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第6話 立ち上がる意思

意思 Episode:04

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 ◇Imad

 浜辺に、ルーフェイアのヤツが立ち尽くしてる。

「だいじょぶか?」
「……うん」

 だいじょぶなワケねぇのに、そんな答えが返ってきた。

 隣に俺が座ると、こいつも砂浜に腰を下ろす。
 昼下がりの空に、波の音が響いた。

「その、なんかワケわかんねーの、ずーっとなのか?」

 俺の問いに、ルーフェイアのヤツが泣きながらうなずいた。

「んじゃ、きっついよな……」

 タシュア先輩の言いたいことも、まぁ分かる。
 自分のことなんだから、泣いてねぇでなんとかしろ、ってんだろう。

 けど俺の見るかぎりルーフェイアのその「なんか」は、自力でどうなるようにも思えなかった。

 つか自力でどうにか出来るなら、ぜったいこいつはやってるわけで。
 それがただ泣いてんだから、散々試してダメだった、ってとこなんだろう。

 ――それをどうにかしろ、ってのもなぁ。

 先輩たち知らねーからしゃぁねぇけど、ずいぶんな言い草だ。

 ただ、なんか状態変えたほうがいいってのは、俺も賛成だった。
 このまんまの状態続けてたら、そのうちこいつ潰れるだろう。

 かといって、その「問題」は片付けようがないわけで……。

「どうして……あたし、なんだろう……」

 当たり前っちゃ当たり前の疑問を、ルーフェイアのヤツが口にする。

「もっと、向いてる人……ほかに……」

 どっか思いつめたふうの声に、俺は答えた。

「考えても、しゃーねぇんじゃねぇか?」
「え?」

 驚いたようすで、ルーフェイアのヤツが顔を上げる。俺の言葉が、かなり意外だったらしい。

「んー、なんてのかな。今ここで考えても、ぜったい理由とかわかんねぇし。だったら考えるだけ、無駄だろ」
「それは……そう、だけど……」

 口じゃそう言いながらもこいつ、どっか納得できねぇらしい。
 ただ俺的にはそろそろ、こういう表情じゃなくて、もっと楽しげにしてて欲しかった。

「俺がそーゆーの持ってるわけじゃねぇから、分かってねぇかもだけどさ。
 けどおまえ、とりあえず今ふつうにやれてるし。学院に来たから、当分は前線出ねぇで済むし。なら、今はそれでいいんじゃね?」

 ルーフェイアのヤツの、呆気に取られた顔。
 それからこいつが、ぽつりと言う。

「イマド……適当すぎ……」
「るっせ」

 思わず言い返すと、いつも通りこいつが謝った。

「え、あ、ごめん……えっと、そういう意味じゃ、なくて」

 慌てる様子が、見てて面白い。
 そんなルーフェイアに、俺は言った。
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