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3-4.
しおりを挟む大学の保健室の先生はおばちゃんで、秋人の汗が酷いということで、秋人の部屋から着替えを持って来て欲しいとのことだった。
秋人の鞄を勝手にあさり、勝手に鍵を取り出すおばちゃん保健医。
「···え?···か、勝手に僕が秋人の部屋に入っていいんでしょうか。。」
「何で?あなたたち友達なんでしょ??風邪ひく前に取ってきてあげてよ。」
半ば強引におばちゃんに鍵を渡され、私は仕方無く寮に戻り、秋人の部屋まで取りに行くことにした。
そういえば秋人の部屋に入るのは初めてだ。
実は大学に入ってから、4人のルールが少し緩くなり、彼らの部屋に私が入ってもいいということになった。
ただし私の部屋に入るのは禁止らしい。
心陽君の思惑通り、本当にルールが緩くなってしまったのだ。このままでは体裁が危ういと思っていたが、実は秋人と心陽君の部屋には未だ行ったことがない。
本当に勝手に入っていいのかな?と思いつつも、ちょっと怖いものみたさで見てみたい気持ちもある。
秋人はストーカータイプだと思っているが、実は『狼さんに食べられちゃう♡』の中では、蓮見先輩が心陽のストーカーっぽくなるのだ。
蓮見先輩の部屋には心陽の写真やポスターがそこらじゅうに貼られていて、ひたすら部屋では「心陽、心陽」と名前を呼び続けるのだ。
今の秋人の部屋は、私の写真で埋め尽くされているのかもしれない。
カルガモのように後ろをついてくる秋人だから、きっと私の後ろ姿ばかりが写された写真に違いない。
鍵を差しこむと、私は心臓をバクバクさせながらドアノブを回した。
そっとドアの隙間から中を覗いてみる。
「へぁッ····、」
精一杯の語彙力を振り絞ったのに、言葉にならない。私はそんな乏しい声を出した後、とりあえず一旦ドアを閉めた。
さらに加速する鼓動が身体中に鳴り響いているようで····
というか、今私が見たのは何だったのだろう。
もう一度ドアを少し開き、覗く。
私は彼の部屋にいるそれを、じーっと数分見つめてみた。でも、ビクともしない。
というか、そこにいる彼女は瞬きすらしない。
····何を、どうしたらいいのだろう。
部屋中には私の写真が貼ってあると思っていたのに······、おこがましくも、秋人は私のことを好きだと思っていたのに····。
私は静かにドアを開くと、部屋の中へと足を踏み入れた。
パタンと閉まったドアの音を最後に、秋人の部屋には静寂が取り残された。
ベッドの横で、私の方を向いて微笑む"彼女"。
彼女の首には、首輪がついていて、その首輪には鎖がついていて·····鎖はしっかりとベッドの柵に取り付けられている。
彼女という存在がそこにいることさえビックリなのに、え??首輪?!、え?!しかもメイド服?!?ってツッコミがツッコミを上回ることに動揺を隠しきれない。
間違いない。秋人はこの部屋で、彼女を監禁···いや、彼女を飼っているのだろう。
彼女はツインテールのように赤いリボンを右と左に、頭に白いヘッドドレスをつけている。
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