51 / 51
3:誰もが逃げ出す大冒険?
Episode:07
しおりを挟む
「飛べない人のことくらい、考えてくれたっていいのに」
ぶつぶつ言いながらエルヴィラは再度縦穴へと向かう。
「降りるよ」
「どうぞ」
出鼻を挫かれてしまったせいか、もう怖さは感じない。
むしろ「見てやろう」という闘志が湧いてくる。
持ってきた斥力場ベルトを稼動させてから、エルヴィラは縦穴へと飛び込んだ。
相次いでイノーラも身を投じ、二人で落ちていく。
ただ、スピードはかなりゆっくりだ。
展開された斥力場が、勢いが付きすぎるのを防いでいる。
数メートルほど落ちたあと、二人は猫のように軽く着地した。
振り仰ぐと、丸い穴から青空が見える。
周囲は屋上と同じ、クリーム色の材質だ。それがゆるい弧を描きながら、ぐるりと取り囲んでいた。
そして、目の前には。
「うっわ……」
出た先は、まるで展望台だった。
それとも、出入り自由なぶら下がった鳥かご、と言ったほうがいいだろうか?
辺りは思ったより明るかった。
地球にいた頃、ガラスの天蓋に覆われたビルの吹き抜けを見たことがあるが、そんな感じだ。
「なんでこんなに明るいんだろ?」
「この素材、吸収した太陽光を内側に放つようになってますわ。だから、全体が明るいのかと」
「へぇ……」
理系が苦手なエルヴィラには、何がどうなっているか見当もつかない。
落ちないようにしながら身を乗り出すと、白っぽい八角形の柱が氷柱のように、びっしりと重なり合いながら、遥か下へと伸びていた。
ここでどんな姿をした人たちが暮らしていたのか。
なぜ打ち捨てられたのか。
廃墟となった町を見ながら想像を巡らすうち、さっきまでの闘志はどこへやら、また背筋を怖さが這い登ってきた。静まり返ってぶら下がる建物群は、まさに「墓標」だ。
そんなエルヴィラヘいつもと変わりなく、姪っ子が声をかける。
「どこへ向かいます?」
「うーん……とりあえず、近場?」
あちこち見て回りたい気もするが、この廃墟をうろつくのは気が進まなかった。
「では、すぐそこの建物へでも」
イノーラが指差した先には他に比べれば小さいが、それでも目眩がしそうなほどに大きな氷柱が伸びていた。
落ちていかないよう斥力場を調整して、宙へ踏み出す。
ぶつぶつ言いながらエルヴィラは再度縦穴へと向かう。
「降りるよ」
「どうぞ」
出鼻を挫かれてしまったせいか、もう怖さは感じない。
むしろ「見てやろう」という闘志が湧いてくる。
持ってきた斥力場ベルトを稼動させてから、エルヴィラは縦穴へと飛び込んだ。
相次いでイノーラも身を投じ、二人で落ちていく。
ただ、スピードはかなりゆっくりだ。
展開された斥力場が、勢いが付きすぎるのを防いでいる。
数メートルほど落ちたあと、二人は猫のように軽く着地した。
振り仰ぐと、丸い穴から青空が見える。
周囲は屋上と同じ、クリーム色の材質だ。それがゆるい弧を描きながら、ぐるりと取り囲んでいた。
そして、目の前には。
「うっわ……」
出た先は、まるで展望台だった。
それとも、出入り自由なぶら下がった鳥かご、と言ったほうがいいだろうか?
辺りは思ったより明るかった。
地球にいた頃、ガラスの天蓋に覆われたビルの吹き抜けを見たことがあるが、そんな感じだ。
「なんでこんなに明るいんだろ?」
「この素材、吸収した太陽光を内側に放つようになってますわ。だから、全体が明るいのかと」
「へぇ……」
理系が苦手なエルヴィラには、何がどうなっているか見当もつかない。
落ちないようにしながら身を乗り出すと、白っぽい八角形の柱が氷柱のように、びっしりと重なり合いながら、遥か下へと伸びていた。
ここでどんな姿をした人たちが暮らしていたのか。
なぜ打ち捨てられたのか。
廃墟となった町を見ながら想像を巡らすうち、さっきまでの闘志はどこへやら、また背筋を怖さが這い登ってきた。静まり返ってぶら下がる建物群は、まさに「墓標」だ。
そんなエルヴィラヘいつもと変わりなく、姪っ子が声をかける。
「どこへ向かいます?」
「うーん……とりあえず、近場?」
あちこち見て回りたい気もするが、この廃墟をうろつくのは気が進まなかった。
「では、すぐそこの建物へでも」
イノーラが指差した先には他に比べれば小さいが、それでも目眩がしそうなほどに大きな氷柱が伸びていた。
落ちていかないよう斥力場を調整して、宙へ踏み出す。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる