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1:世話焼き飛行は損の元?!
Episode:10
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いずれにせよあとは情報屋の腕次第で、こちらができることはもう残っていない。
エネルギーが補充できしだい、最寄りの中継ステーションへ行って、宇宙船の整備の算段をつけるべきだろう。
そんなことを考えていると、ドアが開いた。
「チェック終了しましたわ。もともと老朽化している部分以外は、目立った損傷はありません」
言いながら入ってくる姪っ子を見て、エルヴィラはため息をつく。まただ。
「イノーラ、その格好はダメって、前にも言ったよね」
危険がないことが分かったからだろう、スペーススーツを脱いで身軽になっている。
知的という言葉がよく合う端正な顔立ち。エキゾチックな黒髪と黒い瞳。
スタイルも悪くはない。もう少しボリュームがあってもいいとは思うが、これは好みだろう。
だが問題は、そういうことではなくて……。
「ベッドルームとバスルーム以外は、服を着なきゃダメ」
「でもおばさま、服というのは防護や保温、あるいは装飾のために着るものですわ。
ここは安全で快適ですし、飾る必要もありませんから、着る必要を認めません」
ペットとして育ったいちばんの弊害は、これではないかとエルヴィラは思う。
「だからさ、あたしたちもう、ペットじゃないんだから。動物みたいなマネやめなって」
「よく分かりませんわ。
服を着るのが知的生命の条件なら、わたしたちの主だったベニト人は、知的生命ではないということになります」
イノーラの言うとおり、二人の飼い主だったベニト星人は服を着ない。
堅牢な外殻を持つ珪素生命体なので、そもそも服を着る必要がなかった。
納得しそうのない姪っ子にエルヴィラは頭を抱えたが、上手い説明を思いつく。
「ともかく着なきゃダメ。地球人のその格好は、ベニト人がボディペイントせずに外へ出るのと同じなんだから」
イノーラの顔色が変わる。彼女の中で何かが繋がったらしい。
チャンスを逃さず、エルヴィラはさらに畳み掛けた。
「それにそんな格好してるの見たら、地球の母さんたちが泣くよ?」
先ほどの言葉と合わせて効いたようで、イノーラは硬い表情のまま身を翻し、自室へ戻った。
そんな姪っ子の後姿を見ながら、エルヴィラは腹立たしさを覚える。
イノーラにではない。あの子をそうさせてしまった、いろいろなことに対してだ。
金魚か何かのように、作られた小さな環境の中で食べ物をもらい、やることすべてを鑑賞される生活。
エルヴィラは頑として脱ぐのを拒んだために免れたが、服さえも与えられない、まさに「ペット」の扱い。
幼かったイノーラは割と簡単に慣れてしまったが、それなりの年齢だったエルヴィラにとっては、それらは屈辱でしかなかった。
エネルギーが補充できしだい、最寄りの中継ステーションへ行って、宇宙船の整備の算段をつけるべきだろう。
そんなことを考えていると、ドアが開いた。
「チェック終了しましたわ。もともと老朽化している部分以外は、目立った損傷はありません」
言いながら入ってくる姪っ子を見て、エルヴィラはため息をつく。まただ。
「イノーラ、その格好はダメって、前にも言ったよね」
危険がないことが分かったからだろう、スペーススーツを脱いで身軽になっている。
知的という言葉がよく合う端正な顔立ち。エキゾチックな黒髪と黒い瞳。
スタイルも悪くはない。もう少しボリュームがあってもいいとは思うが、これは好みだろう。
だが問題は、そういうことではなくて……。
「ベッドルームとバスルーム以外は、服を着なきゃダメ」
「でもおばさま、服というのは防護や保温、あるいは装飾のために着るものですわ。
ここは安全で快適ですし、飾る必要もありませんから、着る必要を認めません」
ペットとして育ったいちばんの弊害は、これではないかとエルヴィラは思う。
「だからさ、あたしたちもう、ペットじゃないんだから。動物みたいなマネやめなって」
「よく分かりませんわ。
服を着るのが知的生命の条件なら、わたしたちの主だったベニト人は、知的生命ではないということになります」
イノーラの言うとおり、二人の飼い主だったベニト星人は服を着ない。
堅牢な外殻を持つ珪素生命体なので、そもそも服を着る必要がなかった。
納得しそうのない姪っ子にエルヴィラは頭を抱えたが、上手い説明を思いつく。
「ともかく着なきゃダメ。地球人のその格好は、ベニト人がボディペイントせずに外へ出るのと同じなんだから」
イノーラの顔色が変わる。彼女の中で何かが繋がったらしい。
チャンスを逃さず、エルヴィラはさらに畳み掛けた。
「それにそんな格好してるの見たら、地球の母さんたちが泣くよ?」
先ほどの言葉と合わせて効いたようで、イノーラは硬い表情のまま身を翻し、自室へ戻った。
そんな姪っ子の後姿を見ながら、エルヴィラは腹立たしさを覚える。
イノーラにではない。あの子をそうさせてしまった、いろいろなことに対してだ。
金魚か何かのように、作られた小さな環境の中で食べ物をもらい、やることすべてを鑑賞される生活。
エルヴィラは頑として脱ぐのを拒んだために免れたが、服さえも与えられない、まさに「ペット」の扱い。
幼かったイノーラは割と簡単に慣れてしまったが、それなりの年齢だったエルヴィラにとっては、それらは屈辱でしかなかった。
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