魔法少女のマスコットになったのに、この子が全然その気じゃない件について。

すらすら凪々

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第一章

転生先もブラックだったんですが3

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「まぁ、ボクたちのお仕事には全然使わないから、気にしなくていいッピ!」

「えっ、使わないっぽか!?」

 残念だ。あのプラネタリウム、構造とか仕組みとか気になってたのに……。
 後でこっそり見学しに行こう。そう思いながら、ワクワクを必死に胸の奥に押し込んで、俺はルーダの後を追った。

 浮遊感はすっかり慣れてきた。まるで重力そのものがゆる~く調整されてるみたいな感じ。操作は不思議だけど、意識で動けるのは便利だ。

 エレベーターに乗って、ふわっと軽い上昇の感覚。そしてすぐに、ぺこりんと軽い音とともに扉が開いた。

「ここが君の働く場所、オペレーションルームッピ!」

 目の前に広がっていたのは、白とパステルカラーで構成されたドーナツ型の大部屋だった。中央は大きな吹き抜けで、ぐるりと回廊のように円を描いた部屋の縁には、それぞれブースが並んでいる。

 そこには俺と同じようなもふもふのマスコットたちがわらわらと働いていた。……いや、“働く”という言葉が似合うとは思えない。あまりに可愛すぎて。

 それぞれのブースの中には、半透明のホログラムのような光るパネルが浮いていて、マスコットたちはもちもちした前足(前手?)でパタパタと操作している。

「うわ~……なんか、近未来過ぎて……」

 でも、パネルに表示されている文字は見たことのない記号ばかり。にもかかわらず、脳にスルスルと意味が流れ込んでくる。翻訳してる感覚もない。たぶん、最初から“読めるようになってる”んだ。転生特典ってやつぽか?

「……魔法少女……?」

 ふと目に止まったその単語が、胸の奥をくすぐった。

 懐かしい? いや、違う。何かに触れたような、かすかな疼き。自分でもよく分からないけれど、そこには確実に“引っかかる”何かがあった。

「ボクたちのブースはこっちッピ! はやく来るッピよ~!」

 ルーダが少し先のブースから手(いや、前足?)をふって呼んでいた。慌ててふよふよと飛んでいくと、そこには3人のマスコットがいた。

 それぞれが俺と同じようなぬいぐるみ然とした見た目ながら、色や装飾、耳の形なんかに個性があって、まるでキャラクターグッズ売り場みたいだった。

 とはいえ、空席も目立つ。フルメンバーじゃないことは、素人目にもわかる。

「みんな~! 新しく生まれた子ッピ! 仲良くしてあげてほしいッピ~!」

 ルーダの明るい声に、3人がぴょこんとこちらを振り向いた。

「よろしくップ~!」

「わ~い! 新しい子、ひさしぶりッパね~!」

「よろしく~ッペ~!」

 語尾が個性的すぎる。どういうルールで決まってんだ、この語尾文化。俺が“ぽ”だからって、みんな揃って避けてくるのちょっと寂しいぽ……

 とはいえ、3人とも笑顔で、どこかほっとするような空気を持っていた。
 ブースの中央には、小さなテーブルのようなパネルが浮かんでいて、各自がその周囲でそれぞれの作業をしている。

 ブラック企業戦士だった俺はその光景が、少しだけ胸に染みた。

「ここが……仕事場っぽか」

 そう独りごちると、なんだが覚悟が決まった気がした。
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