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第18話 嵐の季節
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「ごちそうさま、あとはあげる」
予想どおり、おばさんは半分以上残す。大して減ってないスープと、二切れ渡したパンのほとんどがこっちへ来た。
――神様ありがとう! これで僕はしばらくの間、師匠に文句を言われることなく、おなかいっぱい食べられます。
やっぱり今度ちゃんと神殿へ行ってお祈りしよう、そう心に誓った時だった。
「イサ、いるかーい?」
ドア越しに、よく響く女性の声。
「手が空いたからさ、来てみたんだ。掃除するんだろ?」
声の主は、さっきスープを作ってくれた、隣のズデンカさんだ。
おばさんが立ちあがってドアを開ける。
「ありがと、助かるわぁ」
「なーに、こういう力仕事は、あたしみたいのが向いてるさね。あんたの身体に細腕じゃ、すぐ倒れちまうだろ」
茫然とする僕なんかお構いなしで、ずかずかズデンカさんが入ってくる。
「どこを掃除するんだい?」
「あ、こっちこっち」
イサさんがまるで自分の家みたいに、ブラシとモップとバケツを抱えたズデンカさんを案内した。
「ここなのよー。今晩からここで寝なきゃなんだけど、ヒドいでしょ?」
「こりゃヒドいね。人が寝るようなとこじゃないよ」
僕は慌てて頭を振って、両頬を手ではたいた。茫然として固まってる場合じゃない。
「や、やめてください。勝手に触ったら、師匠になんて言われるか」
「じーさんなんて知らないわよ。ここで寝ろっていうんだもの、こっちには片づける権利があるわ」
「そうそう。それにこんな部屋放っておいたら、そのうち病気になっちまうよ」
「だいいち誰も、捨てるなんて言ってないでしょ。整理して掃除するだけ」
「まーだいぶゴミも混ざってるみたいだがね」
倍加したおばさんたちから、多重攻撃が繰り出される。もう誰にも止められなさそうだ。
「さー始めましょ」
「さっさとやらないと、日が暮れちまうしね」
――神様なんか大嫌いだ。食糧難から解放されたかっただけなのに、僕に代わりにこんな試練を与えるなんて。
師匠が起きたらなんて言い訳しよう。きっとすごく怒るに違いない。憂鬱すぎる。
そうやってため息をつく僕に、容赦なく声が飛んだ。
「ほら、これ持って!」
「は、はい……」
おばさんたちの迫力がすごすぎて、逆らえない。父さんの言うとおりだ。
父さんは、女の人が思い込んだら、自然に止まるまで放っておくしかないんだって言ってた。
そしてその間は、なるべく言うことを聞くようにしないと自分に矛先が向いて、もっと大変なことになるとも。
予想どおり、おばさんは半分以上残す。大して減ってないスープと、二切れ渡したパンのほとんどがこっちへ来た。
――神様ありがとう! これで僕はしばらくの間、師匠に文句を言われることなく、おなかいっぱい食べられます。
やっぱり今度ちゃんと神殿へ行ってお祈りしよう、そう心に誓った時だった。
「イサ、いるかーい?」
ドア越しに、よく響く女性の声。
「手が空いたからさ、来てみたんだ。掃除するんだろ?」
声の主は、さっきスープを作ってくれた、隣のズデンカさんだ。
おばさんが立ちあがってドアを開ける。
「ありがと、助かるわぁ」
「なーに、こういう力仕事は、あたしみたいのが向いてるさね。あんたの身体に細腕じゃ、すぐ倒れちまうだろ」
茫然とする僕なんかお構いなしで、ずかずかズデンカさんが入ってくる。
「どこを掃除するんだい?」
「あ、こっちこっち」
イサさんがまるで自分の家みたいに、ブラシとモップとバケツを抱えたズデンカさんを案内した。
「ここなのよー。今晩からここで寝なきゃなんだけど、ヒドいでしょ?」
「こりゃヒドいね。人が寝るようなとこじゃないよ」
僕は慌てて頭を振って、両頬を手ではたいた。茫然として固まってる場合じゃない。
「や、やめてください。勝手に触ったら、師匠になんて言われるか」
「じーさんなんて知らないわよ。ここで寝ろっていうんだもの、こっちには片づける権利があるわ」
「そうそう。それにこんな部屋放っておいたら、そのうち病気になっちまうよ」
「だいいち誰も、捨てるなんて言ってないでしょ。整理して掃除するだけ」
「まーだいぶゴミも混ざってるみたいだがね」
倍加したおばさんたちから、多重攻撃が繰り出される。もう誰にも止められなさそうだ。
「さー始めましょ」
「さっさとやらないと、日が暮れちまうしね」
――神様なんか大嫌いだ。食糧難から解放されたかっただけなのに、僕に代わりにこんな試練を与えるなんて。
師匠が起きたらなんて言い訳しよう。きっとすごく怒るに違いない。憂鬱すぎる。
そうやってため息をつく僕に、容赦なく声が飛んだ。
「ほら、これ持って!」
「は、はい……」
おばさんたちの迫力がすごすぎて、逆らえない。父さんの言うとおりだ。
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