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第2話 抱えきれぬ想い

慟哭、そして哀悼 Episode:02

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「そしたらさ、今日はホントにやってみる? ルーフェイアももう、校内なら少しできると思うんだ」
「え、でも……」

 本当のことを言うとやってみたい。
 けど、怖かった。

 なにしろやっているのは、見つかったらタダじゃすまないものだ。
 だから失敗できない。
 でもあたしの腕じゃ、何かヘマをする可能性が高かった。

「あはは、ルーフェイアは慎重だねぇ」

 ロア先輩が明るく笑う。

「だいじょぶ、ボクが後ろついてって、フォローするからさ」
「あ、それなら……」

 気持ちを落ち着けて、教わったとおり始める。
 まず全体の構造を見て、どこが動いてるかをチェックして……。

「そうそう、そこ気をつけて。ほら、足跡残してるよ」
「え? あ!」

 通信網上に残る痕跡を消しながら、ひとつひとつ教わったとおりやっていく。

 ――あれ?

 気になるものを見つけて、もう一度画面を確認したけど、間違いなかった。

「あの、先輩、これ……」
「学院長の魔視鏡だね。この時間に動いてるなんて、珍しいや」

 先輩が言うには学院長、こういった新しい道具は苦手らしい。
 だから仕事をしている昼間はともかく、夜になると早々に止めてしまうんだそうだ。

「止め忘れかな? 見てみよっか」
「あ、はい……」

 ちょっとだけ気が咎めながらも、石の中の記録を覗いてみる。

「ガッコの資料ばっかだなぁ。たいした物ないね」

 なんだかほっとする。
 やっぱりこういうのには、あたしは向いてないのかもしれない。

「学院長も大変だね、こんなくだらないことまで訊かれるんだ。
 こんど会ったら、親切にしとこっか」

「ですね……」

 本当に細かい雑務から院の方針、果ては学院生が起こした不祥事の後始末まで、ありとあらゆることが山盛りだ。

「どうする? も少しやる?」
「え? あ、いえ、今日はもう……」

 なんだか疲れてしまって、これ以上続けられそうになかった。
 前線にいるほうがまだ楽だ。

「そだね、こういうの最初、すっごい疲れるし。
 ――あ、最後にこれだけ見てこっか」

 あたしの代わりに先輩が操作して、記録の一覧が現れる。

「これ……伝言書?」
「そそ。でもこっちも、たいしたもんないね」

 言いながら先輩が、一つの伝言に目を留める。

「これ、ルーフェイアのことだよね」
「え?」

 驚いて表題を見ると、たしかにあたしの転入に関することらしい。

「なんだろ~」

 興味津々という表情で、先輩が中身を開く。
 イヤな予感がした。

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