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第8話 言葉ではなく

尋ね人 Episode:12

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「ったく何考えてんのさ!
 ここはケンディクじゃないんだ。夜中におもてで寝てたりしたら、凍死するっての!」

「凍死……? あったかかったけど……?」

 ――あ、それで慌ててたのか。

 もっとも気温の割に、こいつはぬくぬくしてたけど。
 その上俺にくっついたりしたもんだから、ついそのまま眠くなったってとこだろう。

「あぁもう、ったくわかってんのかい!」
「分かってねぇって」

 ボケてるルーフェイアと言い、分かってないシーモアとナティエスと言い、もう笑うしかない。
 そこへゼロールさんに付き添われて、ウィンが戻ってきた。

「あれっ、みんな廊下でなにしてんの?」
「あ、ウィン」

 わけがわからないって顔してるウィンに、シーモアのやつが事情を説明した。

「それで入れずにいたら、この通りストライキしてくれたってわけさ」
「ストライキって……ねぇちゃんたち、オイラのこと言わなかったのかい?」

 マヌケだといわんばかりの顔をこいつがする。

「言ったぜ。でも信じてくれなくてな」
「――マジ?」
「じゃなきゃ、こんなとこいるかよ」

 はっきり言って、俺はこんな寒い場所より部屋の中がいい。

「んじゃもしかして、みんなが信じなかったとか?」
「だからそう言ったぞ」
「ひっで~!」

 ウィンのヤツが素っ頓狂な声をあげた。

「ったく、ウルサイね。もう暗いってのにデカイ声で騒ぐんじゃないよ」

「そゆ問題じゃないだろ?!
 だいたいオイラ――」

 こいつが事の顛末を話して、みんなの顔色が変わった。

「そりゃ、ほんとなのか?」
「ホントだよ。だいいちこんなことでウソ言ったって、オイラちっとも得しないじゃん」

 言いながらウィンが、巻かれた包帯を見せる。

「こりゃひどいね」

「でも、あんまし痛くないんだ。お医者さんもさ、手当てがよかったって言ってたし。
 ――ねぇちゃん、ありがと」

「ううん。よかったね」

 ルーフェイアのヤツは締め出されてたことも忘れて、にこにこ顔だ。

「ともかく、中入ろうよ。スープとかもまだ、ちゃんと残ってるから」

 ――へぇ、ナティエスの手料理か。

 こいつはルーフェイアと違って、こういうのはけっこう上手い。
 どっちにしても今晩は、手っ取り早く夕食にありつけそうだ。

 ってそう言えば、ジャスおばさんちの夕食、どうなったんだろうな……?
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