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第5話 表と裏

実力 Episode:05

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 あたしたちのチームは順調だった。

 もっともこれは、イマドの力が大きい。
 意外なことに彼、トラップや鍵の解除に相当長けていた。なにしろツールを使って、思考石を使ったものまで解錠するのだ。

 ――でも、どこで覚えたんだろう?

 ともかく守備側が仕掛けたトラップを次々とイマドが解除し、そこをあたしとタシュア先輩が突破する形で、かなりの短時間でそうとう奥まで来ていた。

「恐らくこの階段の上の部屋が、守備側の拠点でしょうね」
「はい」

 それにしてもこの先輩、できる。
 単に強いというのではなくて、戦闘のコツを飲み込んでいるというんだろうか? 
 一種あたしの動きに似ているものがあった。

「さて、今度はどう行きますかね……おや」
「なんだ、やっと雑魚でもきたのか?」

 奥から声と共に出てきたのは、知らない先輩だった。でも確か、ロア先輩たちより年上で、上級傭兵の資格を持ってた気がする。

「ほら、出てこいよ。隠れてたって何にもならねえぞ」

 なんだか挑発してるらしい。けど当のタシュア先輩は、完全に無視だ。
 そしてあたしたちに背を向けたまま、話しかけた。

「しかたありませんね。とりあえず私が彼をおびきだします。その間に、あなた方はあの下級生ニ人を切り抜けて、場所を確保していただけますか?」

「場所を確保するだけでいいんですね?」

 いちおう、確認する。

「それで構いません。ここの奥はおそらく本丸ですから、全員で行く方がいいでしょう。場所を確保して待機。命令です」
「了解」

 あたしとイマドの声が小さく重なる。

「では行きますか。あまり気は進みませんが」

 そういって廊下の陰から、タシュア先輩が出た。

「ほぉ、おまえか。まともに訓練に参加するなんざ、点でもヤバくなったのか? だいいち、いつもこそこそ逃げてくヤツが俺の相手しようなんざ、十年早ぇな」

「別に逃げた覚えなどありませんよ。レベルの低い方とは、付き合いたくないだけです」

 こんどはタシュア先輩が挑発する。
 でもこれ、ほんとに意識してやってるんだろうか?
 まさか、無意識に言ってるなんてことは……。

「フン、ホネなしの割には言うじゃねぇか。もっともお前じゃどうやったって、俺様の相手は役不足だがな」
「おやおや、自ら格下と認めるとは随分と殊勝な心構えですね。それに免じて見逃して差し上げましょうか?」

 まるで教官が生徒に指摘するような、ある意味馬鹿にしているようにも聞こえる口調。

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