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第51話 チュウニな人?
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「あの人、そういう人に見えないわよ。全財産はたくどころか、あの世まで抱えてくタイプじゃない?」
「そうですねぇ……」
小者なのに出世欲抜群な人が、たしかに何か研究してもらうようには思えなかった。
病気を抱えてて、それを治したくてってことも、考えられなくはない。
でも見た目、すっごく元気そうだし。
何よりそれなら僕みたいな見習いじゃなく、師匠レベルを雇うだろう。
じゃなきゃ完璧にお金の無駄になることくらい、誰だって知ってる。悔しいけど。
「魔導師って宝石みたいに、持ってると何かいいことあるわけ?」
「人を石扱いしないでください」
ほんとにおばさんっていうのは、他人を人として扱うのが苦手らしい。
父さんが言ってたように、犬に吠えられたくらいに思ってないと、こっちの心が折れそうだ。
でも黙ってると何言われるかわかんないから、きちんと説明する。
「魔導師が配下にいれば、たしかに箔というか……ハッタリは効きますよ。奥の手がある、って、相手に思わせられますから」
実は、別に大したことはできないけど。
魔法はまずは下準備。
だからとっさに何かっていうのは、けっこう苦手だ。
それが分かってるから僕だってああやって、イザってときに備えて魔力込めた玉を持ってたんだし。
でも知らない人が見たら、いきなり使ったように見えるから、効果は抜群だ。
人前ではともかく意表をつけ、そのためにしっかり準備しろ、そうすれば女の人にやられっぱなしにならずにすむ、父さんの言ってたとおりだ。
とはいえ、出会い頭に何かできるわけじゃないのは、まったく変わらないわけで。
「じゃぁ、それ知ってる相手なら意味ないわね」
「ないですね」
「会計役は知ってるの?」
「さぁ……」
その辺はさすがに、当の会計役に訊いてみないとわからない。訊いても教えてくれないだろうけど。
ただたしかなのは、たとえいま知らなくても魔導師と関わってたら、必ず「魔法は即応は苦手」を知るっていうことだ。
「それって、やっぱり意味ないと思うわよ。ハッタリ効かそうにも、効かせられないってことだもの。まぁ知らないから魔法に夢見てるチュウニな病が治らない、可哀想な人なのかもしれないけど」
「なんですかその病」
「んー、ヒーローになる夢ばっかり見えてて、現実は見えない病気かな」
話を聞いて、そういう人ならよくいる、と思ってしまった。
ここの領主様だって、ある意味そのチュウニな病気? と思うし。
そんな話をしてたら、例の案内人が迎えに来た。
姫さまのお茶会に行く時間らしい。
「そうですねぇ……」
小者なのに出世欲抜群な人が、たしかに何か研究してもらうようには思えなかった。
病気を抱えてて、それを治したくてってことも、考えられなくはない。
でも見た目、すっごく元気そうだし。
何よりそれなら僕みたいな見習いじゃなく、師匠レベルを雇うだろう。
じゃなきゃ完璧にお金の無駄になることくらい、誰だって知ってる。悔しいけど。
「魔導師って宝石みたいに、持ってると何かいいことあるわけ?」
「人を石扱いしないでください」
ほんとにおばさんっていうのは、他人を人として扱うのが苦手らしい。
父さんが言ってたように、犬に吠えられたくらいに思ってないと、こっちの心が折れそうだ。
でも黙ってると何言われるかわかんないから、きちんと説明する。
「魔導師が配下にいれば、たしかに箔というか……ハッタリは効きますよ。奥の手がある、って、相手に思わせられますから」
実は、別に大したことはできないけど。
魔法はまずは下準備。
だからとっさに何かっていうのは、けっこう苦手だ。
それが分かってるから僕だってああやって、イザってときに備えて魔力込めた玉を持ってたんだし。
でも知らない人が見たら、いきなり使ったように見えるから、効果は抜群だ。
人前ではともかく意表をつけ、そのためにしっかり準備しろ、そうすれば女の人にやられっぱなしにならずにすむ、父さんの言ってたとおりだ。
とはいえ、出会い頭に何かできるわけじゃないのは、まったく変わらないわけで。
「じゃぁ、それ知ってる相手なら意味ないわね」
「ないですね」
「会計役は知ってるの?」
「さぁ……」
その辺はさすがに、当の会計役に訊いてみないとわからない。訊いても教えてくれないだろうけど。
ただたしかなのは、たとえいま知らなくても魔導師と関わってたら、必ず「魔法は即応は苦手」を知るっていうことだ。
「それって、やっぱり意味ないと思うわよ。ハッタリ効かそうにも、効かせられないってことだもの。まぁ知らないから魔法に夢見てるチュウニな病が治らない、可哀想な人なのかもしれないけど」
「なんですかその病」
「んー、ヒーローになる夢ばっかり見えてて、現実は見えない病気かな」
話を聞いて、そういう人ならよくいる、と思ってしまった。
ここの領主様だって、ある意味そのチュウニな病気? と思うし。
そんな話をしてたら、例の案内人が迎えに来た。
姫さまのお茶会に行く時間らしい。
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