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1:世話焼き飛行は損の元?!
Episode:05
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「そうそう、部屋にはまだ戻らないでくださいね。汚染されている可能性がありますから」
「はいはい」
どこか楽しそうな姪っ子に逆らわず、エルヴィラは白旗を揚げた。
さっそく点検に行こうというのだろう、イノーラが立ち上がり、ドアのほうへ歩き出す。
「……計算してみましたがあの星間生物、斥力場がなければ十分な針路変更は不可能でしたわ」
通り抜けざまに姪っ子が言った。
「まったく演算せずに解を得るなんて、不条理にもほどがあります」
「珍しい、あんたが褒めるなんて」
「褒めてなどいません。なんの計算もない行動は、危険だと言ってるだけです」
本当に素直じゃない子だと、エルヴィラは思った。
イノーラにああ言われた以上、何かするわけにもいかず、エルヴィラは操縦席に座ったまま宇宙蝶の映像を再生していた。
自慢のジンジャーブロンドを、本当は梳かしたい。シャワーも浴びたい。
だが姪っ子が後始末に奔走しているのでは、自分だけくつろぐことはできなかった。
臨場感たっぷりで、全方位スクリーンに宇宙蝶の群れが大きく映し出されている。
膜や身体の一部が光る様子は、昔読んだおとぎ話の妖精にも見えた。
(これなら、案外高く売れるかも)
宇宙蝶は割と知られた存在だが、漂流しかけの船が出会うケースが多いためか、しっかりした記録が意外に少ないという。
ならば恒星フレアで飛ばされるところまで映っているデータは、かなり貴重だろう。
売り込み用の映像にどれを使おうかと考えながら、チェックを入れていく。
宇宙蝶の群れの観測は、船自体が観測カメラと連動して、自動で継続している。
ただ、距離が開いてしまったため、データの質は期待できなかった。
――この辺が潮時かもしれない。
そう判断したエルヴィラは宇宙蝶の映像の再生を止めて、とある場所へと連絡を試みた。
相手は、懇意にしている情報屋だ。
一匹狼で胡散臭いところもあるのだが、その情報の速さ広さ正確さは折り紙つきだった。
繋がらなかったら面倒だな、そんなことを思いながら応答を待つ。だが幸い、さほど待たずに相手が出た。
瞬間、エルヴィラは目の前が真っ暗になる。
そしてほぼ同時に響き渡る、やたらノリのいい明るい声。
「はぁいカワイコちゃん、今日はどんなご用かなー? ……ってどしたんだい?」
声の主が心底不思議そうに言ったが、映った映像にエルヴィラが受けたダメージは、計り知れなかった。
「はいはい」
どこか楽しそうな姪っ子に逆らわず、エルヴィラは白旗を揚げた。
さっそく点検に行こうというのだろう、イノーラが立ち上がり、ドアのほうへ歩き出す。
「……計算してみましたがあの星間生物、斥力場がなければ十分な針路変更は不可能でしたわ」
通り抜けざまに姪っ子が言った。
「まったく演算せずに解を得るなんて、不条理にもほどがあります」
「珍しい、あんたが褒めるなんて」
「褒めてなどいません。なんの計算もない行動は、危険だと言ってるだけです」
本当に素直じゃない子だと、エルヴィラは思った。
イノーラにああ言われた以上、何かするわけにもいかず、エルヴィラは操縦席に座ったまま宇宙蝶の映像を再生していた。
自慢のジンジャーブロンドを、本当は梳かしたい。シャワーも浴びたい。
だが姪っ子が後始末に奔走しているのでは、自分だけくつろぐことはできなかった。
臨場感たっぷりで、全方位スクリーンに宇宙蝶の群れが大きく映し出されている。
膜や身体の一部が光る様子は、昔読んだおとぎ話の妖精にも見えた。
(これなら、案外高く売れるかも)
宇宙蝶は割と知られた存在だが、漂流しかけの船が出会うケースが多いためか、しっかりした記録が意外に少ないという。
ならば恒星フレアで飛ばされるところまで映っているデータは、かなり貴重だろう。
売り込み用の映像にどれを使おうかと考えながら、チェックを入れていく。
宇宙蝶の群れの観測は、船自体が観測カメラと連動して、自動で継続している。
ただ、距離が開いてしまったため、データの質は期待できなかった。
――この辺が潮時かもしれない。
そう判断したエルヴィラは宇宙蝶の映像の再生を止めて、とある場所へと連絡を試みた。
相手は、懇意にしている情報屋だ。
一匹狼で胡散臭いところもあるのだが、その情報の速さ広さ正確さは折り紙つきだった。
繋がらなかったら面倒だな、そんなことを思いながら応答を待つ。だが幸い、さほど待たずに相手が出た。
瞬間、エルヴィラは目の前が真っ暗になる。
そしてほぼ同時に響き渡る、やたらノリのいい明るい声。
「はぁいカワイコちゃん、今日はどんなご用かなー? ……ってどしたんだい?」
声の主が心底不思議そうに言ったが、映った映像にエルヴィラが受けたダメージは、計り知れなかった。
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