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第10話 空(うつほ)なる真実

閑話休題、孤島にて Episode:24

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 放課後、もう日も暮れたのに、あたしはまだタシュア先輩を探してた。

 教室にも二度ほど行ってみたけど、どうも時間割が合わないらしくて、どちらも空振り。
 昼休みも会えなかったし、そのあと今日はいろいろやることがあって、けっきょくこの時間だ。

 少し考えて、図書館へ向かう。
 タシュア先輩は、ここがいちばん確率が高い。

 けど先輩の姿はなかった。もう時間が遅いから、どこかへ行ってしまったのかもしれない。
 かといって、部屋は分からないし……。

 誰か男子を捕まえて訊けばいいのだろうけど、なんだか気後れする。
 しばらく考えて、あたしは食堂へ行ってみることにした。

 先輩がどこにいるかは分からないけど、食べにこないってことはないだろう。
 だったら食堂で待っていれば、捕まえられるはずだ。

 食堂のおばさんにわけを話して、入り口近くの席で、待たせてもらうことにする。
 少しづつ人が増えていく、食堂内。

 それを眺めながら、どのくらい経っただろう?
 見間違えようのない銀髪が、やっと入ってきた。

 先輩が食事を揃えて席に着くのを待って、急いで立ち上がる。
 タシュア先輩はなんのだか分からないけど、フォークを片手にもう資料を見ていた。

「あの、タシュア先輩……」
「なんの用です」

 顔を上げた先輩の、いつもどおりの声。
 けどシルファ先輩を心配してないわけじゃ、ないと思う。

「その、シルファ先輩のこと……なんですけど」
「彼女が何か?」

 言っていいのかどうか、ここまで来て迷っている自分が居た。
 でもシルファ先輩のことを一番知りたいのは、タシュア先輩のはずだ。

 だから、言う。

「シルファ先輩……かなり具合が、悪いらしくて。まだしばらく、帰せないって……」
「そうですか、ありがとうございます」

 ただそれだけの返事。
 先輩がどんな気持ちでいるのかは、見ているだけでは全く分からない。

「まだ何か?」

 そのまま立っていたせいだろう、先輩に言われる。

「え? あ、 すみません」

 謝ってテーブルから離れかけて……でも振り返って見たタシュア先輩は、少しだけ悲しそうにも見えた。
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