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第7話 力の行方

策略 Episode:04

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 なにがあってもシュマーだなどとは口に出来ないし、かといって家が所有している財閥――ようはシュマーの表の顔――の関係者なんて言ったら、やっぱりややこしいことになるだろう。
 そんな財閥の師弟が、孤児ばかりのMeS・シエラの本校にいるなんて漏れたら、いろんなところが大騒ぎだ。

「その……お答え、できません……」

 それ以外に答えようがなかった。

「なるほど、やっぱりワケありか。まぁいい、そのうち分かるだろうしな」

 そのうちでも分かると、あたし困るんだけど……。
 だけどそう、口にするわけにもいかない。

「あの、ともかく屋内へ戻りませんか?」
「そうだな」

 結局、なんのために出てきたんだろう? ただどちらにしても、戻ってくれると言うのはありがたかった。
 急いで歩き出す。

 ――けど。

 かすかに聞こえる、刃と刃のぶつかり合う音。そしてそれを上回る、イヤな「何か」。

「殿下っ!」

 このまま行くのは自殺行為に思えて、急いで殿下を木立の中へ引き戻す。

「どうし――」

 言いかけた殿下の言葉は、轟音にかき消された。

「な、なんだ?」
「おそらく……爆弾です」
「なんだと!」

 慌てて駆け出そうとした殿下を、制す。

「お待ち下さい、危険です。気になるのは分かりますが……ご自宅へ、戻られたほうが」

 言いながら、遅かった、と思う。警護の人たちが、あたしたちを取り囲んだ。

「なんだ、お前たち。ちょうどいい、家まで……」
「殿下、ダメですっ!」

 ふつうの警護役とは、気配が違う。

「……なんのつもりだ」

 いっせいに銃口を向けた男たちに、意外にも冷静に、殿下が問いかけた。

「貴様ら、僕が誰だか分かっているんだろうな?」

 ――分かってなかったら、こんなことはしないんじゃないだろうか?

 ついそんなことを思う。
 警護役――どう考えても実際には違うだろう――も、同じことを答えた。

「分かっていなければ、こんなことはしませんね。さて、我々と一緒に来ていただけますか?」
「あいにく、忙しいんだが」
「殿下、いけませんっ!」

 とっさに制止する。こんな相手に毒舌を振るったら、下手をすれば殺されかねない。

「ほう、こっちのお嬢ちゃんは、ものわかりがいいようだな」

 別にそういうわけじゃない。できればさっさと倒して帰りたいところだ。
 ただそんなことをしようものなら、殿下の安全が確保できなくなる。

 なにがあっても、殿下を危険にさらすわけにはいかなかった。

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