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2:あなたに惑星(ほし)の押し売りを
Episode:23
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翌日地球から出された回答は、「取り引きを受け入れる」というものだった。思ったとおりだ。
「まったく。仲介をあんなふうにやるなんて、両方を騙したようなものですわ」
「騙してないって。だいいち、みんな助かってるんだからいいんだよ」
相変わらずのイノーラの毒舌を、エルヴィラはさらりとかわす。
「ですけど、筋が」
「法は犯してないし」
この辺の認識が、エルヴィラとイノーラではだいぶ違う。
姪っ子はなんでも杓子定規だが、エルヴィラはかなりいい加減だ。
黒とされないうちは、誰かを泣かしさえしなければOK。それがエルヴィラの考え方だった。
もちろん、落とし穴があることは百も承知だ。
だがそれでは銀河で商売など出来ないし、人が助かるならなおさら、躊躇う理由はない。
イノーラはまだ何か言っていたが、エルヴィラは構わずに契約書の確認を始めた。
といっても、そんなに複雑ではない。
地球側が相談と称して出してきた「欲しいもの」のリストを見ながら、内容と金額とを大雑把に銀河式に置き換え、チェックしていくだけだ。
「けっこう、妥当かな?」
最初に金額が提示されたせいか、地球側はその辺りを踏まえた上で、最大限に近いものを出してきている。
ただ、あくまでも「最大限」で、それ以上ではない。
「この辺が、やっぱり地球なんだよねぇ……」
異星人になど、どうやっても対抗できない。
その自信のなさからくる安全策だろうが、商売はこれではダメだ。
実際に相手がどれだけ隠しているかなど、やってみなければ分からない。
だから相手が呆れるほど吹っ掛けてみて、笑いながら引っ込めるくらいでいいのだ。
――もっとも思ったところで、やるわけにはいかないのだが。
交渉自体はすでにエルヴィラたちの手を離れて、国家同士のやり取りになっている。
そこへ一介の商人が、勝手に口を挟んで書き換えたりは出来ない。
(けどまぁ、ラッキーかな)
相手のネメイエス人は、銀河の種族にしては珍しく誠実だ。
どこも自分たちの利益を最優先、相手がどうなろうと契約さえ結べばいいという発想が多い中、「相応に」というのは、お人好しの部類だ。
そういう相手と手を組めたのは、まだ未熟な地球人にとっては、幸運以外の何物でもないだろう。
取り引きの詳細は、ネメイエスの外交部に任せるつもりだった。
何しろこれだけ大きな契約だ。個人で商売しているだけのエルヴィラには、どう足掻いても手に余る。
出来るのはせいぜい、見落としや穴をふさぐ程度だ。
「まったく。仲介をあんなふうにやるなんて、両方を騙したようなものですわ」
「騙してないって。だいいち、みんな助かってるんだからいいんだよ」
相変わらずのイノーラの毒舌を、エルヴィラはさらりとかわす。
「ですけど、筋が」
「法は犯してないし」
この辺の認識が、エルヴィラとイノーラではだいぶ違う。
姪っ子はなんでも杓子定規だが、エルヴィラはかなりいい加減だ。
黒とされないうちは、誰かを泣かしさえしなければOK。それがエルヴィラの考え方だった。
もちろん、落とし穴があることは百も承知だ。
だがそれでは銀河で商売など出来ないし、人が助かるならなおさら、躊躇う理由はない。
イノーラはまだ何か言っていたが、エルヴィラは構わずに契約書の確認を始めた。
といっても、そんなに複雑ではない。
地球側が相談と称して出してきた「欲しいもの」のリストを見ながら、内容と金額とを大雑把に銀河式に置き換え、チェックしていくだけだ。
「けっこう、妥当かな?」
最初に金額が提示されたせいか、地球側はその辺りを踏まえた上で、最大限に近いものを出してきている。
ただ、あくまでも「最大限」で、それ以上ではない。
「この辺が、やっぱり地球なんだよねぇ……」
異星人になど、どうやっても対抗できない。
その自信のなさからくる安全策だろうが、商売はこれではダメだ。
実際に相手がどれだけ隠しているかなど、やってみなければ分からない。
だから相手が呆れるほど吹っ掛けてみて、笑いながら引っ込めるくらいでいいのだ。
――もっとも思ったところで、やるわけにはいかないのだが。
交渉自体はすでにエルヴィラたちの手を離れて、国家同士のやり取りになっている。
そこへ一介の商人が、勝手に口を挟んで書き換えたりは出来ない。
(けどまぁ、ラッキーかな)
相手のネメイエス人は、銀河の種族にしては珍しく誠実だ。
どこも自分たちの利益を最優先、相手がどうなろうと契約さえ結べばいいという発想が多い中、「相応に」というのは、お人好しの部類だ。
そういう相手と手を組めたのは、まだ未熟な地球人にとっては、幸運以外の何物でもないだろう。
取り引きの詳細は、ネメイエスの外交部に任せるつもりだった。
何しろこれだけ大きな契約だ。個人で商売しているだけのエルヴィラには、どう足掻いても手に余る。
出来るのはせいぜい、見落としや穴をふさぐ程度だ。
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