捨てられ爆薬令嬢は敵総長の溺愛を受ける

由汰のらん

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3-4.

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「も、もしかして、学園のポルト先生?!!」


 思い出した。攻略対象である学園の教師、ジェイラス・ポルトだ。その綺麗な顔立ちでいつも女生徒をはべらせているプレイボーイキャラだ。


 いや、なんだこの短髪。ポルト先生はもっと長いベージュの髪で、いつも後ろで一つに束ねているはずなのに。

 それになぜ騎士団に?しかも銀の勲章って、中隊長なの??


「両親には幼い頃より教師の道を歩むように言われてきましたが、レオハルトがリオだと分かり、俺も騎士になったんです!」

「…え?ポルト先生、レオハルトがリオだってこと知ってるの?!」

「マキ、いえ、シシル。前世の俺のことを覚えていませんか?」

「…え?!だ、だれ?」

「ほら、暴れるあなたをクロロホルムで眠らせた俺ですよ俺!」


 クロロ、ホルム…

 ああ、なんとなく蘇ってきた気がする…


「夜道を歩いているところを数人で捕まえようとしたら、あなたが全速力で走って逃げて、町内一周したところで挟みうちにして、俺があなたを捕まえたら今度は顎を殴られて、仕方なく使う予定ではなかったクロロホルムを使うことになったんですよ!」


 それ明るい表情でいう事じゃないよ先生。


 でもその表情と敬語口調で思い出した。ポルト先生はステラの参謀、アキトだ!


「あ、あなた、よくも私をあんなもので眠らせて!!」

「それにしてもシシル、なぜ俺を先生と呼ぶのです?俺は教師の道を歩むのはとっくの昔に辞めているのですよ?」

「…だってあなた、ゲームの中では学園の先生でしょ?」


 私のその言葉で、周りが急に静まり返った。そしてレオハルトが不思議そうに聞き返す。



「…おい、ゲームの中とは何だ?」

「だから、レオハルトもポルト先生も『優美な戯れ』の攻略キャラじゃないの。」

「待て待て待て、何だその、『ゆうびなたわむれ』ってのは…。」


 …あれ、もしかしてこの人たち、ここが乙女ゲームの世界って知らない??


 私は一から説明する羽目になった。

 乙女ゲームという言葉を出せば、それはもう皆、開いた口が塞がらないようで。


「…マジか…。ここって、乙女ゲーの世界だったのか…。」

「てっきり肉弾戦を繰り広げる異世界ファンタジーの中だとばかり…。」

 
 レオハルトも先生もガックリと肩を落としている。


 まあ知らないのであれば驚くのも無理はない。騎士になっておきながら、まさか乙女ゲームの世界だなんて、夢にも思わなかっただろう。


 レオハルトの話によれば、この騎士団にはあの時一緒に崖から落ちたステラのメンバーが揃っているらしい。そのうちの1人は少し前に近衛騎士に引き抜かれたのだとか。

 因みに前世で参謀だったアキトは、リオに忠誠を誓うほど慕っていた。そのため先生はこの世界で子供の時に、王都でレオハルトを見かけた際前世の記憶を取り戻したのだとか。


「今でももちろん俺はレオに忠誠を誓い、この先、後世でも永遠についていくと誓っております!」

「気持ち悪いな。」


 嫌そうな顔をするレオハルト。でも私は2人の関係が羨ましいと思った。

 だって私はゾイに、永遠の愛を誓うどころか、愛の言葉さえ貰えたことがなかったのだから。

 せめて"好き"の一つは欲しかった。

 あんなに長いこと恋人だったのに。本当に私の身体だけが目当てだったのだろうかと何度も考えてしまう。






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