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第9話 至高の日常
緊迫 Episode:02
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「人質の内訳は病院スタッフが四十名程、患者が68名で、うち小児が14名だ。他見舞い客が未確認だが、20~30名は――」
「………」
こりゃ大事件だわ。
このケンディクじゃ占拠事件だって珍しいのに、この人数は史上初だろうな。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
エレニアが声をあげた。
「今、小児が人質って言いましたけど……」
「その通りだ。小児科で入院していた0歳から8歳の子供たちが14名、人質の中に含まれている」
この話にはさすがに、車内が静まり返る。
「――八つ裂きにしてやろうかな」
「ロア、説明中の私語はまずいわよ」
「あ」
けど、思いっきりホンネ。
幸い先輩たちもおんなじことを思ったみたいで、お咎めはナシだった。
「現在ユリアス政府から代表者が出て、犯人グループと交渉中との情報だが、難航しているようだ。
また政府はシエラ学院に、犯人グループの要求を飲む気はないと言って来ている。
この点から、投降がない場合は突入と思って欲しい」
――ま、これは普通だね。
他所じゃどうか知らないけど、学院じゃ「テロリストは皆殺し」が常識だし。
なにしろ一瞬が人質の生死を分けるかも知れないって言うのに、悠長に情けかけてるヒマなんかあるわけがない。
だいいち死にたくなかったら、こんなことしなきゃいいだけだ。
「突入に関しては、院内の詳しい状況が分からないため、まだ細かい具体策は出ていない。だが交渉がしばらく続くと予想されるので、その間に指示があるはずだ。
また7Fのため、包囲は困難だ。よって非常口及び階段からの突入が、採用される可能性が高い。
各自準備を怠らないように」
「了解」
みんなの声が綺麗に揃った。
それにしたって今回は、やたらいきなり。
なにせ上級隊とその候補生に集合がかかったのが夕方の話で、その場で「これから実地試験を行う」ってんだから。
ともかくここ数年で、これほどいきなり実地試験が決まったのは、今回が初めてだ。
「エレニアの方が絶対良かったよ。何日か前から実地試験の噂、あったじゃない?」
「そうだけど、仕方ないわよ」
「確かに仕方ないんだけどさ~」
ヤだとか言って参加しなきゃ、上級傭兵になれないんだよね。
「………」
こりゃ大事件だわ。
このケンディクじゃ占拠事件だって珍しいのに、この人数は史上初だろうな。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
エレニアが声をあげた。
「今、小児が人質って言いましたけど……」
「その通りだ。小児科で入院していた0歳から8歳の子供たちが14名、人質の中に含まれている」
この話にはさすがに、車内が静まり返る。
「――八つ裂きにしてやろうかな」
「ロア、説明中の私語はまずいわよ」
「あ」
けど、思いっきりホンネ。
幸い先輩たちもおんなじことを思ったみたいで、お咎めはナシだった。
「現在ユリアス政府から代表者が出て、犯人グループと交渉中との情報だが、難航しているようだ。
また政府はシエラ学院に、犯人グループの要求を飲む気はないと言って来ている。
この点から、投降がない場合は突入と思って欲しい」
――ま、これは普通だね。
他所じゃどうか知らないけど、学院じゃ「テロリストは皆殺し」が常識だし。
なにしろ一瞬が人質の生死を分けるかも知れないって言うのに、悠長に情けかけてるヒマなんかあるわけがない。
だいいち死にたくなかったら、こんなことしなきゃいいだけだ。
「突入に関しては、院内の詳しい状況が分からないため、まだ細かい具体策は出ていない。だが交渉がしばらく続くと予想されるので、その間に指示があるはずだ。
また7Fのため、包囲は困難だ。よって非常口及び階段からの突入が、採用される可能性が高い。
各自準備を怠らないように」
「了解」
みんなの声が綺麗に揃った。
それにしたって今回は、やたらいきなり。
なにせ上級隊とその候補生に集合がかかったのが夕方の話で、その場で「これから実地試験を行う」ってんだから。
ともかくここ数年で、これほどいきなり実地試験が決まったのは、今回が初めてだ。
「エレニアの方が絶対良かったよ。何日か前から実地試験の噂、あったじゃない?」
「そうだけど、仕方ないわよ」
「確かに仕方ないんだけどさ~」
ヤだとか言って参加しなきゃ、上級傭兵になれないんだよね。
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