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2:あなたに惑星(ほし)の押し売りを
Episode:22
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「意味、ですか? 文字通り、地球の異星人からの防衛ではないのですか?」
「いいえ」
エルヴィラに即座に否定されて、相手が困惑した。
「ではいったい、何を……」
「ベテルギウスという星が、超新星爆発を起こしました」
そこで一回間をおく。考える時間を持ってもらうためだ。
「たしか、オリオン座の星でしたね。いつ超新星爆発しても、おかしくないと言われていた。ですが被害はほとんどないと、研究機関がみな発表していたかと」
「ええ。ただそれは、ガンマ線バーストが地球を直撃しない場合、です」
しばらくの沈黙の後、相手がかすれた声で答えた。
「それは、まさか……こちらに来るということですか?」
「はい、残念ながら。公式の資料もお付けできます」
まるで不安を煽って売りつける悪徳商法だが、騙してはいないので、気にしないことにする。
「その、想定される被害は、どの程度なのですか?」
「詳しく計算してみないことには。私たちも専門家ではありませんし。ただ以前地球に、数千光年先から照射された際には、ほとんどの生物が死んだそうです」
相手の顔が青ざめた。
「それでは、地球は――!」
「あ、ご安心ください、来るのは600年以上先ですから。それとネメイエスの移民を受け入れるなら、彼らは自分たちが住むことになる木星の防御をするついでに、地球も護ってくれるそうです」
地球側がほっと息を吐く。これで交渉成立も同然だ。
「分かりました。ただ私の一存では決められませんので、少しだけ時間を」
「ええ。でも、早めにお願いします。あまりのんびりしていると、ネメイエスが痺れを切らせて他と契約してしまうかもしれませんから」
最後に釘を刺すと、地球側は「分かりました」と答えて、通信を切った。
「おばさまったら、詐欺師にでもおなりになっては?」
切るや否や、イノーラの毒舌を浴びる。
「嘘は言ってないけど?」
「ええ、たしかに。でもあのやり方は、詐欺師のやり方でしてよ」
こういうことにこだわるから、姪っ子は交渉がヘタなのだ……とは思ったが、エルヴィラは言わなかった。
残念ながら彼女には、こういう駆け引きは分からない。
「まぁ、いいじゃない? どっちも損はしないんだし」
「それはそうですけど、その過程が」
エルヴィラは半分聞き流す。どうせ平行線だ。
「条件はきちんと提示したんだから、いいんだってば。あとは地球の判断。だいいち地球にはメリットはあっても、デメリットはないよ?」
この取り引きのキモはそこだ。
互いに簡単に差し出せる物が対価で、なおかつ双方得が大きいとなれば、断る理由はない。
「ま、数日うちに回答来るよ。そうなれば地球も、ペット産地から抜け出せるかもしれないね」
姪っ子は応じず、言葉は操縦室に散っただけだった。
「いいえ」
エルヴィラに即座に否定されて、相手が困惑した。
「ではいったい、何を……」
「ベテルギウスという星が、超新星爆発を起こしました」
そこで一回間をおく。考える時間を持ってもらうためだ。
「たしか、オリオン座の星でしたね。いつ超新星爆発しても、おかしくないと言われていた。ですが被害はほとんどないと、研究機関がみな発表していたかと」
「ええ。ただそれは、ガンマ線バーストが地球を直撃しない場合、です」
しばらくの沈黙の後、相手がかすれた声で答えた。
「それは、まさか……こちらに来るということですか?」
「はい、残念ながら。公式の資料もお付けできます」
まるで不安を煽って売りつける悪徳商法だが、騙してはいないので、気にしないことにする。
「その、想定される被害は、どの程度なのですか?」
「詳しく計算してみないことには。私たちも専門家ではありませんし。ただ以前地球に、数千光年先から照射された際には、ほとんどの生物が死んだそうです」
相手の顔が青ざめた。
「それでは、地球は――!」
「あ、ご安心ください、来るのは600年以上先ですから。それとネメイエスの移民を受け入れるなら、彼らは自分たちが住むことになる木星の防御をするついでに、地球も護ってくれるそうです」
地球側がほっと息を吐く。これで交渉成立も同然だ。
「分かりました。ただ私の一存では決められませんので、少しだけ時間を」
「ええ。でも、早めにお願いします。あまりのんびりしていると、ネメイエスが痺れを切らせて他と契約してしまうかもしれませんから」
最後に釘を刺すと、地球側は「分かりました」と答えて、通信を切った。
「おばさまったら、詐欺師にでもおなりになっては?」
切るや否や、イノーラの毒舌を浴びる。
「嘘は言ってないけど?」
「ええ、たしかに。でもあのやり方は、詐欺師のやり方でしてよ」
こういうことにこだわるから、姪っ子は交渉がヘタなのだ……とは思ったが、エルヴィラは言わなかった。
残念ながら彼女には、こういう駆け引きは分からない。
「まぁ、いいじゃない? どっちも損はしないんだし」
「それはそうですけど、その過程が」
エルヴィラは半分聞き流す。どうせ平行線だ。
「条件はきちんと提示したんだから、いいんだってば。あとは地球の判断。だいいち地球にはメリットはあっても、デメリットはないよ?」
この取り引きのキモはそこだ。
互いに簡単に差し出せる物が対価で、なおかつ双方得が大きいとなれば、断る理由はない。
「ま、数日うちに回答来るよ。そうなれば地球も、ペット産地から抜け出せるかもしれないね」
姪っ子は応じず、言葉は操縦室に散っただけだった。
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