の母親だとまことしやかに言われていた。
今までの近衛大隊と違って、治安を安定させ、市民にも無体を働くことを止めさせたナイジェルは今までの武功による名声もあり、王都の市民に絶大な人気がある。
元から低かった右翼の世間の評価は地を這うものになった。
「一石二鳥ですね」
部下たちを使って、噂を流させたベルナルドは笑い、それを作戦立案したバハディルはにこりともせず頷く。
「何があったと聞いても……喋らないか」
ナイジェルが席を外した時、真顔でバハディルがベルナルドに問い質した。
「ええ、殺されても」
ヘラヘラと笑いながら、目だけは酷く鋭い。
「……部隊長は、貴方たちならもしかしたら話しても構わないと思うかもしれませんが」
「部隊長の評判に係わることか?」
ベルナルドは笑みを深めたまま黙っている。
「ならばいい、黙っていろ」
「承知しました」
お道化たように丁寧に頭を下げる。顔を上げるとふと真顔になる。
「……どんな手段を使ってでも殺してやりたいと思う人間ができましたよ。まあ、もう死んだ人間ですが」
「残念だったな」
ジハンギルが薄く笑う。
暫くして、席を外していたナイジェルが戻ってきた。
その身に纏う軍装は様変わりしている。
長衣は黒絹で金糸で縁取りされている。頭に巻く布も金糸で細かな刺繍が施された黒絹で金の飾り紐の先には翠玉の飾り玉が幾つも連なっている。
外套も黒色で襟元には王家の紋章である双頭竜の意匠の金細工の襟飾り。
ただ一人、軍総司令官のみが纏える軍装だった。
全員合わせたかのように両拳を床につけ頭を下げる。
「国王陛下より送られた衣装ですな」
「ああ、だが少し腕が上げづらいな。剣帯の位置もこれでは抜きづらい。手直ししてくれるか?」
後ろに付いて来ていた王家直属の仕立て職人を振り返って言う。
「……は、しかし、これは礼装でございまして」
「それは分かるが、俺はローク陛下の盾だからな。動けぬ盾など何の価値もない。手直ししてくれ」
「承知いたしました」
「無理を言って済まないな」
「いえ、職人としてナイジェル様にこのご衣裳を仕立てることが出来まして、光栄にございます」
ぼそぼそと無感情に言う職人に苦笑する。
感慨深げにナイジェルの姿をしみじみと見てたグラントが何かを思い出したように意味ありげに笑いながら、ナイジェルに語り掛ける。
「そうそう、ムスタム殿からナイジェル部隊長にくれぐれもお願いしたいと言っておりましたことがございます」
「ムスタムが? なんだろうか」
「ローク陛下と喧嘩は程々にして頂きたいと。陛下の機嫌が悪くなってほとほと侍従たちが困っておるそうです」
「……別にしたくてしているわけではないのだが」
眉間にしわを寄せ、こちらも不機嫌になる。
ロークもそうだが、ナイジェルも口が悪く、頑固なところがあるので、時々他愛もないことで口喧嘩となる。
不思議な関係だとグラントは思う。
主従という間柄にもかかわらず、口喧嘩をし、険悪になることはない。今までロークの不興を買った者は、法に裁かれることならともかく、処分はされぬものの再び御前に上がることはない。
ナイジェルだけは喧嘩をしても、暫くするとロークの方から呼び出されるのだ。
「この間の縁談はどうやってお断りされたのですかな?」
ナイジェルもそうだが、ガーランド家の現当主のバスターも王国に忠実な人物だ。ロークとしてもナイジェルの子に王家に仕えて欲しいのだろう。
ナイジェルが嫌だと言って、簡単に納得することだとも思えない。
それにもかかわらず、あっさりと受け入れている。
「ああ、たとえ私に子が出来ず、ガーランドの血が絶えることがあっても、私は生涯陛下のお側に侍り、命が尽きるその時まで陛下の盾となりましょう。それではいけませんか?と申し上げたのだ。不承不承だったが、納得して頂けた」
柔らかな笑みを浮かべ、そう言うナイジェルにグラントは本当に不承不承だったのだろうかと思う。
「……とんでもない殺し文句ですなあ」
そう評するグラントにそうか?とナイジェルは不思議そうに首を傾げている。
そんなナイジェルを見て、グラントは声を出さずに笑った。
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