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第7話 力の行方

任務 Episode:05

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「ナティエスは?」

「あたしは、砥いどいたもの。でもいちおう、見といたほうがいいかな?」

 彼女も武器を取り出した。あまり見かけない、諸刃の小さな手のひらサイズの刃物だ。

 たしかあたしの太刀と同じで、東方でよく使われてたもので、苦無って言ったと思う。
 こういった隠密行動にはシーモアの武器と並んで、かなり有効だろう。

「ほんとは毒塗っとくんだけど、まだいいだろうし」

 ナティエスも見かけによらず凄いところがある。
 そういえば、彼女これで、スリの名人だとも聞いたし……。

 もしかして芸が無いの、あたしだけなんだろうか?

 ――ちょっと、ショックかも。

 なんとなく落ちこんでいると、エレニア先輩があたしたちに声をかけた。

「はいはい。じゃぁみんなここで武器の手入れをして、そのあと食事にしましょうね。――先輩、これでよろしいですか?」
「ああ、すまない」

 リーダーのシルファ先輩が短く答えて、夕方の行動が決まる。

「あ、じゃぁさ、みんなで食べにいこ? あたしね、いいお店知ってるから~♪」
「……ねぇミル、もしかしてあたしのお金、あてに……してる?」

 ミルのはしゃぎぶりにイヤなものを感じて、問いただしてみる。

「そりゃもちろん。だってルーフェイア、お金持ちじゃない♪ あたしたちが高級レストランでちょっと食べたって、どうってことないでしょ~」
「それは……そう、だけど……」

 けど、なんか毎回おごらされてる気がする。

「はいじゃぁきまり~♪ さ、どっこにしようかな~♪♪」

 当然だけど、ナティエスもシーモアも止めてくれない。それどころか彼女たち、一緒になって地図を見てる。

「エレニア先輩、止めてください!」
「あら、いいじゃない。どうせ学院からも経費が出るんだし。それに自由に外へ出られるの、きっと今日だけよ?」
「そういう問題じゃ……」

 確かに警護が始まれば、自由な時間なんて殆どなくなるけど、だからって……。

 それにいくら経費が出ると言ったって、そんな高いところで食べたら全額はムリだ。
 そのとき誰が差額を払うのか、あんまり考えたくなかった。

「――シルファ先輩!」

 最後の頼みの綱で、黒髪の先輩の方へ振り返る。

「私は、食べられればあとは、気にしないが」
「先輩……」

 結局その日は、許可がでたこともあって、町の下見と称してみんなで外へ食べに出た。
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