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一章

注ぎこまれる熱※

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「悪い。待とうと思ったけど可愛すぎて無理」

 くったりと力の抜けた花耶の姿を目にした奥野は満足そうに微笑むと、軽々と花耶を抱きあげた。急な浮遊感に花耶の意識が戻って逃げだそうとしたが、それを予測していたのか、しっかり抱き抱えられて叶わなかった。

 隣室のベッドに下ろされて、奥野がしようとしている事をはっきり自覚した花耶が逃げようとするより早く、奥野に覆いかぶされてしまった。何とか逃れようと押し返そうとした手は奥野の手でベッドに縫い付けられてしまった。身動きが取れず戸惑いながら見上げると、花耶の動揺を感じ取った奥野は、花耶、好きだと色を含んだ優しい声色で繰り返し、なだめるよう優しく軽いキスを降らせた。
 そんな奥野に、花耶はこのまま見逃してくれないだろうかと淡い期待を抱いて見上げたが、そこにいたのは欲情を滾らせ雄の顔をしたまぎれもない大人の男で、花耶は自分の淡い期待が叶わない事を悟った。

「かちょ…、ま、待って…」
「無理。待てない。大丈夫だ、可愛い花耶に出来るだけ痛い思いはさせないから」
「そうじゃなくて…ちょ…っ…」
「ああ、もう、黙って」
「え…、ん、んんっ」

 花耶の制止する声を無視して、奥野は花耶の唇を噛みつくように奪った。その乱暴な様に花耶が怯むと、奥野は僅かに開いた隙間から強引に舌をねじ込んできた。だが、最初の強引さに反して奥野の舌は優しく逃げる花耶の舌にねっとりと絡みついて、愛撫するように吸い上げた。そうされるたびにゾクゾクする痺れのようなものを感じ、未知の感覚に恐怖を感じた。
 花耶が奥野の胸に手をついて身体を押し返そうとすると、キスはそのままで両手首を掴まれてそのまま頭上で奥野の左手に押さえつけられてしまった。両手で拘束から逃れようとしても、奥野は片手だけなのに花耶にはびくともしなかった。既に身体は奥野が覆いかぶさっていて、厚みのある体の奥野では、最初から花耶に勝ち目はなかった。
 何とか逃れようと身をよじる花耶を易々と封じ込めた奥野は、空いた右手で花耶が着ている自身のTシャツを捲り上げ、裾から手を入れて下着越しに花耶の胸をやわやわと揉み始めた。

(や、やだっ…)

 薄い下着越しでも奥野の手の熱や大きさ、少し硬い皮膚の感触まで伝わってきて、奥野の事を男なのだと強く意識してしまった。性的な事からひたすら逃げていた花耶に、大人の色気駄々洩れな奥野の存在は刺激が強すぎた。
 そうこうしている間に、奥野は下着の下に入り込んで、今度は花耶の胸を直接触り始めた。自分の身体を直接触られた花耶は恥ずかしさに気が遠くなりそうだった。何とか阻止しようとするが、両手を囚われていて成す術もない。
 羞恥に震えながら口と胸を嬲られているうちに、身体の中からこれまで感じた事のない痺れが生まれた。奥野の手が胸の頂を刺激する度、身体がぴくぴく反応してしまい、そんな反応をする自分が恥ずかしくて死にたくなった。濃厚なキスは酸欠もあって花耶の抵抗と思考を奪っていった。

「これ、もう脱ごうな」

 ようやく唇が解放されたと思ったら、奥野が両手の拘束を解き、花耶の背中に腕を入れて体を浮かせると、ブラと共に着ていたものをまとめて引っ張り上げて脱がしてしまった。息苦しさからぼうっとしていたところに急に肌をひんやりした空気にさらされた花耶は、慌てて両腕で胸を隠そうとしたが、寸でのところでまた腕を取られてしまった。

「やっ、やだ、見ないでください」
「なんで?こんなに綺麗なのに」
「綺麗なんかじゃないです。みっともないし…」
「そんな事ない、真っ白で綺麗な肌だ。胸も柔らかいのに張りがあって…とっても魅力的だ」

 うっとりとした表情で奥野にそう言われて、花耶は恥ずかしさで気が遠くなりそうだった。実を言えば花耶は巨乳と言われる部類に入るくらいには胸があったが、この胸はむしろコンプレックスだった。高校の頃から胸のせいでからかわれたり痴漢にあったりしていたので、むしろ大きな胸を嫌悪していた。大きくて重いし変な目で見られるし邪魔にもなる。会社では目立たない様に胸を小さく見せるブラや服装で誤魔化していたのだ。

「しかも…感度もいいなんて最高だ」
「んんっ」

 そう言って奥野は、やわやわと揉んでいた胸の頂を、指で挟んで捏ねるように刺激した。途端にまた甘い刺激が身体を伝わり、花耶の身体が跳ねた。

「やっ、やだ…」
「ああ、声も可愛いな」

 そう言われて花耶は、自分が出した声に改めて気が付いた。慌てて口を両手で覆ったが、だめだ、声我慢するな、と言われて外され、また頭上に捕らえられてしまった。自分の出した声が甘ったるくて恥ずかしく、自分のものではないみたいだ。そうしている間にも奥野は、空いた手と口で花耶の胸を味わうように愛撫してきて、花耶はまた声が出そうになり、必死で声を押し殺した。

 奥野の口は胸だけでなく、首や鎖骨、脇の下なども丹念に愛撫し、花耶が反応するところを見つけてはそこにたっぷり刺激を繰り返して快楽を教え込んでいった。真っ新な身体は乾いた砂のように奥野の与える快楽を素直に吸収していく。花耶は奥野の与える熱に身体を震わせながら、きつく目を瞑って必死に声を我慢していた。
 胸や鎖骨、項や耳、脇の下やおへそまで、散々奥野に嬲られていたが、その内奥野は花耶のショーツに手をかけて、そちらもあっという間に取り去ってしまった。遠慮のない動きで奥野の太くて骨ばった指が足の間に伸びる。

「え?あ、やだっ!」

 奥野の愛撫に否応なく翻弄されていた花耶は、自分でも触れる事のない場所を暴かれたのを感じて我に返った。まだ誰も受け入れた事のない小さな入り口は固く閉ざされていた。潤いが足りないのは、快楽よりも戸惑いの方が強い事を物語っていると察した奥野は、花耶の太ももに手を添えて割り開くと、控えめな茂みの奥に舌を這わせた。

「え?やっ、かちょ、何して…きた…ダメっ」

 そんなところを舐められるなんて想像もしていなかった花耶は、奥野を止めようと足をばたつかせて必死で抵抗した。自由になった両手で奥野の頭を押しやろうとするも、びくともしない。足を閉じようとしたが、奥野の身体が邪魔をしているうえ、太ももを太い腕でしっかりと戒められて動けなかった。花耶の身体で汚いところなんてない、と言い切ると、蜜を乞うようにねっとりと舌を這わせた。

「やっ、あ、や、やだ…っあ、や、ん…」

 奥野は舌で花芯を丹念に舐め上げ、さらにその上にある花芽をくにくにと円を描くように刺激した。花芽を始めて刺激された花耶は、その刺激の強さに声を抑える事が出来ず、子猫の様な声が無意識に上がった。ねっとりと秘所の入り口や花芽を厚みのある舌で舐め取られ、指で愛撫されているうちに、頑なだった花芯が潤い始めてきた。
 蜜の存在を確かめた奥野は、指を一本、花耶の密壺に慎重に埋め込んだ。まだ誰も迎え入れた事のない密壺は処女らしい固さで奥野の指すらも拒み、それはかえって奥野の中の雄を一際喜ばせた。その初々しさが奥野の劣情を煽っている事に花耶は気が付かない。誰にも許したことのない場所を暴かれ、次々に甘く痺れる感覚を身体に刻み付けられて、花耶はただただ受け止めるしか出来なかった。奥野は無垢な身体を傷つけないよう、細心の注意を払いながら、花耶の反応がいい場所を見つけては執拗にそこへの愛撫を繰りかえした。

「っあ、…やぁっ、だめっ」
「ん、ここか?ここがいい?」
「やだ、まっ…や、やぁ、だめっ…」

 ビクン、と花耶の身体がより一層跳ねた個所を、奥野は見逃すはずもなかった。花耶の反応を見ながらそこを繰り返し奥野に刺激されて、びくびくと花耶の身体が跳ねた。その素直な反応は奥野を喜ばせ、指の動きがより一層ねっとりと花耶のいいところを刺激した。

「やぁ…そこダメ…っ、あ、や、やだっ、こ、怖い…」
「怖くない。大丈夫だから」
「ぁ…、怖、っ、やぁ、やだあっ」
「ああ、ほら、俺につかまって」

 奥野は指で花耶の密壺への愛撫を続けながら、身体を移動させて花耶の耳に舌を這わした。奥野は花耶の腕を自分の背中に回させると、花耶は頼れるものを求めて素直に奥野に抱き着いた。奥野の指に反応した場所ばかりを刺激されて、自分の身体がどうなってしまうのかと恐怖を感じた。反応する自分の身体が酷く淫らで浅ましくさえ思えてしまい、その事に嫌悪すら感じるのに、身体は花耶の心を無視してびくびくと跳ね上がってしまう。いやいやと子供のように頭を振ると、奥野が再び花耶に深いキスをした。舌を絡め取られ、さらに密壺も責められて、脳が痺れるような快楽の中に戻される。泣きながら身を捩るも奥野の責めは止むどころか一層激しくなり、親指で密壺の上にある花芽まで同時に責め立てられた。

「あ、や、あっ、やああああっ」
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