330 / 743
第8話 言葉ではなく
交渉 Episode:04
しおりを挟む
「間違いないです」
でもそれをものともせず、イマドはきっぱりと答えた。
「俺ら、あの時ダグさんと一緒でしたし、その襲ってきた連中はどう見たって中年でしたから。
あと詳しいことは、ゼロールさんがそこそこ知ってると思いますけど」
「そう言われても、俺のほうも証拠はないんだが……」
どうやったら上手く信じてもらえるか考えている調子で、ゼロールさんもさっきの、『ホームレスの人が別の犯人を見た』という話を繰り返す。
「別に偏見を言うつもりはないが、ホームレスのオヤジさんが小銭欲しさにでっち上げたって可能性も、否定は出来ない。
ただあの怯えぶりからすると、多分本当じゃないかと思うんだ」
「だったらその話で、こっちの濡れ衣は晴れたことになる。それとウィンの件に関しては、向こうが関係ないのを認める。
ただそれ以前のことに関しちゃ、向こうがやったってのは否定出来ないな」
これだけの話をきいてもガルシィさんは冷静だった。
「向こうがやってないのを証明できなければ、こっちとしては許すわけにはいかない」
「そんな……」
ここではよく言う「疑わしきは罰せず」という原則が、通用しないのだとあたしは気付いた。
でも……。
本当にどちらも相手チームの子供を殺していないのなら、抗争はやるだけ無意味だ。
「ほんの二、三日でいい。祭りの延期は出来ないか?」
「こっちとしてはする気はない。ただ、向こうの出方次第では考えてもいい」
ゼロールさんの懇願に、ガルシィさんが冷徹に言い放つ。
ともかく歩み寄る気配はなかった。
どうやったら上手くいくのか、必死に考える。
――そうだ。
「あの、ガルシィさん……。ダグさんと会っていただけませんか?」
「冗談を言うな」
「ルーフェイア、そいつはムチャってもんさ」
「もう、ルーフェイアったらおめでたいなぁ」
もし直接話が出来れば、なにか変えられるかもしれない。そう思って言った言葉に、ガルシィさんどころかシーモアやナティエスまでが反対した。
「でも、会ってみれば……」
「会ってどうなる」
にべもない返事。
自分に力がないのが、悲しくてたまらなかった。
「でも、でも、殺し合いなんて……」
そんなの、いらない。
でもそれをものともせず、イマドはきっぱりと答えた。
「俺ら、あの時ダグさんと一緒でしたし、その襲ってきた連中はどう見たって中年でしたから。
あと詳しいことは、ゼロールさんがそこそこ知ってると思いますけど」
「そう言われても、俺のほうも証拠はないんだが……」
どうやったら上手く信じてもらえるか考えている調子で、ゼロールさんもさっきの、『ホームレスの人が別の犯人を見た』という話を繰り返す。
「別に偏見を言うつもりはないが、ホームレスのオヤジさんが小銭欲しさにでっち上げたって可能性も、否定は出来ない。
ただあの怯えぶりからすると、多分本当じゃないかと思うんだ」
「だったらその話で、こっちの濡れ衣は晴れたことになる。それとウィンの件に関しては、向こうが関係ないのを認める。
ただそれ以前のことに関しちゃ、向こうがやったってのは否定出来ないな」
これだけの話をきいてもガルシィさんは冷静だった。
「向こうがやってないのを証明できなければ、こっちとしては許すわけにはいかない」
「そんな……」
ここではよく言う「疑わしきは罰せず」という原則が、通用しないのだとあたしは気付いた。
でも……。
本当にどちらも相手チームの子供を殺していないのなら、抗争はやるだけ無意味だ。
「ほんの二、三日でいい。祭りの延期は出来ないか?」
「こっちとしてはする気はない。ただ、向こうの出方次第では考えてもいい」
ゼロールさんの懇願に、ガルシィさんが冷徹に言い放つ。
ともかく歩み寄る気配はなかった。
どうやったら上手くいくのか、必死に考える。
――そうだ。
「あの、ガルシィさん……。ダグさんと会っていただけませんか?」
「冗談を言うな」
「ルーフェイア、そいつはムチャってもんさ」
「もう、ルーフェイアったらおめでたいなぁ」
もし直接話が出来れば、なにか変えられるかもしれない。そう思って言った言葉に、ガルシィさんどころかシーモアやナティエスまでが反対した。
「でも、会ってみれば……」
「会ってどうなる」
にべもない返事。
自分に力がないのが、悲しくてたまらなかった。
「でも、でも、殺し合いなんて……」
そんなの、いらない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
17
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる