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第二章
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あたたかな日の光が、カーテンの隙間から差し込んで、ベッドの天蓋下までも届く。
「エスメ」
名を呼ばれて、エスメは目を覚ます。
いつものようにフレアが潜り込んできたかと思ったが、明らかにフレアとは違う大きな掌がエスメの頭を撫でていた。
「グレイ、様?」
目を開けると、じっと、こちらを見るグレイと目があった。
グレイは優しく目を細めてから、エスメの髪を指ですくう。そうして、朝日に透ける茶色い髪に、柔らかな口づけを与えてくれた。
「幸せだ」
「幸せなのですか?」
「これ以上なく」
(本当に? 私なんかと一緒になって、本当に幸せだって。この人は、本気で思っていらっしゃるの?)
王太子のままでいたら、いずれ王位を継ぐことができた。
それなのに、エスメの婿などで終わって、この人は良いのだろうか。
エスメの髪に口づけていたグレイは、そのまま今度は額や頬に口づけを降らせてくる。エスメは咄嗟に、両手でグレイの口を塞いだ。
「あ、あの。お止めになってください」
グレイは、きょとん、と切れ長の目を丸くしたあと、犬のように、エスメの掌を舐めた。
エスメが驚いて手を放したら、グレイは楽しそうに笑い声をあげた。
少年みたいに無邪気な笑顔を向けられて、心臓が、ぎゅう、となった。
それが恋に落ちた瞬間だったのだ、と。
のちのち、グレイと離れ離れになってから、エスメは気づくことになる。
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