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第7話 力の行方
変化 Episode:03
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「でも……シエラの傭兵隊を気に入ったなら、その、いいんじゃ……ないですか?」
そう言ったらシルファ先輩、さっき殿下にしてた表情をあたしに向けた。何かまずかったらしい。
「えっと、あの……すみません」
慌てて謝ると、シルファ先輩が微笑んだ。
「いや、別にいいんだ。それにしても延長となると、だいぶ様子が変わってくるな」
「そうですね……」
建国祭の前までっていう話だから、その後のことはあたしたちは一切考えてない。
けどもし延長されるなら、スケジュールはもちろん警護のやり方も、かなり変わってくるだろう。
「建国祭だから……通常とは、違いますよね?」
「ああ」
答えながら、シルファ先輩がポケットから、何かの紙を取り出した。
「――式典と、それに付随する晩餐会や何かの連続だな」
思ったとおり、大変なことになりそうだ。
「中止は……ない、ですよね」
「無理だろうな。この国の面子にかけても、予定通りやるだろう」
やっぱり、と思う。
何しろこのアヴァン、歴史の古い国で、その分プライドも高い。
それがテロ情報で怖気づいたら、沽券に関わるってとこなんだろう。
「シエラの派遣隊に、いちおう伝えてくる。延長の可能性がある以上、情報だけは入れておかないと。ルーフェイアは先に、部屋に戻ってるといい」
「あ、はい」
言われて戻りかけて、でもあたしは立ち止まった。
「どうした?」
「いえ、あの、ちょっと……」
もし建国祭の間もとなると、いろいろ準備が要るんじゃないだろうか、そう思ったのだ。
「派遣が伸びたとして……あの、例えば服装とか……どうなりますか?」
「服装? あ、そうか」
シルファ先輩が、スケジュール表を見ながら考え込んだ。
「この日程で殿下に付くと、最悪……正装が要るな。学院かどこかに、頼まないと」
口ではそういいながら先輩、難しい顔だ。
「――学院じゃ、間に合わないな。日にちがなさすぎる。仕方ない、殿下か、その父上にお願いするか」
「あの」
勇気を振り絞って、先輩の独り言をさえぎった。
「あたし、あの、そういうの……心当たりが」
「本当か?」
シルファ先輩の問いに、うなずく。
「モノ自体はすぐ出せますし、直すのも二日あればできます。えっと、だからあの、迷惑じゃなければ……」
何だか凄く悪いことをしてる気がして、言葉が尻すぼみだ。
「大丈夫だ。むしろ助かる。無駄になるかもしれないが、念のために当たっておいてもらえるか?」
「はい!」
やっと先輩の役に立てた気がして、あたしは弾む足取りで部屋を出た。
そう言ったらシルファ先輩、さっき殿下にしてた表情をあたしに向けた。何かまずかったらしい。
「えっと、あの……すみません」
慌てて謝ると、シルファ先輩が微笑んだ。
「いや、別にいいんだ。それにしても延長となると、だいぶ様子が変わってくるな」
「そうですね……」
建国祭の前までっていう話だから、その後のことはあたしたちは一切考えてない。
けどもし延長されるなら、スケジュールはもちろん警護のやり方も、かなり変わってくるだろう。
「建国祭だから……通常とは、違いますよね?」
「ああ」
答えながら、シルファ先輩がポケットから、何かの紙を取り出した。
「――式典と、それに付随する晩餐会や何かの連続だな」
思ったとおり、大変なことになりそうだ。
「中止は……ない、ですよね」
「無理だろうな。この国の面子にかけても、予定通りやるだろう」
やっぱり、と思う。
何しろこのアヴァン、歴史の古い国で、その分プライドも高い。
それがテロ情報で怖気づいたら、沽券に関わるってとこなんだろう。
「シエラの派遣隊に、いちおう伝えてくる。延長の可能性がある以上、情報だけは入れておかないと。ルーフェイアは先に、部屋に戻ってるといい」
「あ、はい」
言われて戻りかけて、でもあたしは立ち止まった。
「どうした?」
「いえ、あの、ちょっと……」
もし建国祭の間もとなると、いろいろ準備が要るんじゃないだろうか、そう思ったのだ。
「派遣が伸びたとして……あの、例えば服装とか……どうなりますか?」
「服装? あ、そうか」
シルファ先輩が、スケジュール表を見ながら考え込んだ。
「この日程で殿下に付くと、最悪……正装が要るな。学院かどこかに、頼まないと」
口ではそういいながら先輩、難しい顔だ。
「――学院じゃ、間に合わないな。日にちがなさすぎる。仕方ない、殿下か、その父上にお願いするか」
「あの」
勇気を振り絞って、先輩の独り言をさえぎった。
「あたし、あの、そういうの……心当たりが」
「本当か?」
シルファ先輩の問いに、うなずく。
「モノ自体はすぐ出せますし、直すのも二日あればできます。えっと、だからあの、迷惑じゃなければ……」
何だか凄く悪いことをしてる気がして、言葉が尻すぼみだ。
「大丈夫だ。むしろ助かる。無駄になるかもしれないが、念のために当たっておいてもらえるか?」
「はい!」
やっと先輩の役に立てた気がして、あたしは弾む足取りで部屋を出た。
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