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第7話 力の行方

策略 Episode:01

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 ◇Rufeir

 こんな会場にでるなんて、久しぶりだった。

 立食式の会場は、たくさんの着飾った人々で賑わっている。

 ――この黒いつぶつぶののった固いパン、おいしい♪

 ただ今日は幸いにも、あたしを知ってる人はほとんどどいない。
 いわばアヴァン国内の内輪だし、あたしはごくたまに財界関係に顔を出す程度だから、面識がない人ばかりだ。

 殿下には今は、エレニア先輩とミル(!)がついてくれてる。
 いずれにせよ会場の内外はかなり厳しく警護されてるから、あとは誰かが殿下に張り付いていれば、ほぼ大丈夫だろう。

 もっとも油断はできないから、残りのメンバーも遠巻きにするようにして気を配ってはいた。

 ――あ♪

 シルファ先輩の後ろ姿をみつける。ナティエスたちが選んだ薄紫のドレスが、とてもよく似合っていた。

 タシュア先輩が見たら、なんて言うだろうか?
 あたしだけ綺麗な先輩を見て、申し訳ないような気がする。

「――シルファ先輩」
「あ、ルーフェイアか」

 声をかけると、先輩が振り向いた。

 ――あれ?

 よく見ると先輩、最初にナティエスたちが選んでいたのとは違うアクセサリーを付けている。

 銀の鎖にさがる――これはクリスタルだろうか?
 綺麗な結晶の形をしていて、滅多にお目にかかれないほどの透明度だっ た。

「先輩、そのペンダント……?」
「え? ああ……そういえば、折角ルーフェイアが用意してくれたのを、付けなかったな。すまない」
「あれはどうせ、ありあわせですし……。これ……クリスタル、ですよね?」

 近づいてみても、傷ひとつ見当たらない。結晶の内部も完全な透明だ。

「こんなに透明度の高いクリスタル、珍しいですけど……どうなさったんですか?」

 掃いて捨てるほど――ほんと、困るだけ――あるうちのアクセサリーの中にも、これだけ透き通ったクリスタルはあまりないだろう。

「これか? タシュアが、くれたんだ」
「えぇっ!」

 思わず声をあげる。

「そんなに、意外か?」
「え、あ、別にその、あっちゃいけないとかは……けど、でも……」

 どう取り繕ったらいいのか分からない。
 けどシルファ先輩、そんなあたしを見て笑っただけだった。

「信じられないだろうな」
「はい……」

 あの毒舌によらず、意外にもタシュア先輩が優しいのは、あたしも知ってる。
 けどまさか、プレゼントをするとは思わなかった。

「誕生日に……もらったんだ」

 そう言ってシルファ先輩が、水晶を握り締める。

 ――不思議な表情。

 うっとりとしているのに、どこかに遠い昔の寂しさが混ざっている。
 でも、この学院でこの表情をする人は多い。
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