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2:あなたに惑星(ほし)の押し売りを
Episode:09
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「やっぱり、移住なさるんですか?」
相手にこちらの心配が伝わるよう、少し大げさに声を落として訊く。銀河文明の翻訳機は、この辺のニュアンスも伝えるので便利だ。
「不本意ですが、それ以外に手がありません」
相手からも、気落ちしたような声と合成映像が返ってきた。
「最初のガンマ線照射と、次の爆風では時差が出ますから、かなり長期間になりますし。何より惑星の住環境が激変して、我々が住めなくなる可能性もかなりあります。場合によっては表面のガス層が衝撃波で剥ぎ取られて、二度と戻れないかもしれません」
たしかにこれでは、頭が痛いだろう。だが商売の好機であることもたしかだ。
ネメイエス側の話は続いている。
「ただ、移住しようにもなかなか条件の合う星がありませんで……公転軌道が真円に近い星は稀なうえ、適当な距離にあるとは限りませんし」
「あー、たしかに」
たいていの星系で、惑星はかなり偏った楕円軌道を持つ。太陽系のように円軌道が並ぶ星系は実は稀だ。
そして軌道が楕円だと、主恒星への最接近時と遠日点では環境が激変する。
だから基本的に安定した環境を必要とする生命体とは、どうにも相性が悪い。
「最悪の場合、宇宙船での長期避難生活を想定していますが、人口すべてが乗れる船を用意するのは並大抵ではありません。出来れば一時的にでもいいので、どこか惑星へ避難したいのです」
「ですよねぇ。良かったら、探してみましょうか? もしかしたら今まで立ち寄った宙域のデータ内に、あるかもしれませんし」
このくらいの話は出してもいいだろう、そう感じて持ちかける。
商売はギブアンドテイクだから、口を開けて利益を待っているだけでは上手くいかないものだ。
案の定、向こうは乗ってきた。
「是非! データは多ければ多いほど助かります。何かこちらから、出したほうがいいものはありますか?」
「あ、でしたら被害の予測と希望する惑星の環境、見せていただけませんか?」
これを見ておかないことには始まらないだろう。
「ええ、どうぞいくらでも」
言葉と共に、データが転送されてくる。
「詳細は見ていただければ分かると思いますが、主だった星系に移住先がないのが、困ったところでして」
「なるほど……」
銀河系内で力を持つ種族には既に当たった、ということだろう。
それで移住先が見つからないとなると、かなり難しくなる。
探せばどこかに適当な惑星はあるはずだが、広い銀河で未知のそれを探すのは、砂浜に落とした砂金を探すようなものだ。
と、隣でデータを見ていたイノーラが顔色を変えた。
相手にこちらの心配が伝わるよう、少し大げさに声を落として訊く。銀河文明の翻訳機は、この辺のニュアンスも伝えるので便利だ。
「不本意ですが、それ以外に手がありません」
相手からも、気落ちしたような声と合成映像が返ってきた。
「最初のガンマ線照射と、次の爆風では時差が出ますから、かなり長期間になりますし。何より惑星の住環境が激変して、我々が住めなくなる可能性もかなりあります。場合によっては表面のガス層が衝撃波で剥ぎ取られて、二度と戻れないかもしれません」
たしかにこれでは、頭が痛いだろう。だが商売の好機であることもたしかだ。
ネメイエス側の話は続いている。
「ただ、移住しようにもなかなか条件の合う星がありませんで……公転軌道が真円に近い星は稀なうえ、適当な距離にあるとは限りませんし」
「あー、たしかに」
たいていの星系で、惑星はかなり偏った楕円軌道を持つ。太陽系のように円軌道が並ぶ星系は実は稀だ。
そして軌道が楕円だと、主恒星への最接近時と遠日点では環境が激変する。
だから基本的に安定した環境を必要とする生命体とは、どうにも相性が悪い。
「最悪の場合、宇宙船での長期避難生活を想定していますが、人口すべてが乗れる船を用意するのは並大抵ではありません。出来れば一時的にでもいいので、どこか惑星へ避難したいのです」
「ですよねぇ。良かったら、探してみましょうか? もしかしたら今まで立ち寄った宙域のデータ内に、あるかもしれませんし」
このくらいの話は出してもいいだろう、そう感じて持ちかける。
商売はギブアンドテイクだから、口を開けて利益を待っているだけでは上手くいかないものだ。
案の定、向こうは乗ってきた。
「是非! データは多ければ多いほど助かります。何かこちらから、出したほうがいいものはありますか?」
「あ、でしたら被害の予測と希望する惑星の環境、見せていただけませんか?」
これを見ておかないことには始まらないだろう。
「ええ、どうぞいくらでも」
言葉と共に、データが転送されてくる。
「詳細は見ていただければ分かると思いますが、主だった星系に移住先がないのが、困ったところでして」
「なるほど……」
銀河系内で力を持つ種族には既に当たった、ということだろう。
それで移住先が見つからないとなると、かなり難しくなる。
探せばどこかに適当な惑星はあるはずだが、広い銀河で未知のそれを探すのは、砂浜に落とした砂金を探すようなものだ。
と、隣でデータを見ていたイノーラが顔色を変えた。
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