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第1話 憧憬
約束 Episode:06
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◇Rufeir
国境を超えてすぐ、予定の駅であたしは降りた。
改札口を抜けて、あたりを見回す。
そして、見つけた。
「――兄さん!」
急いで走り寄る。
「お帰り、ルーフェイア」
兄さんはあたしと同じ髪で、瞳だけがちょっと薄い。それと、本当は従兄だ。
でも、そんなこととは関係なしに大好きだった。何でも知ってて、すごく頼りになって……。
「太刀はどうだった?」
「えっと、これ……」
急いで差し出す。
「すごくよく……出来てるの……」
「さて、本当かな」
「え……」
信じてもらえない。
「でも、試し切りさせてもらって……ちゃんと石、切れたから……」
「刃こぼれするぞ?」
「ご、ごめんなさい!」
言われてみれば、あたりまえだ。せっかく研ぎに出したのに……。
「ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
謝っても済まないけど、でもそれしか出来なくて、何度も謝る。
そんなあたしの頭を、不意に兄さんが撫でた。
「分かってるよ。お前の腕は、一流だからな」
「……♪」
褒めてもらった。
「さ、行くぞ」
「うん」
歩き出した兄さんの後ろを、ついていく。
あたしの面倒を見てくれるのは、いつも兄さんだった。
父さんと母さんも一緒にはいるけど、任務に出てたりどっかへ行ってしまったりで、顔を合わせることがちょっと少ない。
――なにより、変わってるし。
娘のあたしからみても、両親――特に母さん――は常識外れだった。
適当な言葉が見つからないけど、あれは絶対に「普通」っては言わないだろう。
兄さんが車を置いた場所は、少し距離があるみたいだった。駅前の広場を過ぎても、まだ着く気配がない。
「どこまで……行くの?」
「どこだろうな」
不安になるようなことを言われる。
「車、だよね……?」
「そんなこと言ってないぞ」
「え……」
まさかキャンプまで歩くことは、ないはずだけど……。
けど兄さんはそれ以上何にも言ってくれなくて、あたしは困惑したまま、あとをついて行くだけだった。
「ねぇ、兄さん、ほんとにどこまで……」
「日程が決まったぞ」
はっとする。
「いつ、なの?」
「五日後だ」
それで十分だった。
これでもう――遊びの時間は終わりだ。
「戻ったら、もう少し細かいことを詰めるからな」
「うん」
日暮れて闇に包まれ始めてるあたりが、また暗くなった気がした。
国境を超えてすぐ、予定の駅であたしは降りた。
改札口を抜けて、あたりを見回す。
そして、見つけた。
「――兄さん!」
急いで走り寄る。
「お帰り、ルーフェイア」
兄さんはあたしと同じ髪で、瞳だけがちょっと薄い。それと、本当は従兄だ。
でも、そんなこととは関係なしに大好きだった。何でも知ってて、すごく頼りになって……。
「太刀はどうだった?」
「えっと、これ……」
急いで差し出す。
「すごくよく……出来てるの……」
「さて、本当かな」
「え……」
信じてもらえない。
「でも、試し切りさせてもらって……ちゃんと石、切れたから……」
「刃こぼれするぞ?」
「ご、ごめんなさい!」
言われてみれば、あたりまえだ。せっかく研ぎに出したのに……。
「ごめんなさい、ごめんなさいっ!」
謝っても済まないけど、でもそれしか出来なくて、何度も謝る。
そんなあたしの頭を、不意に兄さんが撫でた。
「分かってるよ。お前の腕は、一流だからな」
「……♪」
褒めてもらった。
「さ、行くぞ」
「うん」
歩き出した兄さんの後ろを、ついていく。
あたしの面倒を見てくれるのは、いつも兄さんだった。
父さんと母さんも一緒にはいるけど、任務に出てたりどっかへ行ってしまったりで、顔を合わせることがちょっと少ない。
――なにより、変わってるし。
娘のあたしからみても、両親――特に母さん――は常識外れだった。
適当な言葉が見つからないけど、あれは絶対に「普通」っては言わないだろう。
兄さんが車を置いた場所は、少し距離があるみたいだった。駅前の広場を過ぎても、まだ着く気配がない。
「どこまで……行くの?」
「どこだろうな」
不安になるようなことを言われる。
「車、だよね……?」
「そんなこと言ってないぞ」
「え……」
まさかキャンプまで歩くことは、ないはずだけど……。
けど兄さんはそれ以上何にも言ってくれなくて、あたしは困惑したまま、あとをついて行くだけだった。
「ねぇ、兄さん、ほんとにどこまで……」
「日程が決まったぞ」
はっとする。
「いつ、なの?」
「五日後だ」
それで十分だった。
これでもう――遊びの時間は終わりだ。
「戻ったら、もう少し細かいことを詰めるからな」
「うん」
日暮れて闇に包まれ始めてるあたりが、また暗くなった気がした。
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