北国から異世界へこんにちわ

川で日向ぼっこ

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はじめましての、ものづくり

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「そう言えば、ユウって?」

泣き腫らした目をそのままに、心情は落ち着き疑問を口にする。

「唯一ギルドカード持ってるの。
今は出稼ぎに行ってて、明日には帰ってくると思う。」

ピアンが答えると、いっつも世話になってんだよーとキャメルがのんびりと言う。

「お世話に?」

「ユウは元から親とこっちで暮らしてたから家があるんだよ。居る時は良く家に入れて貰えるけど居ない時は借金取りが来たら危ないから中には入れないんだ。」

ウィンスが苦笑いすると、
ま、口は悪いけど良い奴だぜ。と付け足すラークは草の束を持ち、地面に敷いていく。
 藁《わら》だ。
藁ならあれが作れるなぁと考えていると
グゥとお腹が鳴る。

「ごめんね、今日木の実あんまり取れなかったから少ないけど。」

ピアンが取ってきたフルールと言う青い木の実は、ブドウの甘さと苺の酸っぱさを掛け合わせたよな味で美味しい。
そこではっと気付く。彼女等の食糧を減らしてしまって大丈夫だろうか?
恐る恐る顔をあげると、皆笑顔を返してくれる。

「ごめん・・・、これ。」

申し訳なくて麻袋からチョコレートを取り出すとそれぞれに配った。
不思議そうにまじまじ見ている。

「チョコレートだよ。食べ物。
その・・・最初に持ってないって言ったのは嘘なんだ。」

ごめん、と言う言葉を遮るように
うめえぇぇ!と言葉が飛び交う。
どうやら包みを自力で開けれた様だ。

「気にしないで。ありがとう。」

気遣い屋さんなのかウィンスはそっと背中を叩いてくれた。


 


彼等は普段、ユウと言う人物が居る時は仕事を貰ったり、家庭菜園のお手伝いで食べ物を貰っているようだ。

居ない時は、週に1度牛舎のお手伝いをするか、外に出て木の実等をとってくる。
モンスターが出る可能性があるので街のすぐ側までしか行けないようだが。
ギルドカードは無くても、街の人や、孤児院の子供は町民として登録はされているので門番に声を掛ければ出入りは自由らしい。

たまに拾う落し物や、スライムぐらいのモンスターなら倒せるのでその魔石を売ったり牛舎やユウのお手伝いでこつこつ稼いでいるようだ。

私も何か出来るだろうかと考え、ふと視界に入るものにピンとくる。

「ん?何してんだ?」

藁を纏めテーブルと言うものもないので床で交互に敷いて行く。

「籠《かご》を作ってみようかと思って。やって見る?」

北国で外に出られない間は何かと手芸をしていた。
更に家は農家なので藁は山ほどあり、小さい頃は編んでコースターや籠も母親と作っていた。 

編んでいくと横でラークがはしゃぎ声を挙げる。

「こう言うの、やった事ない?」

「孤児院では街からのお金で生活してたし、下の子の面倒見るのでそれどころじゃなかったよなー。」

何と手に職も持たず飛び出したのかと苦笑いした。
何とかなる、と言うのはわからないでもないが。

私を横目に見よう見まねで作業していた各々だが、
ラークは細かい作業が苦手なようで、
ウィンスは丁寧が故に遅く、ついていけなく諦めた。
ピアンはさすが女の子と言う出来で、
驚く事にのんびり屋に見えたキャメルが1番綺麗な籠を仕上げたのだった。

「これ・・・売れるんじゃないの?」

自分で作った分と合わせて3つ。
他の2人が投げ出した分も編みながら問う。

「結構いい感じに出来たよね!市場だとちょっと買い叩かれちゃうかもしれないけど銅貨6枚ちょっとで買ってくれるかな?」

「あれ?商業ギルドには売らないの?」

ピアンは商業ギルドは登録料高いから・・・と声を漏らすと、私はおずおずと手を挙げた。

「あの、私・・・持ってるけど・・・」



___________________


すっかり昼を過ぎてから、
大通りを掻い潜り商業ギルドの入口へやって来た。

朝まで気が進まなかった通りを歩けたのは2人が居たからかもしれない。


ラークは牛舎の手伝で藁を貰ってくると出掛け、
キャメルには行かなーいとのんびり拒否され残った2人が着いてきてくれた。

「アイーリ、ごめん、ここから先行ってもらっていいかな。」

僕らこんな格好だから、とウィンスとピアンはボロボロの服を指さす。
言葉に詰まり、何度も頷いて1人で扉をくぐった。


「すみません、物を売りたいのですが。」

「かしこまりました。こちら御記入お願いします。」

受付に売り物の品名を書いて現物と共に渡すと、査定時間なのか少し待つ。

「こちら4点が大銅貨1枚、こちらが少し荒い箇所がありますので銅貨6枚になります。
よろしければこちらにサインをお願いします」

無事に売れた事にほっとしてピアンが言っていたより高く売れたな、とサインし銅貨と領収書を貰って2人の元に戻った。

「大銅貨4枚と銅貨6枚だったよ!」

わぁ、と2人が色めき立つ。

「1人あたり銅貨9枚だね。これで晩御飯くらいは買えるかな?」

「えっ、作り方を教えて貰ったのにそんな・・・僕なんか途中までしか」

ウィンスの言葉を遮り手に硬貨を握らせる。

「皆で作ったんだよ。
ラークが最初に作った奴は雑すぎて安かったからラークだけ銅貨6枚だけどね。」


ウィンスは笑いを吹き出し、ニコニコとしたピアンからありがとう!と言われた。


ピアンと手を繋ぎ、ウィンスは横に並んで歩く。
元来た道を戻ろうと言う前に大通りの案内を頼んだ。
1人だと分からない事だらけで不安が付きまとうからだ。

大通りに並ぶ屋台を改めて見て、奇妙な食材ばかりが目に映る。
紫のトゲトゲとしたものまであってぎょっとしたり。
いい香りに顔を向けると、宿屋の娘が言っていたであろう屋台を見つけた。

食べたいのは山々だが1本大銅貨1枚するそれを彼等に買うのは、色々と遠慮されるかもしれないと断念し、食材を数点買う事にする。

と言っても調理器具等無いのですぐ食べれるパンやフルーツのみだが。

屋台の奥へと進んで行くと徐々にその数は減り、店が並んだ通りへと出ると道具屋で薬草が売れるやら
服屋で布が買えるやらと教えて貰う。

ふと、冷たい風が吹き抜けた。

「ねぇ、皆はあの路地で寝泊まりしてるんだよね?」

「そうだよ。」

ウィンスのその言葉に、私は思考を深く巡らせ、そして決心した。

どう生きていくのかを。






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